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[649] アラン・ワイズマン 「人類が消えた世界」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

早川書房刊 2008年5月9日発行

撃墜され、さらに撃沈された。
かなりの衝撃を受けたことは間違いなく、落ち込み沈んだ。

環境問題の範囲を超えて、人類の歴史上の数々の所行というか悪行三昧を地球上のあらゆるところを例に取り、挙げ連ねてある。

無知を晒すのを承知で書けば、知らないことばかりだったし、知れば知るほど辛くなることばかり。

しかし気が遠くなるようなタームを想定して書かれているので、俺の死んだ後のことなんか知ったこっちゃ無いというスタンスで読めば少しは忘れることもできるが、それもそんな気持ちで本書を読める神経があればの話。

もし現在の地球上から人類が忽然として消えたとしたらこの地球はどうなるだろうかと言うことを多くの文献と多くのインタビューを元にして推察しているレポートだが、実に膨大なレポートになった。

大変な努力の末の労作だが、なにしろ読めば読むほど落ち込んで気が沈む。いったい人類はこの母なる地球に対して何をやってきたのか。

途中であまりの長さに眠くなること数度。ちんぷんかんぷんのカタカナ名にまぶたが重くなること度々。
しかし、是非一読をお勧め致します。

読み出すと本書から離れられなくなるのも事実です。

2009年05月27日 (水) 07時35分


[648] 吉永 南央 「紅雲町ものがたり」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2008年 文藝春秋刊


年号が昭和であった頃は、大正15年に生まれた人は数えで年齢を数えるのが実に簡単だった。数えでは生まれた年を1歳と数えるから、そのまま昭和の年数が数え年だったのだ。

その大正の最後の年に生まれたのが杉浦草(そう)。
この物語は草(そう)が数えで76歳の年つまり平成13年の話。

老いていくと言うことは怖い。自分の体は間違いなく衰えていく。そして記憶力や判断力も少しずつ縮小してゆくだろうと思う。

だから将来を考えると、不安でいたたまれなくなる。自分がどうなっていくのだろうか。支えになってくれる家族にも自分のことで迷惑をかけたくない。

まったく、馬鹿だな。だめだだめだ。布団に入ってこんな事ばかり考えていられない。また明日はやってくる。寝なければならぬ。明日はまた張り切って仕事をするんだ。まだまだ元気だ。

紅雲町(こううんちょう)は銀色に輝く近代的な市庁舎と昭和の初めに丘陵に建てられた大観音像が河川を挟んで対峙している北関東に位置する地方都市にある。
おそらく群馬県高崎市がモデルかと思う。

草の営むコーヒー豆と和食器の店には煎りたてのコーヒーのふくよかな香りが漂い、馴染みのお客さんも沢山ついている。店員の久実も一緒に働いている。

私は自然公園で草の上に寝転がってこの本を読んでいる。空は青空、秋の爽やかな空気を吸いながらページをめくる。

こんなに気持ちの良い読書ができるなんて、なんて幸せなんだろう。青空が気持ちがいいからか。いやそれだけではない。草と彼女を支える久実、幼なじみの由紀乃、彼女たちが素敵なのだ。

この物語は高齢の女性が主人公だ。つまり、若い時のように思った通りには体が動かないし、鏡に写る容姿だってその年なりにしか写らない。

この物語を読んでいるともどかしく、じれったく思うことがあるのは仕方がない。でもそれを受け止めた上で、心に浸みてくるある種の感動がある。それは今までのどんな作品にもなかった感動だ。ほろ苦くて、時に胸が張り裂けそうになるくらい痛みを伴う感動なのだ。

そういう思いが一つの章を読み終わるごとにこみ上げてくる。これはいつしか本気で本音と向かい合う読書になっていた。

草の上に寝ころんで、遠くに近くに小さな子供達の遊ぶ声が聞こえ、どこからか誰かの弾いているフォークギターが風に運ばれてくる。なんてのどかな風景だ。

私はいつしか「紅雲町ものがたり」に没頭して過ぎていく時間を忘れた。やがて胸が少しばかり熱くなってくるのをこの上ない悦びとして感じ始めていた。

2009年05月25日 (月) 00時33分


[647] 小野正嗣 「マイクロバス」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

新潮社 2008年7月30日発行

表題作の「マイクロバス」と「人魚の唄」の2編が収録されており、どちらも同じ国道388号線でつながれた湾曲した海岸線でつながる廃れた漁村が舞台になっています。

小野正嗣さんの作品には初めて触れました。

小野さんの文体は文学から哲学への境界へ向かってドライブがかかっているようです。
思い浮かぶのはカミュであり、サルトルであり、カフカであり、健三郎であり、そしてどれでもない。
小野さんのかけたドライブとはスラスラと読ませないための工夫の事。つまりわかりづらく読みづらい。

