歌帖楓月 |
|
ガイガー管理官(食べ物大好き25歳 男):
こんばんはー! 食欲の秋! 食べ物の秋! スイーツの秋! 皆さん、秋っていいですよね! え? 読書? スポーツ? 芸術? ……一体、それと秋と何の関係があるのでしょうか?
さーて、それでは行ってみましょうか。IF 今回は、本編で最も重要な場面である 「ゼルク氏の青天の霹靂 情報処理課大慌て」のあれです。 エミリだと、どうなっちゃうのでしょうか? ではどうぞ! ちょっと長いですよ?
:::::::::::::::::::::::::
キャラクター入れ替え編『もしもロイエルとエミリが逆だったら・・・』
DEEP METAL BATTLE [IF]1 第6話
夕刻となった。ここ、今は夕闇に沈みつつある領主の館の地下には、石造りの牢があった。町で犯罪が起こった際に罪人を罰するためのものである。 そこに、ロイエルはいた。 この私としたことが! 風呂場では、しくじってしまいましたわ! 次の機会こそ、必ず、ですわ! 囚人が不審な動きをするのを見落とさないために、石牢には各所に明かりが灯されており、随分明るい。その中で、ロイエルは不敵な微笑みを不気味に浮かべていた。今、牢に捕らえられているのは彼女一人。一緒に行動していた少年たちは、ロイエルの命令で町に戻っているはずだった。 ……あの子たちはもういらない。これ以上うろちょろされては、私の「中将をものにする計画」に差し障りが出るわ。あ、そうそう、ドクターごめんなさい。私、金輪際、ドクターから離れて、自分の未来に生きることにするわ! 中将はドクターの言っていた通りの、いけてる人だったわ。……ふふふ、見てらっしゃい、中将、あなたは私の物よ! そして、顔も知らないオウバイ様、……ごめんなさい。せっかくの石でしたけど、あなたごときなんかに、中将は渡しませんことよ! などと、ロイエルが、ねじれた思念に燃えているときに、檻の外から階段を降りる足音が聞こえて来た。 「!」 来ましたわ! と、ロイエルは会心の笑みを浮かべた。こちらへ向かう足音がいくつも聞こえる。話し声も。 この足音の中に、絶対にいるわ! 彼が! ホホホ! 「中将、自分もロイエルの取り調べにご一緒させていただきたいのですが」 「いいえ、アンネ准将。あなたは上にいてください。あの少女に話を聞くだけですから。まだ彼女を正式に逮捕した訳ではありません。ですから、……」 「……そうですね。くやしいですわ。では、逮捕し次第、私は彼女にさっきの仕返しを…………いえいえ、自分の犯した過ちをしっかりと反省してもらうことにしましょう。では、私は医師の所へ話を聞きに行って参ります。しかし中将、お気をつけて。あの娘、ただ者ではありません」 近づいてくる男の声と一所に止まったままの女の声。女の声の方は、どうも怒りのせいでか、震えている。ほほほ、私を恨んでますわね、彼女。ふふ。あれは油性ペンだからそう簡単には消えなかったはずですわ! ほーほほ! いつもいばり腐ったあの女の、屈辱に震える顔が、目に浮かびましてよ。フフフ、いい気味ですわ。と、ロイエルはほくそえんだ。「では准将、医師の所へは後程私も参りますから、それまで、よろしくお願いします」「はい!」 そう、彼女、ドクターの所へ行く訳ね。だって、私がオウバイのこととか、ばらしちゃったものね。ごめんなさいね、ドクター。あ、そうだ、ドクターとオウバイに全部の責任を取ってもらって……私は被害者ってことで、無罪にしてもらえばいいのよ。うーん、二人に脅されて、泣く泣くやってた、って感じがいいかしら? 私は、悲劇のヒロイン、ですわね。フフフフフ。 会話に聞き耳をたて、えんえんと策略を練っていたロイエルの元に、何人分かの軍靴の音が近づいてきた。