日射しに悪態を吐くほど暑い夏の日 【昼休みは外で弁当を食べる】という変な校則のために、優也は嫌々外に出てきたのだ 優也は「はぁ……」とため息を吐いた 何だってこんな暑いんだよ…… 「あーっぢぃよ…。避暑地行きてぇ」 「なら、その望み叶えてやるよ」 耳元に囁くような声は、木陰で休んでいた優也には幻覚に聞こえた うるせぇな…とうとう幻覚が聞こえるようになったか 「おいおい、無視すんの?折角アタシが叶えてやるって言ってんのに」 汗だくの顔をふき、周りを見るが誰もいない 「どこ見てんだよ。アタシはアンタの頭の中に話しかけてんの」 「っつーか誰だよ、お前」 優也は我慢出来ずにベンチに横になる 先生に見つかれば内申点引かれること間違い無しだが、偶然にも人一人としていない 人がいないのは好都合だ、気が楽だし 「アタシは悪魔って属のユーニャ。アタシさぁ、アンタみたいな奴に話しかけんのが大好きなの」 「俺はいい迷惑だよ。んで?悪魔が何の、よぅなんだ……?」 頭が重い…くらくらする頭を抱え、優也は座り直した 「どうした?…えーっと、優也か。優也、どうしたんだよ。熱でもあるのか?」 だんだん、ユーニャの声が聞こえなくなってくる 耳鳴りが強くなり、気分が悪くなった優也はうずくまった 意識がゆっくりと、溶けるように薄れていく 「おい優也、しっかりしろ。アタシの声が聞こえないのか?なぁ……優也……き……るか?……優……」 木陰の中、ベンチに横たわる影 汗でシャツを濡らし、優也は苦しそうに「ぐっ……」と呟いた
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