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[531] 馳 星周 「約束の地で 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 集英社刊

奥付の前のページに馳さんの紹介文が載っています。そこには「日本を代表する暗黒小説の書き手」と書かれてました。うん、確かにそうかも知れないと思う。こういう小説ばかり書いてりゃ、日本一の暗黒小説家になれると思う。

実際、見事に暗澹(あんたん)たる小説でした。読み終わってもわだかまる私の中の暗鬱(あんうつ)たるこの気持ちをどうしてくれようか。

本作品は暗色に彩られた短編小説が5編収められています。脇役のように登場する人が次の短編の中心人物になるという、凝ったリレーで連なる短編集です。

物語はとても魅力的な筆致で書かれているんです。一歩でもこの作品世界に足を踏み入れた者を作者は簡単には解き放ってくれはしません。読み出すと、もう読んじゃうんです。そしてますます暗雲に包まれてしまう。

素直にいいます。面白かった。面白かったんです。
例えて言えば、愚かしくも悲しい事件をワイドショーで見ているような人ごとの面白さ。

でももう忘れたいです。なるべく早くこの暗然たる気持ちを遮断したい。とても悲しい。

登場する人物の誰ひとりとして思いやりも優しさも暖かさもない。見せかけだけ。そこですべての人たちの心の成長が止まっている。自分のことだけ考えている人々が目の前のことだけしか見ていない。

人間らしいと言えば人間らしいが、これだけじゃ人間とは言えないのでは。笑えないですよ、全然。笑わないままで生きてく意味あるの?と、私は思うのです。

是非いつの日にか、この短編集で出会った作中の人々が笑顔を見せてくれるような物語に出会いたいとなぁと思ってます。希望でもあり、願いでもあり、祈りでもあります。

2008年06月03日 (火) 00時16分


[529] 古処 誠二 「敵影 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 新潮社刊

直木賞候補作になっていることを知り、読もうとした作品です。手に取るまで作者についても作品についても予備知識はありませんでした。何とも「みいちゃんはあちゃん」な態度です。そんなことですから、読み始めた途端、なんの話なのかさっぱり見当が付かなくてうろたえました。

この作品の時代はいつ?舞台はどこ?誰のお話?とにかく前置きもなんの紹介もなく物語が突然語りかけられるのです。初めてあった人なのに、さも顔見知り同士のようにいきなり挨拶無しで本題の話に入り込んでゆく感覚。文章作法的には、これはある意味、かなりのダイエットです。

しばらくして昭和20年つまり1945年8月14日から始まる話だとわかります。占領下の沖縄、米軍の捕虜収容施設が舞台。主人公はひとりの日本人捕虜、近藤義宗。彼は体にも心にも大きな痛手を負っています。そしてこの日の翌日には終戦を宣する玉音放送がNHKラジオで行われるのです。

沖縄での日米両軍の戦いは日本軍側にとっては民間人をも含めて多大なる死傷者を出したあまりにも無惨な敗戦でしかありません。しかしそんな戦況を解説するような文章は出てきません。出てくるのは捕虜たちのストレートな心情をむき出しにした描写ばかり。この作品はまさに、骨と皮。ゴツゴツとしていて読むだけなのにあちこちにぶつかってくるような文章です。

無駄を省いたのではなくて、もうそっくりそのままあの時代のあの場所での空気と会話を再現しているかのような、言い換えれば、やせ細った当時の日本をモノクロームで再現しているような文章なのです。

ある程度状況がわかると、面白くなりました。どんどん古処さんの語り口にはまってしまいました。
痛烈な印象を刻み込まれる文章に何度も出くわしました。「憤怒は敵影を探す。」「戦の場にあって実直であれば、死ぬ。」「死んでいないのが罪だとは悲しいよ。」決して力まない、抑制のきいたせりふ回しなのに、重いボディブローのようです。

読後感は、悪くない。そう思っています。むしろ読めて良かった。作者は年配のベテラン作家ではありません。38才の気鋭の新人と言っても良いのでしょう。それなのに舌を巻くほどの枯れた風格を感じてしまいました。

2008年05月28日 (水) 08時39分


[528] 三上 洸 「マリアの月 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 光文社刊

グレーの濃淡に唇のほんのりとした紅色。少女の肖像をほっそりとした月に透かせた装丁がこれから読もうとする読者を幻惑します。

この魅力的な表紙を持つ一冊を思わず手に取っていました。三上洸さんは2003年に光文社が主催する日本ミステリー文学大賞新人賞を「アリスの夜」で受賞しています。期待を大いに抱きつつ最初のページをめくりました。悪くない出だしです。好奇心に突き動かされてぐいぐいと読み進みます。

