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[518] 東野 圭吾 「白夜行 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2002年 集英社刊

1章、2章と読み進めていくうちに、読んでいる私の気持ちがどんどん沈んでいきます。どんどん暗くなっていきます。読んでいる私にとってはこの読書は白夜行ならぬ暗夜行のような気になりました。

あまりに気持ちが沈みすぎて、最後の第13章を読み終わっても浮上しません。それほどまで人の心をつかんで引き込んでしまう恐ろしい闇を持った小説です。その闇の引力はどん欲で非合法です。

すっかり夢中になってしまいました。

照明を消して眠らなければならない時間になっても、項を繰る私の指が止まりません。だって愚かな登場人物たちの往く末が気になって仕方がなかったから。

が、やがて枕元に置いてある時計の針が午前4時になろうとしているのに気が付きました。

明日、いやもう本日。今日のことも考えないでこの体たらく。なんとしたことか。登場人物たちに負けぬほど私も十分に愚かだと、ほぞをかみました。

2008年04月19日 (土) 10時22分


[517] 金城 一紀 「映画篇」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007年 集英社刊

この作品には本当にたくさんの映画のタイトルが登場します。とりわけ「太陽がいっぱい」の映画タイトルの連発は圧巻です。

きっと、あまり映画を見てない人にとってはまだ見ぬ映画の魅惑に翻弄されるでしょう。また映画を沢山見ている人にとってはあたかも借景の如く小説の背景を思い出の映画の記憶が心地よく満たしてくれるでしょう。

いずれにせよ、この作品はずるいくらいに映画の魅力を振りまいています。小説を読んで想像する世界は人それぞれですが、映画は違います。誰もが同じ映像を見ているのですから、その誰もが同じ世界を思い浮かべることが出来るのです。

だから映画の思い出は小説の思い出よりもより強く共有出来るのです。そういう共有の思い出がこの作品の背景として成立可能なのです。これは作者の技量によっては小説として見事な成功を収めます。

しかし、それよりもなによりも短編それぞれの物語が大変楽しい。これほど楽しめるというのは作者が上手なのです。だから、なんの関わりもない5つの短編に作者はきっとニヤリとしながらいたずらまで仕込んじゃったのです。

どことどこがつながっているか、わかるかな?そういっている声が聞こえてきそうです。

すっかり夢中になって読み進めて最後のいっぺんにたどりつきました。「愛の泉」のラスト、素晴らしいです。実に良いです。感動で涙ボロボロでした。

大好きな人のために一生懸命に自分の心も体も時間も使って尽くせるというのは本当に幸せなことです。小説から力を分けてもらえる瞬間です。

2008年04月14日 (月) 10時05分


[516] 横山秀夫 「クライマーズ・ハイ」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2004年 双葉社刊

あの日「上を向いて歩こう」「明日があるさ」「レット・キッス(ジェンカ)」「幸せなら手をたたこう」の坂本九さんはその日航機に乗っていました。御巣鷹山にその日航機が墜落して、坂本九さんの生涯は幕を閉じたのです。最後は身元確認にも困難を極める状態だったという。

一方、同じ520名の乗客の中でも奇跡的に生存していた者も発見されています。少女がヘリコプターで救出されるシーンは写真で大きく取り上げられました。

1985年8月に発生したあまりにも衝撃的なそして悲惨な日航機墜落事故は今になっても記憶が残っている。新聞でもテレビでもラジオでも週刊誌でもすべてのマスメディアに世界最悪の事故として報道されたから。

この事故が横山秀夫さんによってどのように取り上げられてどのような作品が出来上がったのか。大いに興味を抱かされます。でもなぜか本書のタイトルは「クライマーズ・ハイ」。

山登りをしようとする中年男性の話からこの作品が始まるのです。そう、彼こそが本書の主人公、悠木。そして彼が登ろうとしているのは魔の山谷川岳のそびえ立つ岩肌、「衝立岩」です。

多くのクライマーがその衝立岩の犠牲になり、命を落としている。まさにクライマーズ・ハイの世界。

この山登りの描写と史上かつて無い最大最悪の航空機事故を報道しようとする新聞記者たちの話が見事につなぎ合わされている。

さすがに名作「半落ち」の作者である。「半落ち」に優とも劣らない素晴らしい小説に出会えた。十分に堪能出来た。これは大きな喜びと感動でした。

なんと言っても主人公がおじさんです。良いなぁ、悠木。彼は悩んで悩んで辛い立場。でも悩んで決断する姿がたまらなく良い。家庭ではなんとか子供達と心をつなごうともがく。その不器用な姿もいいのです。