このわかりづらく読みづらさがちょうど良い塩梅。悔しいからドンと腰を据えて読む。「くっちゃくっちゃと」音をたてて噛み砕いてやろう。そうすると見えてくる。

現在の時間がたやすく過去にもぐり込み、他者を見つめる視点がたやすく転換して自己を見つめる視点になっても平気だ。マイクロバスが意識を持ち、飛ぶ鳥が地上の人物の意識を反映したって良い。転換に次ぐ転換、時間の流れを前後にスキップさせる事など何ともない。

「人魚の唄」はセツコとナオコ婆の二人の本来あるべき関係を復活再生させるための物語。セツコが幼く、ナオコ婆が若くそして貧しく辛かった時代。目をつぶって振り向かずにやり過ごしてしまった時間の虚しさを一瞬で埋められるようなおまじないの呪文でもあったのか。二人は顔を上げる。決して遅すぎない。でも時間がかかりすぎた。

「マイクロバス」も突き詰めてしまえば「人魚の唄」と同様のテーマを持つ。家族の絆を再生しようとし、さらに確固たる形に昇華させようとする物語。家族の強いつながりがそこにあるのに自分たちには見えていない。目で見える形にしようと空回りする父と母。それに応えたい信男。信男には見えているのにそれが疎通出来ない。これは悲しい。

信男がどれほど悲しい立場に置かれているのか。それはよくわかる。しかし健常などんな人間と比べても決して劣らない強い親子の情愛を彼が持っていることに気が付けば、この物語の役目は果たされる。

と、読み終えてそんな感想を持ちました。でも、どうだろうこの作品。ドンと腰を据えて読んだ割には楽しくはなかった。楽しくはなかったけれど、でもパズルを解いているようで面白かった。

2009年05月13日 (水) 21時40分


[646] 楊 逸 「ワンちゃん」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2008年 文芸春秋刊


中国人、楊 逸(ヤン・イー)さんの作品を読むのはこれが初めてです。思っていたよりも日本語の作品として完成しているので、立派だなぁと思いました。

「ワンちゃん」と「老**」の2編が収録されていますが、どちらも中国人の中年女性が主人公でした。

そしてどちらも面白かったです。

中国の田舎の貧しい農村から物語がスタートするのだが、舞台が日本に変わってもやはり田舎の町だった。

ワンちゃんの半生記は男で苦労をしてきた半生記。ひたすら中国から逃げ出すようにして日本に来た。そしたら日本でも男で苦労をするなんて。

でもワンちゃんも心の底からげらげら笑っちゃうことがあった。野菜の話を聞いているうちに土村さんの顔を見ながら笑っちゃった。

その時からワンちゃんの心の中に少し変化が起こる。ワンちゃんがんばれ。

「老**」の万さんは時代遅れの考え方をこれまでずっと大事にしながら生きてきた。

だから余計幼い頃亡くなった兄弟のことや、老いつつある両親のことが心の中にからみついて離れない。
真面目な性格ゆえ、世間からずれているような振る舞いにも自分では気が付かずにいた。

でも、もういいんじゃない。自分の人生を生きてみたら。もっと視野を広げて、顔を上げてみたら。

2009年05月09日 (土) 11時11分


[645] 百田尚樹 「ボックス!」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

太田出版 2008年6月19日発行


児玉清さんがこの「ボックス!」と「日無坂」をNHKラジオの朝の番組でかなり力を込めてほめたたえていたんです。

もうその時から読みたい。ひたすら読みたい。そう思ってました。簡単に影響されてしまう性格か。

ボクシングについての記憶はファイティング原田さんからだと思います。白黒テレビだったかも知れません。

その後は藤猛さん、ガッツ石松さん、輪島功一さんと続き具志堅用高さんまでずっとボクシング好きでした。

ボクサーの体を見て人間の筋肉が生み出す肉体の美しさに見とれました。プロレスでは感じなかった限界ぎりぎりの美しさ。

彼らが皆、精密機械のような動きで相手を追いつめていく。スポーツを見ていると言うよりも、応援しているうちにボクサーに気持ちがのめり込んでしまう。

チャンピオンたちの命をかけたリングの闘いで、いつも
興奮する気持ちを抑えられなかった。そういう思い出ばかりです。

でも最近はボクシング見ることも余りなくなっています。もう私には過去の記憶のひとつのように思っていました。

だから、久しぶりだったのです。高校生のボクシングの試合を目の当たりにしているような描写に出会って、いささか気分が高揚しました。

忘れていた興奮が蘇るような気もしました。面白かったです。

冒頭の電車内での派手なエピソードで読み手の気持ちをつかんでしまう作者の語りのうまさには感心しました。

しかし、その後の物語の展開が高校ボクシング界の説明を兼ねた語りになり、それが中盤まで続きます。この説明は豊富な資料や下調べに支えられているものだろうし、是非とも書き込みたいのだろうとは思いますが、それがやや冗長だなと感じます。

さらに言えば、日本語の美しさを感じる表現が見つかりません。どちらかというと創作と言うよりも感動的なドキュメンタリー映像の複写のような印象。それが少々引っかかります。

