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[722] 黒田 研二 「カンニング少女」
From:じゅりんた8期 [関東/51歳から60歳]

文芸春秋 2006年刊

私の学生時代の時のことです。外国語の試験でカンニングが見つかり学校の教務課に連れて行かれた同級生の子がいました。その科目の単位は失い、さらに他の科目も単位が認められずその年度は落第になりました。つまり卒業ができなかった。

厳しい処置だと思いましたが、その出来事を目の当たりにして自らの身が引き締まったような覚えがあります。
落第したその学生はもちろんがっかりしたでしょうが、学校から連絡を受けた郷里の親御さんもさぞや無念であったろうと思います。

その記憶があるからと言うわけではありませんが、カンニングには良いイメージを一つも持ってはいません。

この作品を読み終わって感じたのはどうしようもなくダメな作品だなぁと思ったことです。救いがたい。
なぜならこの作品はカンニングを肯定している作品だからです。

どれほどユーモラスな記述があろうと、どれほど友情の温かさや青春の心のときめきを伝えていようと、感動的な真相を知らされたとしても、無意味です。

いっそどろどろとした光なき暗黒の世界を描くならわかりますが、カンニングを使って爽やか青春ストーリーはありえないと思います。

助手の鈴村恭子だけが一条の灯りです。黒田さんの作家としての見事な手腕をふるって是非カンニングをしない少女を描いて欲しいと思います。

2011年03月04日 (金) 17時57分


[721] 桐野 夏生 「東京島」
From:じゅりんた8期 [関東/51歳から60歳]

新潮社 2008年5月刊

「新潮」に2003年から2007年までまる4年間かけて執筆されていた作品。長い連載だなぁと巻末の記載で気づきましたが同時になるほどなぁとも思いました。4年の間には色々と新たな考えも浮かぶだろうし軌道修正もあったことでしょう。

無人島に漂流する物語と言えばなんと言っても思い出すのは「蝿の王」のあの残酷なリアリティ。「蝿の王」はノーベル賞受賞作家のものした恐怖の作品。あれだけの恐怖にはなかなかお目にかかれません。

本作品は「蝿の王」に比することはあまり意味を持ちません。リアリズムに徹しているとは言えないから。意外と楽に生存出来る島という設定なんです。つまり生きるか死ぬかを描こうというのではなくて一種の閉ざされた世界での複数の人間の自然な精神の展開を放置して傍観していこうと言う描き方です。一種の実験のようなもの。意地悪く実験を眺めているという視点とでも言えるか。

私には桐野さんの作品は初めてですが、なかなかテンポ良く興味深く読み通すことができました。読んでいる間は楽しかったです。とても上手に先が知りたくなる文章になっています。

他の方のレビューで知りましたがこの作品のヒントにもなったという事件があったのだそうですね。終戦後に日本中の話題になったという事件らしいですが真実は何処まで伝えられているのでしょう。

勝手な推測ですが、桐野さんは執筆中の4年間が楽しみだったのでは。無人島という舞台を使っての創作はなぜか心ウキウキ、ワクワクするものがあるとは思いませんか。

【付録】
P28 乳房に縋り付いていた。(すがりついていた)
P47 清子の頭はこんぐらかった。(「こんがらかる」の表記ミスかと思ったらもともと「こぐらかる」という言葉であったそうです。その強調形。)
P124 三十四人もの男を狂わせた、輝かしくも血腥い過去。(ちなまぐさい)

2011年03月04日 (金) 17時55分


[720] 東野 圭吾 「流星の絆」
From:じゅりんた8期 [関東/51歳から60歳]

講談社 2008年刊

「Beautiful days」この歌、私歌えるよ。カラオケも大丈夫だよ、たぶん。
♪空に輝くよキラリ♪星がじわり♪にじんでくよ♪

夜空の星を見上げながら心の中で願いを唱えるなんて、子供の頃の心だ。心が柔らかくてふわりと湯気が立っている。だからこの「流星の絆」というタイトルいいね。気に入りました。