私の場合恥ずかしいのですが、長編ですので流れに乗って読み進めていく内に既出の人物の登場場面を忘れてしまうことがあります。どういう来歴の人物だったろうか。この作品で言うと、ルドルフ、有馬、オーソン・ウェルズこの3人を後戻りまでして探しました。

ちなみにそれぞれ最初に登場するページはルドルフがP.275、有馬がP.292、オーソン・ウェルズがP.307。

それ以外の人物は読んでいるうちは頭から外れようがなかったです。何しろ登場人物たちは皆、派手でしたから。とにかく派手な行動を取ります。

これは作者が作品に肉付けをするためには必要な行動だったのです。作品をほぐしてみると、その構図は意外なほど単純で善悪がはっきりと識別出来ます。そこで味付けとして甘い物は思い切り甘く、辛い物は思い切り辛くという基本方針を定めて、主要登場人物たちを設定し、行動もそれに則らせたのではないかと思います。

敦史のアートワークグループへの入れ込み、貴美の豹変ぶり、一矢の非道、小田島の瀕死のラグビー、ルドルフの超人ぶり、そして真里亜の超越した能力。どれもこれもこう考えるときちんと納得がいきます。

ラストでは信じられない活劇シーンも盛り込まれて、まんまと作者のペースにはまってしまいました。この物語の展開に納得がいくかと聞かれれば、素直にハイとは言えません。どうしてこれほどの事件が連続しているのに有馬さんたちがもっと出てこないのだろうかとか、つい考えてしまうのです。

しかしこれだけの長編を一気に読まさせてしまうほどの熱意が私には十分に伝わってきたのです。だから、その作者の熱意は評価したいと思います。

尚、冒頭のページで私が知らない単語が出てきます。「既朔の二日月」こんな言い回しがあるんですね。さらに言えば、色々とカタカナ語が作中には頻出しますが、わからないものを調べようかとは思ったのですが、雰囲気で流してしまいました。マジメにちゃんと調べたいと思いますが、でもやっぱり物語の先を知りたくて端折ってしまいました。

2008年05月24日 (土) 09時29分


[527] 森 博嗣 「もえない―Incombustibles 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 角川書店刊

帯に書いてあるのが、「森ミステリィの異領域ー冷たさと静けさの少年小説」です。
異領域ってのはどういった領域と比較して異領域なのか、それを探ろうと読み始めました。

しかしどう読んでも森ミステリィの系譜につながるような印象しか持てません。となるとなんなんだ。

そしてもう一つ。少年小説ってなんだろう?少年が主人公の小説と言うことなのか、少年向きの小説と言うことなのか。

帯のフレーズに一々文句付けるようでは、あまりよい読者とは言えませんが、森さんが羨ましいのでちょっとジェラシィです。

森さんご自身は既に小説書きの世界からのリタイアを表明しちゃってるし、もう気分はさぞ軽やかなんでしょうね。本作品は少年による少年のための少年向きの小説と言うことであれば、完璧です。

2008年05月19日 (月) 19時04分


[526] 山本 弘 「MM9」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 東京創元社刊

これは昭和40年代に放送されていた実写テレビドラマ「ウルトラQ」を彷彿とさせる小説で、誰がなんと言おうと小説という体裁を持った円谷作品への敬愛に満ちた献辞に他ならない。(と、作者ご本人もおっしゃている。)

子供だった私は毎週テレビの前で興奮していた。怪獣が生きていて暴れ回っていたあの世界に舞い戻ってしまうような気分。あの頃は本当にワクワクドキドキしていた。大人が全力を傾けて「子供だましの物語」を作ってくれていた。そして私はだまされるのを楽しみにしていた。

実はこの作品が怪獣小説だなんて全く知らずに読み始めた。図書館の新刊の棚に置いてあったのを別の新刊書と一緒にふらりと借りたのだった。読んでいる途中で気が付いた。あわてて「山本弘」をググッた。

この人かなり怪獣物に力を入れている人で、ゲーム作者でもあるようだ。その道ではかなりの有名人ではないか。知らなかった。山本弘さんに興味を覚えた方はこちらをクリックして下さい。(「MM9」の解説は楽しいネタバレ有りです、ご注意を)↓
http://homepage3.nifty.com/hirorin/index.htm