気になる点を敢えて挙げましたが、鏑矢君と木樽君の物語は爽やかで素敵でした。そして女子マネージャー丸野さんの果たした役割が私の心には鮮やかに残りました。

もう一つ印象残った言葉があります。414頁。高津耀子先生のセリフ。

「人は苦労して一生懸命努力して手に入れたものは、決して簡単には手放さない。でもあの子は簡単にボクシングの強さを手に入れすぎたのよ。たいした努力も苦労もせんと、ね。だからあっさりと捨てられたのよ。」

この作品は585頁まであります。あの子がボクシングを捨ててしまったらいったいこの物語はどうなっちゃうの。

2009年04月30日 (木) 11時37分


[644] 和田 竜 「のぼうの城」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 小学館刊

成田長親が大器か単なるでくの坊か。読めば読むほどわからなくなるが、答えはここに書いてあった。

141ページの「いやなものはいやなのだ」から始まり、142ページの「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」までの長親の態度だ。

これだけでもう良い。実に爽快な言いようではないか。この作品の真骨頂。

最後に人を動かすのはやはり金や物ではない。改めて確信する。

痛快な小説に出会えて眠気が吹っ飛んだ。こんな面白い小説、自分だけ楽しんでいるのは申し訳ない。せいぜい多くの人に伝えよう。

2009年04月22日 (水) 00時49分


[643] 永井 するみ 「義弟」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

双葉社刊 2008年5月20日発刊

永井するみさんは初めて読みましたが、バランス良くきれいに物語を進めていく上手な作家さんだなぁと思いました。暗くなってくる内容にもかかわらず、ぐいぐい読めます。

しかし本作品は読み終わっても気分がスッキリしませんでした。うじうじした二人の姉弟がそれぞれ自己中心の判断で勝手に行動するので、嫌な予感の通り、あまり喜べない結末になりました。

結局私には何を訴えたかったのか読み取れません。こういう愛の形もあると言うことなのでしょうが、特別な形というわけでもないような気もします。

この思わせぶりなタイトルよりも「薄氷」の方が私は好きだな。インパクトは弱まるかも知れませんが。

2009年04月17日 (金) 10時05分


[642] 麒麟・田村裕 「ホームレス中学生」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 ワニブックス刊

お笑いコンビ麒麟の田村裕君の実体験。中学生の田村君はなんと凄まじくも危うい生活をしていた。命を落としたとしても不思議じゃない。

公園で寝泊まりしている得体の知れない黒ずんだ男。、その男は子供達から石を投げつけられる。いくら叫んでやめろと言っても執拗に石つぶてが飛んでくる。

ホームレスの人が何に恐ろしさを感じているかというと、暴走する若者たちが現れることだと思う。誰もいない夜間に襲われる。何人のホームレスピープルが傷つけられ命を失っているか。

田村裕君こそ、その黒ずんだ男だった。もし雨にあたって風邪でもひいたらどうなっていたか。医者にも行かず、薬も飲まずにいれば、肺炎なんて簡単仁罹患してしまう。

落とし穴が沢山隠れている先の見えない生活。それがホームレス生活。野宿を簡単に甘く考えてはいけない。

たまたま運がよかった。そうとしか思えない。兄弟揃って生き延びられてよかったね。父親は子供達に合わせる顔がないだろうが、平気なのだろうか。平気なはずはない。断腸の思いで一家の離散を告げたのだと思うけれど。

家族の崩壊と再生。そしてそれを手助けしてくれる周囲の目と心。やはりなんだかんだ言ってもこの国は豊かな国なのだ。そう思う。

そしてこの本。面白かった。が、いったい誰が田村君をして印税長者にさせたか。機を見るに敏な奴に違いないと睨む。笑っているのは誰なんでしょう。

2009年04月13日 (月) 20時20分


[641] テスト
From:ダイアモンド2期 [関東/秘密]

テスト

2009年04月09日 (木) 18時50分


[640] 北村 薫 「野球の国のアリス」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

(MYSTERY LAND)
講談社刊 2008年8月7日発行

かつてこどもだったあなたとすべての少年少女のためのミステリーランド。確かにずらり豪華な執筆陣。少年少女向きとはいえ、さすが講談社。

その第14回配本が、北村薫さんの本書。ほとんどの漢字にふりがな。挿絵たっぷり。おじさんが読んでも良いのか。…もちろん、良いに決まってる。

噛んで含むようなやさしい言葉に気持ちがすうっと和らいでいく。そして一ページ読むごとに本を抱きしめたくなるような可愛い主人公と不思議な物語。

銅版画家謡口早苗(うたぐちさなえ)さんの挿絵が柔らかく温かい。安西君とキャッチボールをしている見開きの挿絵は絶品。胸が締め付けられるよう。

北村薫さんの本領発揮です。ルイス・キャロルの有名な作品をなぞらえていく手腕に脱帽。見て下さい、243ページのアリスの投球、第一球目。もう笑ってしまいました。ストライク!

書き下ろしの出来たて(2008年8月現在)のほやほやの上質なお伽噺です。是非多くの方に味わって頂きたい。

2009年04月06日 (月) 07時43分







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