東野さんのような売れっ子人気作家に対して言うセリフじゃないですが、とても上手に書かれている作品です。どんどん上手になってます。

詐欺師の女の子が自分の心には嘘をつけなくなる描写。読んでいるこちらの胸が疼いてくるようです。結末も鮮やかで素敵です。とても楽しませていただきました。

但しどうしてもわからないことがあります。それは犯人の気持ち。もちろんどんな犯罪者の心裡だって誰にもわからない。わかってるけど、でもこの犯人の気持ち、わからない。さっぱり。

このテレビドラマはまったく見てませんが、嵐ファンの小3長女から少しだけテレビのお話を聞きました。小3女子はこういうドラマわかるのか。私が小3の頃はアニメを見て夜8時には寝ていたんだけど…。

2011年03月04日 (金) 17時52分


[719] 中上 健次 「岬」
From:じゅりんた8期 [関東/51歳から60歳]

文藝春秋 1978年刊

終戦の翌年健次は生まれている。戦後生まれ初の芥川賞作家。ごつごつした純文学、読みやすくなんか無い。しかも投影でもある主人公は迷いに迷っている。迷うことで若者の成長が少しでも促されればいいのだけど彼はどうなるのか。

健次の生育してきた環境が正に現実は小説より奇なりそのものなのか。「彼」もなんで俺は生まれてきたんだろうと考える時間を抹殺するかの如く身体を動かす。汗を流す。このあたり文学の秘腔を突いている。強い小説だ。

健次の親の世代が戦争を挟んで価値観を見失っている。何が大切なことなのか、どう生きればいいのか。そんな生きる上での大前提の指針盤が崩れている。そういう世代の親たちに接して生きてきている。

60年代から70年代に成人していく日本人の多くが揺らいでいたのだろう。揺らいでいたのは時代のほとばしるエネルギーのせいだったかも知れない。

芥川賞作品「飼育」を思わず連想してしまったが、後からウィキペディアで読むとやはり大江健三郎の名前が書かれていた。汗でひかるてかてかした人間の肌。生命の本能的な力強さ。ニュアンスは違うが似てる。

私には時代を遡る、いやあの時代へと舞い落ちていく落とし穴があちらこちらに仕掛けられているような作品。

2011年03月04日 (金) 17時50分


[718] 佐々木 譲 「笑う警官」
From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]

角川春樹事務所 2007年刊

「警官の血」を読んで良かったので是非佐々木譲さんの他の作品も読みたいと思っていた。

主人公の佐伯は44歳の北海道警察の警察官だ。彼がかつてパートナーを組んだ同僚警察官津久井をなぜ助けようとしたのか。そしてどう動いたか。緊迫の展開。

警察官への反共教育。警察官の持つロマンのかけらもない男女観。そういった細かな描写がリアリズムを醸し出す。

津久井は婦人警官殺しの罪で手配され、覚醒剤吸引と拳銃所持の可能性が高い為射殺命令が出された。本部からの指令を疑う佐伯。佐伯に同調する警察官たち。

津久井は道警の不正裏金事件の証人としても道議会から召喚され明日には道議会に出向くことになっていた。道議会に入ってしまえば津久井の身柄の安全が確保される。

それまでにどうやって津久井を佐伯たち数人の警官で守れるのか。そして真犯人は誰なのか。真犯人さえわかれば総てが解決する。迫るタイムリミット。そして盗聴、裏切り、内通。

犯人推理も興味を引かれるが、むしろ佐伯の仕掛けた頭脳戦を思う存分堪能するのが心地よい。たっぷり楽しめた。

2011年03月04日 (金) 17時48分


[717] 校友会HPが改訂され、当会HPを新規に開設いたしました。
From:ダイヤモンド2期 [関東/秘密]

皆様

校友会HPが改訂されたのに伴い、登録団体(⇒『アイビーグループ』に改称)に登録していた、核部活、ゼミ、アドグルなどが無料で新たにHPを開設できるようになりました。

当会でも早速試行からの利用を申請し、昨年末から掲示を開始しております。

本掲示板も並行して情報伝達に活用してまいりますが、皆様の活用に関するご意見がございましたら、是非本掲示板へお寄せ下さい。

新HP:

http://www.alumni-aogaku.jp/ivy051/index.php?PHPSESSID=1e3f59d521865333bf216ddeed3a3647

2011年01月11日 (火) 14時11分


[716] 山田風太郎「柳生忍法帖上・下」
From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]