2008年04月12日 (土) 15時39分


[515] 石田 衣良 「エンジェル」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2002年 集英社刊

宗教の本質は「生きることの教え」であることは誰も異議を差し挟まない。しかし、人の死に際して宗教に改めて関心を持つという人が多いのも否めない事実。

「死んだ後の世界」を解くことで「生きることの教え」を授けようとする宗教の方法は間違ってはいない。

間違ってはいないが、生への不安、死への恐れを解きほぐし癒そうとするために、分かり易くするために、想像の世界を持ち出してくる。想像、空想の世界をきらびやかに持ち出してくるのだ。間違っていないと思う。悪い方法でもないと思う。

しかし、なのである。でも、なのである。

この「天国」だとか「地獄」だとかに反発していた。誰も見たことがないのに、誰も行ったことがないのにどうしてそんな場所があるとわかるのか。
どうしてそんなに自信たっぷり、宗教家たちは話をしてくれるのか。

性格がひねくれているからだろうか。子供の時から問い続けてきた。今も、そんな場所があるのだろうかと考え続けているのだ。死んだら自分はどうなるのだろうかと。

答えは分かりきっているのに。そして分かりきっているくせに、またこんな文章を書いている。

石田衣良さんはなかなか頭のいい人なので、そういう不明で混迷を極める私にこの作品を以てひとつの答えを見せてくれたようだ。

2008年04月11日 (金) 17時07分


[514] 雫井 脩介 「犯人に告ぐ 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2004年 双葉社刊

読み始めたら一気呵成です。大変楽しめた作品です。

警察小説と呼べます。知らなかった警察の内部が明らかにされます。まさに権謀術数渦巻く内幕です。
幼児誘拐殺人事件の犯人を追い続けて、その犯人に呼びかけている刑事が主人公です。

非道きわまる事件を起こして平気でいる犯人には憤りを覚えますが、最後にはきちんとした結末を迎えますので腹の虫も胸につかえたもやもやもスッキリとします。
登場人物のセリフで心を打たれ、ほろりと来るシーンも用意されてます。

そうです、この作品は偉大なるエンターテイメント作品です。小説を読む楽しみをとっぷりと味わえます。

2008年04月10日 (木) 09時27分


[513] 海堂 尊 「ナイチンゲールの沈黙 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2006年 宝島社刊

本当に恐ろしい病気です。病名「レティノブラストーマ」日本語では網膜芽腫。眼球に発生する癌のことだそうです。この小説は現役の医師が書いているので専門用語も飛び交いますし、病状の表現も現実的です。

作品の中でこの恐ろしい病気にかかってしまった2人の少年がいるのです。2人の少年のうちの1人は両目がレティノブラストーマになってしまいました。眼球を両方とも摘出しないと転移してしまい命が奪われることになるのです。

担当する医師も看護師もこういう患者に接する時は辛いと思います。ましてや親ならなおさら悲痛な思いでいるでしょう。

ところが、彼の親は手術の同意書に署名をしようとしない。この親子には大きな問題があるようです。深い問題を抱えているようです。でも、その親の心情が、彼らの過去がさっぱり伝わってこないのです。

残念なことにこの親を理解出来ない。文章のどこを読んでもどうしてこんな家族になったのかわからない。この辺はもっと書き込んで欲しかったと思います。

せっかくの素晴らしい題材とキャラクターの際だつこの小説の舞台で興味を引かれる物語が展開されていくのに、どうしても入り込めなかったのは、そのせいだったかも知れません。

2008年04月07日 (月) 21時33分


[512] 沢木冬吾 「 愛こそすべて、と愚か者は言った」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

1999年 角川書店刊

沢木冬吾さんの作品「愛こそすべて、と愚か者は言った」を読みました。

この作品は沢木さんが28歳で書き上げた作品。その若さでこの作品を発表したその豊かな才能に感嘆。私なぞは、大いに驚嘆します。

若き沢木さんが創り出した物語は勢いがあります。次から次へと登場する人物。そして読者にいきなり提示される竹殻砂場事件と呼ばれる過去の事件。そしていきなり誘拐事件。ほっと一息つく間もなく、失踪、殺人。

