敢えて言うなら「上巻は新」「下巻は旧」というところでしょうか。
 もちろんルーシーやバーンズの追加台詞など、新の下巻についても、前より良くなった部分は多いですが、前に比べて「惜しい」「弱い」と思ったのが実は二ヶ所。
 まず一つはアンサンドラの扱い。
 旧作にあった「秘められたる危険な野心」が減殺され、むしろ『ジェネシス』で語られた「本当は心優しい」が優先されている感じ。
 そしてもう一つがラスト部分。
 「神聖帝国」に向かう時代説明の削除はまだしも、まさに「小説」ならではの演出であった、ラストページの余韻が無くなってしまったのがとにかく惜しい。
 しかし新旧いずれにしろ共通点として感じるのは、「最終的にアンサンドラの野望を砕くのは、間違いなくミミ」という可能性だと。