From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]
2002年 集英社刊 1章、2章と読み進めていくうちに、読んでいる私の気持ちがどんどん沈んでいきます。どんどん暗くなっていきます。読んでいる私にとってはこの読書は白夜行ならぬ暗夜行のような気になりました。
あまりに気持ちが沈みすぎて、最後の第13章を読み終わっても浮上しません。それほどまで人の心をつかんで引き込んでしまう恐ろしい闇を持った小説です。その闇の引力はどん欲で非合法です。
すっかり夢中になってしまいました。
照明を消して眠らなければならない時間になっても、項を繰る私の指が止まりません。だって愚かな登場人物たちの往く末が気になって仕方がなかったから。
が、やがて枕元に置いてある時計の針が午前4時になろうとしているのに気が付きました。
明日、いやもう本日。今日のことも考えないでこの体たらく。なんとしたことか。登場人物たちに負けぬほど私も十分に愚かだと、ほぞをかみました。
2008年04月19日 (土) 10時22分
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