まるで、「どうだ?私のこの作品を読みこなせますか?」と作者が読者に挑んでくるような荒々しさ。
人物名を覚えきらぬうちに、それが重要な位置づけの人物だったり、主語を持たない修飾語や述語の文章の展開や代名詞による言い回し。腹をくくって読まないと振り飛ばされそう。
しかし、訳がわからないのかというとそうでもない。物語が面白いのだ。

物語を面白くしてくれる脇役として、とてもしっかりした男の子が登場する。わずか7才、小学二年生。この小説のタイトルも彼のセリフから採られた。この子は将来きっと凄い子になる。

そして主人公、久瀬。彼は探偵。しかし、依頼主がいないのに、これほどまでの事件に関わってしまったのは不幸なことだ。だって、報酬が得られないのだから。お気の毒だと思います。

名探偵は皆お金儲けには縁がないのかなぁ。巫弓彦も沢崎も。私はせいぜい感想文でも書いて、励ましてあげようかと思います。

2008年04月05日 (土) 11時20分


[511] 海野 碧 「水上のパッサカリア 」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

2007刊 光文社
その日の朝のラジオを聞かなかったらこの本は読まなかったかも知れません。森本毅郎さんの「スタンバイ」という番組でこの本を「本の雑誌」の目黒考ニさんが絶賛していたのです。http://www.tbsradio.jp/stand-by/talkthu/index_1.html

ラジオで聞いた作者名が「海野碧(うみのあお)」という印象的なものだったのでそれを覚えていたんです。作品名までは覚えきれなかった。ぱっさかりあ?これはラジオで1回聞いたくらいでは無理です。ましてや車の運転中でしたから。

作品は事件が語り始められるまで長い男女の物語が淡々と語られます。これは味わいがあって悪くはないです。作品のほぼ三分の一のボリュームを使ってもさっぱりミステリーとしての物語が始まらないというのは実に大胆不敵です。

主人公の少年期はかなり劣悪な環境の中にありました。両親も揃っていたし、金には苦労してませんでしたが、親からの愛情にはほとんど接することなく成人しています。その点についてはこの作品では強調されてはいませんが主人公の冷め切った性格に良く現れていると思います。

それなりに楽しめました。が読後に56才の新人主婦作家のデビュー作と知って実は少々驚き、そしてよく頑張りましたと誉めてあげたいような気持ちになりました。
文章表現が、まだ少しこなれてないような気もしていたんですが、なるほどなるほど。きっとこれからはもっと洗練されていくでしょう。

2008年03月31日 (月) 09時17分


[510] 北村薫「1950年のバックトス」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

23ものお話があります。

『百物語』…怪談です。いきなり怪談を読まされるなんて思ってませんでした。だから心の準備もしてませんでした。

万華鏡』…北村さんが書くとなんだかこんな事もありそう。これは江戸川乱歩風の怪奇譚です。

雁の便り』…雁の便りとは手紙の別称。綺麗な日本語です。さて来るはずのない手紙がひとりの女性の元に届いた。その手紙は暑中見舞いだったのですが、そこに書かれていた文は目を疑ってしまうような内容だった。誰が出したのだろうか。うん、きっとあの人だと私は思うな。

『包丁』…スリラーの味わいです。鋭利なものに対する恐怖は誰にでもあります。

『真夜中のダッフルコート』…宮部みゆきさんが登場します。肩の力を抜いてリラックス。最後は脱力度100%の快感。

『昔町』…良いですね、このお話。もう「20世紀少年」の北村薫バージョンって感じですね。泣きました。

『恐怖映画』…きっと何か恐ろしい思いをした原体験があるから、恐怖を感じるのだと思う。でも、それは人それぞれなんだ。

『洒落小町』…浅草にあるとろろ料理の名店「むぎとろ」は馴染みのある店だった。しかし経営者が変わり店舗を改築してビルにした。それ以来その店には行ったことがない。でも気をもまずに今度は行ってみようかな。「山芋気から」と言うことだし。

『凱旋』…北村作品らしい小品。文章の記憶の謎をたどっていくと、荘厳な答えに行き当たりました。言葉は記号であると共に、謎解きの鍵でもある。

『眼』…あのブラウン神父が登場してきても違和感がない世界。

『秋』…主人公は中年男性で、心理学が専門の大学教授。ずっと独身を通してきた。独身の理由は20数年も前から心の中に思い続ける女性がいたから。彼女はやがて結婚。それでもこの心理学者は妄想の中で彼女へのストーカー行為を繰り返していた。あくまでも妄想の中。しかし少し事情が変わった。彼女の夫が海で亡くなってしまったという。彼は悲しみに沈む彼女の気持ちを癒してあげたかった。と同時に悲しみに沈む彼女を見て、亡くなった夫に嫉妬する気持ちが湧いてくる。心理学者は思いきってある決断を下した。彼女を殺そう。やがてしばらくした後、今ではあの20数年前と同じように胸を焦がしてあこがれていた彼女が心理学者のあとから静かに一緒に歩いて来てくれるのだ。妄想と現実との区別が曖昧になって行く、心理学者の心模様を描き出した作品。多分そういう作品だろうと、私は勝手に妄想してみた。