この作品は怪獣好きの方、怪獣がかつて好きだった方へだけ、お勧めしたいと思います。それ以外の方にはお勧め致しません。

2008年05月11日 (日) 14時18分


[525] 五十嵐 貴久 「1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 双葉社刊

主人公の井口美恵子さん、「イカ天仲間」です。やっぱり見ていたようです。アマチュアバンドって、この語感が好きなんです。あの番組を録画した10数本ほどのビデオテープをまだ大事に取ってあるんです。こういうのを宝物だというのは何となく照れますが、多分まだ当分保管していくつもり。

しかし、井口さんの夫の幸輔さん、良いねぇ。「ロックンローラーな旦那だね。」って言われていたけど、あの無口でマジメな幸輔さんにぐぐぐっと泣かされました。かっこいいなぁ。

物語はストレートで、気分爽快な展開が待っています。
ディープ・パープルってなに?って人にも全く問題なくお楽しみいただけます。

もし興味を持って「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をお聞きになりたくなったら私のお薦めは「MADE IN JAPAN」という2枚組のライブアルバムです。このアルバムは傑作だと思います。きっとディープ・パープルを堪能出来きるはず。

2008年05月11日 (日) 14時15分


[524] 五十嵐 貴久 [1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター
From:じゅりんた(8) [関東/秘密]


説明 2007
双葉社


レビュー 主人公の井口美恵子さん、「イカ天仲間」です。やっぱり見ていたようです。アマチュアバンドって、この語感が好きなんです。あの番組を録画した10数本ほどのビデオテープをまだ大事に取ってあるんです。こういうのを宝物だというのは何となく照れますが、多分まだ当分保管していくつもり。

しかし、井口さんの夫の幸輔さん、良いねぇ。「ロックンローラーな旦那だね。」って言われていたけど、あの無口でマジメな幸輔さんにぐぐぐっと泣かされました。かっこいいなぁ。

物語はストレートで、気分爽快な展開が待っています。
ディープ・パープルってなに?って人にも全く問題なくお楽しみいただけます。

もし興味を持って「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をお聞きになりたくなったら私のお薦めは「MADE IN JAPAN」という2枚組のライブアルバムです。このアルバムは傑作だと思います。きっとディープ・パープルを堪能出来きるはず。

2008年05月11日 (日) 14時14分


[523] 東野 圭吾 「探偵ガリレオ」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2002年 文芸春秋刊

ガリレオ・ガリレイが「それでも地球は回っている。」と言ったのは、自ら支持する地動説に確固たる自信があったからでしょう。

17世紀のイタリアの地に生まれた聡明なる物理学者ガリレオは、ミステリー小説のタイトルとなって遙かなる過去から復活した。

捜査一課の誰が名付けたのだろうか、主人公に付けられたニックネーム「探偵ガリレオ」というのは良いセンスだ。
このネーミングに関する記述は第5章になって初めて記されるが、名付け親は弓削刑事かそれとも間宮係長か。

そして名付けられた湯川本人はいきなりそのニックネームで自分を語られて、どんな思いを持ったのだろうか。

1997年に発刊されたこの作品は5編の短編からなる連作だが、いずれも切れ味が良い。そしてスッキリと物の道理を説いてくれる。私にとっては爽やかで少し酸味の残る柑橘系の味わい。

あー、高校生の頃物理の授業をもっとマジメに受けていれば凡庸なる視野ももう少しくらい広がっていたかも知れない…。

2008年05月06日 (火) 10時56分


[522] 荻原 浩 「神様からひと言」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2005年 光文社刊

歌手の三波春夫さんの決めぜりふは「お客様は神様です。」有名なフレーズでした。だから神様なんてのはそこら中に沢山いるんだと思ってました。なぜなら神様は自分で作れちゃうのですから。

「人間至る処青山あり」です。どんな場所にいても良いじゃないですか、体力と時間があれば何とかなるんです。特に若い人にはチャンスはコロコロ転がってやってきます。

この本の主人公、全くの直情径行。それが最後には愛すべき男に思えてきます。よし、私もまだまだ頑張らなきゃ。今日の今の自分が一番若いんだし。

2008年05月03日 (土) 22時32分


[521] 万城目 学 「鹿男あをによし 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 幻冬舎刊

全く問題のない本です。面白く読みましたが、何も難しいところはないです。

つまりファンタジーとしてしっかり楽しめると思います。特に深刻な恋愛問題も起こりませんし、学校での問題もありません。登場人物たちに青春の悩みも特にはありません。

強いて問題があるとすれば調子に乗って暴れているナマズかな。

それと読者にとってはひとごとですが、主人公が困っている大問題があります。何故か主人公が鹿になってしまうのです。これはお気の毒と言えばお気の毒です。

ホルモーに引き続いて、何かあるぞと思ったらやっぱりこんな事になっていたんですね。

2008年04月26日 (土) 12時09分







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