(空)
毎朝、ベランダに出て空を眺める
「よし、今日もいい天気」 そよ風が吹くのを肌で感じながら風羽の一日が始まった
風羽は早くに両親を亡くし一人暮らしをしていた
アルバイトに行くとバイト仲間が話してきた
「風羽、今日誕生日じゃん?」
「えっ、そうだった?」
「本人が忘れてどうするよ」
「そうだよ、今日みんなで飲みに行こうよ」
「祝ってくれるの?」
「当たり前じゃん」 バイト上がりに飲みに行くことになった
バイトが終わると外に出てみれば夕焼けが綺麗な空だった
今日も良い事あった
心で思いながら風羽はバイト仲間と飲みに行くのだった
交通量の多い交差点の向かいに行きつけの居酒屋がある信号待ちをしていると一人の老婆がふらりと歩き出すのを見て風羽は老婆の方を掴み声をかける
「おばあちゃん、まだ信号は赤だよ」
「すまないね・・・・・・・・・夜になると目が見えにくくて」 老婆は重たそうに荷物を持ちながら言う
「おばあちゃん家は近く?」
「ええ、あの居酒屋の裏の住宅街だよ」
「じゃ、私が送ってあげる」 風羽は老婆の荷物を持ち笑うのだった
「すまないね〜」
「みんな先に行っていて」
「まだ始まったよ風羽の世話好きが」
「何言ってんの、年寄りを助けるのも若い私達の努めよ」 風羽が夜空を見上げると星が見え綺麗だった
風羽が無事老婆を送り届け居酒屋に向かう時強い風が吹き誰かのささやきが聞こえてような気がしたが気にもせずに居酒屋に向かうのだった
「やっと見つけた・・・・・・・・・我が姫よ」 黒い影は消えるのだった
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