『手を冷やす』…流しの洗面器の中には、氷が薄くなって浮いていました。タオルを冷たい水で絞ったのです。早く熱を冷ましてくれますように、そんなことは言葉にならなくても頭の中にあります。少しぼうっとしていたら、家計簿を付けていた万年筆のペン先から黒いインクが今にも垂れて落ちそうになってます。寒い夜、もう一時。

『かるかや』…艶(つや)のある話です。流石、北村さん。やっぱり本に絡めてきました。

『雪が降ってきました』…白い紙は何色にでも描いていくことが出来るから、可能性を秘めた若者の未来の色。なんてのは、ありきたりです。でも甘い香りがする白なんです。ベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」を聞いたことがありますか?

『百合子姫・怪奇毒吐き女』…私は好きだなぁ、こういう子。賢くて可愛いじゃない。

『ふっくらと』…なんてホカホカなんでしょう。この作品を読み終わって気持ちの良い余韻に浸っている人は多いと思います。掌編小説の白眉。

『チョコレート』…思い出し笑いしている。少し苦めのチョコレートのお話。

『石段・大きな木下で』…段落が変わると視点が変わる。長く連れ添った男と女。見つめる先はテレビ画面の中の女の子。幼い頃の娘にそっくりでした。思い出をつなげてくれる可愛い姿。

『アモンチラードの指輪』…アモンチラード?時々出くわす知らない単語。知らない単語なんて星の数ほどあります。でも届かないと知っていても一つ一つ調べて、知りたいものを知っていく。これも楽しみ。

『小正月』…どんな人生でも良いです。一生懸命自分の信じた生き方をしてきた人から受けるものは、やはり感銘です。彼女の母親の人生は「ナリマス」と言う、いわばお守りのようなその言葉に守られた素敵な人生だったに違いないと思う。きっとそうに違いない。

『1950年のバックトス』…本当に素敵な物語。この本に出会えて良かったと思う。北村薫はこれでなきゃ。もう目から熱いものがこぼれてしまいました。

『林檎の香』…これはこれはふくよかな香り。林檎の甘酸っぱい香り。ラブストーリーです。

『ほたてステーキと鰻』…有終の美をなす作品。まず「月の砂漠をさばさばと」を読んで、次に「ひとがた流し」を読んでからお読み下さい。

2008年03月22日 (土) 10時06分


[509] 伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」
From:じゅりんた(8) [関東/51歳から60歳]

「フィッシュストーリー」には、個性的な短編が4つ掲載されています。伊坂さんの作品は「陽気なギャングが地球を回す」しか読んだことがないので、他の方のレビューを拝読して初めて登場人物が他の伊坂作品の登場人物だったりする遊びがあるらしいと知りました。伊坂さんの小説もっと読みたいと思います。 さて、4つの短編の感想です。

なかなか小説の人物に共感出来ないので、「動物園のエンジン」には手こずりましたが不思議な余韻が残ったのは間違いないです。

仙台からしばらく山形よりの奥地へ向けて足を伸ばすとひっそりと息づいている集落がある。主人公はその辺境の集落で見聞きした物事から、ある企みを知る。「サクリファイス」はある出来事の謎が最後に明かされるのですが、もう少しひねりも欲しいと思いました。

表題作「フィッシュストーリー」は、読んで良かった作品です。トントントンと、とても軽快なテンポで物語が進んでいきます。さすがに伊坂さん。上手です。

最後の作品「ポテチ」。なるほどポテトチップスは袋の中に沢山入っているから複数形なので、一枚しかなかったらポテトチップスとは言わないし、味わいも食べる楽しみもない。不思議なタイトルだけど、後から考えると意外と良いタイトルなのかなぁと思いました。
途中もやもやした気持ちが続きますが、ラストがドキドキします。そして実に鮮やかなラストシーンが用意されていました。

2008年03月15日 (土) 08時54分







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