From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]
角川春樹事務所 2007年刊
「警官の血」を読んで良かったので是非佐々木譲さんの他の作品も読みたいと思っていた。
主人公の佐伯は44歳の北海道警察の警察官だ。彼がかつてパートナーを組んだ同僚警察官津久井をなぜ助けようとしたのか。そしてどう動いたか。緊迫の展開。
警察官への反共教育。警察官の持つロマンのかけらもない男女観。そういった細かな描写がリアリズムを醸し出す。
津久井は婦人警官殺しの罪で手配され、覚醒剤吸引と拳銃所持の可能性が高い為射殺命令が出された。本部からの指令を疑う佐伯。佐伯に同調する警察官たち。
津久井は道警の不正裏金事件の証人としても道議会から召喚され明日には道議会に出向くことになっていた。道議会に入ってしまえば津久井の身柄の安全が確保される。
それまでにどうやって津久井を佐伯たち数人の警官で守れるのか。そして真犯人は誰なのか。真犯人さえわかれば総てが解決する。迫るタイムリミット。そして盗聴、裏切り、内通。
犯人推理も興味を引かれるが、むしろ佐伯の仕掛けた頭脳戦を思う存分堪能するのが心地よい。たっぷり楽しめた。
2011年03月04日 (金) 17時48分
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