From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]
2007年 新潮社刊
はっきり言わしてもらえれば、こんな仕事やりたくない。誰からも嫌われる仕事なんて憂鬱。
そう、こんな仕事とは、この作品の主人公が生業としている仕事。彼の仕事はリストラを請け負う会社の面接官。
彼曰く「殴られたこともある」と。そりゃそうだろう、人の欠点をあげつらって相手を言いくるめる仕事だもの、頭に血が上って暴発する人もいるでしょう。
だから、ろくでなし稼業だと恋人からも思われている。 この小説はこんな思い切った設定で既にはじまっちまっている。というのはこの作品には同じ主人公で「君たちに明日はない」という前作があるのだそうだ。 就職して、会社勤めの経験がある人にとってはなんだか身につまされるような話もちょこちょこ挟められているのだが、読んでみると意外なことに気が付く。
この首切り稼業、面白いのだ。ありゃりゃ。なんとなんと、軽快に読書は進んでしまうのだ。読んで良かったと思っちゃう。
特に表題作。これはしびれます。どうしてどうして涙、涙で、大変でした。
2008年04月20日 (日) 21時33分
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