家島沖にまた産廃 絶えぬ不法投棄 淡路沖にも
神戸新聞2007/02/03
姫路市の家島諸島周辺海域の播磨灘で相次いだ産業廃棄物の不法投棄で、新たに同海域や淡路島沖の海底で粘土状の建設残土が見つかったことが二日、分かった。昨年分の回収作業が一段落した後だけに、地元漁協は「魚の産卵場所へのたい積も懸念され、海洋資源が大打撃を受ける」と被害拡大に憤っている。
(岡本好太郎)
新たに見つかったのは、イカナゴの産卵場所として知られる鹿ノ瀬の南西付近や家島沖、淡路島沖の四カ所。
今年一月二十一日、淡路市郡家沖約十キロの海域で、一宮町漁協所属の底引き網漁船が操業中、建設残土のようなものを引き揚げた。石などが混じり、油分を含んだ粘土状で、赤茶色をしていた。坊勢漁協所属の底引き網漁船も同日以降、昨春に見つかった家島南方の海域や淡路島沖など三カ所で、同様の残土を引き揚げた。
両漁協によると、いずれも休漁日(二十日)の前日まで操業していた海域で、「十九日夜から二十日にかけて投棄された可能性が高い」とみている。
両漁協からの通報を受けた姫路海上保安部は「前回は阪神間の丘陵や大阪湾岸部に多い土質で、セメント系の凝固剤が混入していた。今回も建設残土の可能性が高い」として分析を急ぐ。
粘土状の残土は網目から抜けず、漁船転覆の恐れがある。魚の卵の上にたい積すれば、ふ化ができず生態系への影響も大きい。度重なる不法投棄に、坊勢漁協の上村広一組合長は「海上では監視に限界がある。法規制を含め、水際で食い止めなければどうしようもない」と怒りをあらわにしている。
坊勢漁協は、昨春に投棄された残土のうち約百三十八トンを自主回収した。姫路海上保安部は昨年一-五月に家島周辺海域を通過した延べ八百四十隻の運搬船や搬出業者を把握し、不審な船の洗い出しを急いでいる。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000231851.shtml