講談社 2005年刊

山田風太郎は大正11年に生まれた。作品は40歳から書き始め脱稿するのが2年後の42歳の時となる。

初めて発表されたのは昭和37年、その時のタイトルは「柳生忍法帖」ではなくて「尼寺五十万石」。この尼寺とは鎌倉の東慶寺のことを指す。

東慶寺は縁切り寺、駆け込み寺とも呼ばれ江戸幕府から公認されていた女性救済の寺である。また近世になり禅を世界に広めた鈴木大拙とも深い縁を持つ。

鎌倉の地は昨年11月に訪れたばかり。(2009年1月当時)ゆっくり歩いて散策した古都の秋の爽快な記憶が蘇る。あの日、あまりの混雑ぶりに戸惑ったとはいえ、東慶寺のある松ヶ岡まで脚を伸ばさなかったのは今さらながらではあるが少々悔やまれる。

ところが作品はあの時満喫した爽快な気分とはまったく無縁な書き出しから始まっていた。凄惨な殺戮シーンから始まる。息が止まる。なぶり殺されるのは尼寺からまんまと騙されて外に連れ出された数十人の尼たち。

目の前の夫や子供達の前で殺される。殺すのは7人の武士。暴君会津藩主加藤明成の家来、会津七本槍の男たちだった。夫や子供達というのは藩主明成に背いた罪で縄に繋がれて遙か高野山から引かれてきた堀一族の男たちであった。

これがこの作品の出だし。昭和三十年代後半大人気を博し大ベストセラー作品となった山田風太郎の「忍法帖」シリーズとはいったいどんなものだったのかを垣間見ることが出来る。このままずるずると物語に引きずられるように読み進めてしまった。

「柳生忍法帖(上)」では東慶寺での殺戮を運良く免れた堀一族の七人の女が凶悪極まる会津七本槍の一人一人を復讐し始めるところで終わる。

なんとも言えない気持ちを心の中に保ち続けて「柳生忍法帖(下)」へと続く。

私が手にして読んだ「柳生忍法帖(上・下)」は2005年に発行された講談社ノベルス。カバーはせがわまさきさんという漫画家が描いた柳生十兵衛のイラスト。

せがわまさきさんによるコミック版「柳生忍法帖」が出版されているようである。コミック版のレビューの数が多いのはそのせいだと後から気が付く。

忍法帖と名付けられているが、子供の頃親しんだ忍者ものの様相ではなかった。主に漫画作品や映画で親しんだのだが、「伊賀の影丸」「サスケ」「ワタリ」などあれこれ思い出すと懐かしい。

「柳生忍法帖(下)」では柳生十兵衛の助太刀の下、堀一族七人の女たちの復讐が引き続いて描かれる。しかし一筋縄ではいかない強敵が現れ妖術を繰り出し十兵衛たちは一気に窮地に陥る。

ハラハラドキドキの展開に一度引き込まれるとさすがにつべこべ言えなくなる。娯楽作品として高い評価を得ているのは否定出来ない。これは物語の世界なのだ。

しかし面白さと裏腹、痛烈な憂鬱を感じる読書でもあった。二度と読み返すことはない。

2011年01月01日 (土) 18時11分


[715] 大崎 梢「夏のくじら」
From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]

文芸春秋 2008年刊

「今や全国に散らばった「よさこい祭」は高知発祥の参加型夏祭りで、神仏に一切関係がないという特異なルーツを持つ。」(本文から引用)

これを読んでびっくりした。知らなかった。神様をお祭りするのではないのか。「よさこい」に俄然興味が湧いてきた。

見たことがないわけではない。目の前で見たことがある。お祭りの半纏を貸してくれと言われて子供に貸した。何をするのだろうかと思ったが、長男の運動会でよさこいソーラン踊りが演目の一つになっていた。(2007年当時)

親のひいき目を差し引いても学年全員が揃っていて感動するほど美しい踊りだった。その印象は脳裏に沈んでいたが本書を読みながら、ふと蘇った。

お祭りの準備から丁寧に語られる。曲作り揃いの衣装作り仲間集め。お祭りへ向けての熱気が伝わってくる。

主人公の大学生、篤史に一日ごとに同化していくような錯覚。お祭りの雑踏に紛れていくような錯覚。大音量が聞こえてくるような錯覚。想像上のそのお祭りに飛び込みたい。飛び入りで参加したくなる不思議なエネルギー。

