歌帖楓月 |
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ガイガー管理官(25歳 男): こんばんは! お久しぶりです皆さん! 作者の体調が今なら良いらしいので、続きのせます! お待たせしてごめんなさいね! ではどうぞ! そして、僕はここで失礼します! では!
::::: 「書類の取り合い」その11
「いやー……ハハハ。うわあ、これどうしましょう?」 若い男性職員は、とりあえずそれだけしか言えなかった。 「管理官ー」 どうしようもないので上司にふった。 「うん。ちょっと質問タイム。女性の立場としてはどうですかな? ああいうのは」 そして、上司は2人いる女性職員にふった。 「いやーっ、て言うしか、ないんじゃないですか? もしも私なら、言いながら蹴ってるな、膝で」 どこを、とは口に出さなかった。 もう一人の女性職員は、仏頂面でつぶやいた。 「これはセクハラです」 「そうだよね……」 一同、そう言ってうなった。
「や、……駄目っ、中将っ……なんでっ、」 「じゃあ日記を離しなさい」 「それとこれとはなんか絶対違う! どうしてこういうこと、……って、……やっ……」 はずかしがるロイエルが非常にかわいらしかったために、つい甘いことを考えてしまったというのが、答えなのだが。 世間ではこれを「よからぬこと」、という。 しかし、……ロイエルの神経の方が許さなかった。 「駄目! 離して! ……中将、!」 思い切り力の抜けた腕を、それでも日記を持ったまま、無理やり使って中将の両肩を押し戻した。そしてボタンの外されたシャツをかきあわせるロイエルは、耳まで赤くなっている。 「こういうことするのって駄目!」 「じゃあ返しなさい」 と、中将は、見る人が見れば意味深なほほ笑みで返した。ロイエルには「他意はない」という表情にしかみえなかったが。 「嫌。それに、こういうのって、絶対違う。ルイセから聞いたことある。ええっとね、目的のない遊びってやつ。あのね、冗談の延長でキスとか……えっと、こういうことしちゃいけないの。そういうのって、えっとね、たしか、恋人同士で……えっと、じゃれあうときにするんだよって、ルイセが。……あれ、じゃれあう、って、動物の子供がすることじゃないの? 聞き違えたかな? 別の言葉?」 真っ赤になって言う途中で、何やら記憶を辿るのに夢中になったらしく、途中から真面目な表情になったロイエルに、中将は頓着せずに、ロイエルの顎を持ち上げると、うすく笑って瞳を覗き込んだ。 「ルイセが言うのと私がしていることはは少し違うよ? 私は、誰でもでなくて、ロイエルでなければ嫌だ」 「……え?」 途端、中将に捉えられたロイエルの瞳が丸くなり、ついで、意味を理解したのか真っ赤に戻った。中将は嫌いだけど、なんだか、見つめられると、息が詰まるみたいになる。嫌いだけど真顔でそういう冗談をいわれると、どうしてか頭が真っ白になる。 「だからっ、中将、そういう冗談は、……や、」 右手で顎を捉え、左手は、日記を持つロイエルの腕を捕まえて、 「冗談じゃないよ、」 と、ささやいて、口づける。 が。
「あははははは! ほーらーねー! ぶたれたよやっぱり! どわっはっはっは! あー、おかしー! はーはははは! 笑いが止まらんわ」 情報管理課に、上司の馬鹿笑いが響いた。 「あらあら、まあまあ、痛そうですわねえ。お可哀想に?」 女性職員が、本当にほんの少しだけ同情を込めて、そうもらした。 もう一人の女性職員は、よくやったと言わんばかりに、モニタに向かってうなずきを繰り返している。 「セクハラには厳しい制裁にて対処しなければ。やっぱり自業自得なんです。因果応報。殴られて当然」 「こぶしで殴られましたね。……ううーん、痛そうだけれど因果応報……」 男性職員の複雑な表情を伴った解説に、管理官はまだ、腹を抱えて笑っている。 「がははははは! いやー、晴天の霹靂パートUってやつ? これはもう明日が楽しみだなあ! たしか明日は、ゼルク君が来るんだよねえここに。うふふふ! よーし! 早朝出勤して、ゼルク君のこと待ってよう僕! そうしようっと」 「管理官……。そういうときはやけに真面目に出勤ですね……」
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(75)投稿日:2004年06月26日 (土) 00時44分
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