296 マイクこそはメロトロンの真のエキスパート
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北国のレコードコレクター
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No9Revolution改め、Bhakti2006さん、お久しぶりです。 よろしくお願いいたします。 >他のプログレ系キーボーディストもよく口にしているようですが、猛烈に扱いづらい楽器だったようですね ツェッペリン時代に、ステージでメロトロンを演奏していたジョンポールジョーンズも、どこかのインタビューで、とにかく扱いづらくて、苦労させられっぱなしで、あんなもの二度とさわりたくないと、愚痴っていました。 他のキーボード類は一切使用せず、ステージではメロトロンだけを使い続けたマイクこそは、立派な真のメロトロンのエキスパートだったと思います。 他に、ステージをメロトロンのみでこなしたロックバンドとしては、私は初期のキングクリムゾンぐらいしか思い浮かびません。 他に類を見ない、まさにムーディ−ブルースならではの、独創的な楽器編成だったのではないでしょうか。 そういえば、ここ日本に関する限り、メロトロンといえば、なぜかキングクリムゾンのほうが有名で、ムーディーズ以上によく話題にも上ります。 これは、72〜3年頃だったと思いますが、あるロック誌に掲載された記事による誤解が、そもそもの原因ではないかと、私は見ています。 その内容が、ムーディーブルースとクリムゾンのメロトロンの使用法を比較するときに、今でも実によく引用されることが多いことからも明らかだと思います。 常日頃から思っていた事、せっかくの機会なので、長年の誤解を解く機会になればと思います。 長くなりますが、ご容赦を。 要約すると、「ム−ディーブルースはオーケストラの代用品としてメロトロンを使用しているが、クリムゾンはメロトロンでなければ出せない、メロトロンという楽器の効果を最大限発揮した使い方をしていて、クリムゾンの使用方法のほうが素晴らしい」というものでした。 こんなことを書いている段階で、ムーディーブルースのファンから見ると、この物書きが、「Lost Cord」や「Threshold Of A Dream」を全く聞いていなかったか、あるいはまともに聞いていなかったかの、偏った聞き方をしていたのが、実によくわかる内容でした。 しかし、偏ったなりに説得力はあったようで、特にムーディーズを聴いたことのない人たちで、文章から音楽はいるタイプの人たち(日本人には特に多い気がします。)には、これを真に受ける人が多かったようです。 マイクは「Days Of」では、オルガンかと思わせる音色でメロトロンを弾いているし、「Lost Cord」では冒頭の「Departure」で、天高く上昇する効果音を思わせるサウンドを、「Threshold Of A Dream」の「The Dream」では詩の朗読のバックで、まるでオーロラに音があるとすれば、このように聞こえてくるのではという、天から響いてくるような、不思議な効果を生み出す演奏を聞かせてくれます。 決してオーケストラの代用品としてだけ、メロトロンを使用していたのでないことは、アルバムをよく聞けば明らかです。 そして極めつけは、「Lost Cord」収録の、レイの「Legend Of A Mind」です。 この曲のメロトロンはまさに驚異的で、もともと弦楽器による演奏を想定していたようなのですが、そのドラッグ体験による感覚・知覚の変化を実体験させてくれる、「グワーン」という響きの、歪んだ、不可思議に揺れまくる音像は、メロトロンならではの演奏効果がぴったりとはまっています。 メロトロンでなければ、これだけの効果を得られなかったであろう演奏法を、クリムゾンより1年以上も前に、マイクは試みていたのです。 しかし、ムーディーブルースは、5人のメンバーが総力を結集してこそ魅力を発揮するグループです。 マイクはこの「Legend Of A Mind」の主役は、曲を作り、リードボーカルをとり、フルートソロを聞かせるレイであるということを、十二分に心得ていて、けっしてメロトロンだけが目立つことをせず、すぐにレイのフルートソロに主役の座を譲り、以後は他の3人の絶妙なバックアップを得て、フルートとメロトロンで絶妙に息を合わせ、調和を保ちながら、見事なアドリブ演奏を聞かせてくれます。 ボーカルのバックアップにまわることが多く、時に控えめなところも多々ありますが、決してメロトロンだけが浮き立つことをしないで、オーケストラの代用品としてでなく、その演奏効果を最大限に引き出して聞かせるマイクのメロトロン演奏は、クリムゾンに比べて決して引けをとるものでは絶対にありません。
2008/09/04/(Thu) 15:46:49
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