とにかく若さ溢れ躍動感に満ちている。いいなぁ。この元気でタフなこいつらの笑顔。

そして篤史にとってはもう一つ重要な意味を持つお祭りであった。4年前の中学生の時に初めて感じた甘く切ない気持ち。心の中でずうっと慕い続けている人がいる。

さあ、篤史は思い出の中に住むあこがれの女性との邂逅を果たせるのであろうか。感動のフィナーレとなるのであろうか。盛り上がるよさこい祭に大いに注目。

2011年01月01日 (土) 18時05分


[714] 新津きよみ「トライアングル」
From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]

角川グループパブリッシュイング 2008年刊

この歳になったって世の中わからないことだらけ。どれほど教科書を読んでも新聞を読んでもラジオを聞いても人から話を聞いてもわからないことがどれほどあるか。

子供の頃は何がわからないのかそれがわからなかった。大人になって知りたいと思うことは知れば知るほどわからなくなるということがわかってきた。

一生掛かっても得られる知識なんてのは悠久の宇宙の時間を経てきた森羅万象のほんの一部のことだけ。

図書館から借りてきたリサ・ランドール氏の「ワープする宇宙」だってまだ読み切れない。5次元時空って多分死ぬまでわからない。

でもいいと思っている。そんなもんだと思うようになった。人間なんてゾウの背中を歩くアリのようなものだ。人生なんて…と思う一方で子供達には勉強しろって言っている。

新津きよみさんの作品はこれが初めて。期待していた。藤崎敏子と郷田亮二はかつて小学校の恩師と教え子という関係。この二人が主人公。二人の過去と現在から人間関係がつながり絡み合いふくれあがる。

当初は見えにくかった物語も理路整然と進み次々と収まっていくのが小気味よい。
あらを探そうにも万全の記述で反論を受け付けない程の丁寧な記述。

さすがにプロの作家だ。見事に仕上がっている。脱帽以外表す態度がない。

でも。ご都合主義とまでは言わない。だけどね。なんとも言えない違和感を感じ始めた。私にはあまりにそれがきれいに収まっていくのでなんとも言えぬ違和感を感じてしまった。

郷田ら教え子たちが小学4年生の時に書いた10年後の自分へ宛てた手紙がこの作品の鍵。鍵なんだけどそれで総てが解錠出来てしまう。ミステリーの総てが解明されてしまう。

そんなにきれいに人生の、人の世の謎がわかっていいのか。私にはいまだにそしてこれからもわからないことだらけの人生だって言うのに。

内容に少々逆らう気になったのは自らの足りなさを横に置いてまっすぐな主人公にひがんだせいか。愚痴っぽくなった。その点は反省。

これだけスマートに作品を書き上げる新津さんの作品にはまた目を通したいと思う。

あっ、最後にこれ書いておこうかな。書名「トライアングル」。これがわからない。どうしてこのタイトルなのか。考えてみたけどわからない。

でもいいか。これが私の、いつも通り。「わからんわからん」なんだよね。

2011年01月01日 (土) 18時00分


[713] 越谷 オサム 「階段途中のビッグノイズ」
From:じゅりんた [関東/51歳から60歳]

幻冬舎 2006年刊

聞いたことあるかなぁ?Green Dayの「バスケット・ケース」。ポップで魅力的なロックミュージック。是非聴いてみて下さい。神山啓人のお気に入りの曲です。

かみやまけいと?それだれ?

高校二年生の男子です。普通の高校生ですよ。でもね、ちょっとだけ他の生徒と違うんです。
廃部がほぼ決定している軽音楽部のたった一人の部員なんです。

ふ〜ん。でもそれのどこが面白いの?

私にはとっても面白かったんです。是非手にとって読んで欲しい。あなたがどう感じるか、面白いと感じるかどうかそれはわかりません。

でも、間違いなく言えることがあります。戻れます。あの頃のあなたに戻れるはずです。

もしも啓人に会ったなら、よろしく伝えて下さい。そしてもう一言、かっこよかったよって、じゅりんたが言っていたと。

2011年01月01日 (土) 17時55分







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