近づいてくるにつれて、ロイエルの表情はしおらしい乙女のものに変化していく。 そして、 「こんばんは、ロイエル。様子を見に来たよ」 兵士を3人引き連れて牢を訪れた中将は、両手で顔をおおって泣き崩れていたロイエル。を目にし、引きつった。 ロイエルは牢に身を投げ出し、さめざめと泣きじゃくっていた。 「うっううっ……」 付いてきた兵士が、気の毒そうに自分を見つめる気配を感じ、ロイエルは両手の平で隠された顔を笑みの形に歪めた。ふふ、ひっかかってるわ。 「泣いてないで、起きなさい。ロイエル」 中将はやや腰を落として、檻越しに、泣いているロイエルへ話しかけた。 ロイエルは、今、顔を上げて中将と話をするのは得策ではないと考え、泣き続けた。彼には、牢の中に入ってもらわないといけないのだ。すると、カシャリと鍵音がした。お付きの兵士が鍵束をもって中将を案内し、牢の中へ入ってきた。ロイエルは心中で喝采をあげていたが、表面上はか弱げな表情で涙をこぼし、弱々しく身を起こして、「不遇の少女」の外見を見事に取り繕った。 牢の外では他の兵士が、同情の視線をロイエルに向けた。ロイエルは、儚げにそちらを向いて、2しずくの涙をこぼした。すると、兵士は、非常に同情に満ちた表情になった。可哀想に、だまされている。 中将が深刻なため息をついた。少女に対してである。 「鍵は私が預かる。君たちはもういいから、上へ行っておいてくれ」 中将は牢の外の兵士らにそう言った。 「はっ……。お願いします」 兵士は、おとなしく去っていった。少女の哀れな様子を見るに忍びなかったらしい。 そして、二人きりになった。 中将は立ったまま腕を組んでロイエルを見下ろした。 「嘘泣きは止したまえ」 ロイエルは、はらはらと涙をこぼした。 「嘘泣きだなんて……ううっ。あんまりですわ……。中将、私、私、どうしてこのような境遇になったのかさっぱりわかりませんの! ああ! 私はただ、ドクターのおつかいで、小石を届けに領主館に来た、それだけのことですのに。なぜ? どうしてですの? どうして私が、こんな冷たい牢に捕らえられておりますの? ううっ……」 繊細優美で可憐な乙女が、石牢に捕らえられて涙を流す。一見、不幸な境遇で、可哀想である。 しかし、中将の同情は買えなかった。 「それは置いておいて。ロイエル、ひとつ尋ねたい。ソイズウ参謀長、彼を、完膚無きまでに蹴ったのは、君だね?」 「ううっ、それは一体なんのことですの? ソイズウ? その方、一体どなた? そんな、蹴り殺すなんて、恐ろしい」 「……だれも蹴り殺したとは言って無い」 「ええっ! 生きてたんですの? あの変態男!」 シーン、と、沈黙が落ちた。 「……。君がやったんだね、ロイエル」 ロイエルは両方の頬に手を当てて、愛らしく首をかしげた。 「いやん……そんな、そんなこと、ロイエルできない。あ、そうだわ、……中将、ロイエルにこんなふうに拒否されたことあって? あの子じゃ無理でしょ?」 「話がややこしくなるからやめなさい。さて、じゃあ、していないというのなら、この靴を履いてもらえないか? ロイエル。当時の現場に残っていた物なんだが」 中将は、綺麗なピンヒールの靴を取り出した。ここで、初めてロイエルがまずそうな表情になる。 「……なんで、まだ残ってたんですの?」 「履く気があるのかい? ないのかい?」 ちっと舌打ちし、ロイエルはその靴を履いてみせた。ぴったりだ! 「君がやったんだね? ソイズウ参謀長を」 「だあって、ドクターがやりなさいって、おどすんですものお! か弱い私はドクターのお仕置きがこわくてえ」 「嘘をつきなさい」 だが、ロイエルは、きょとんとして、首をかしげた。 「ホントですわ? ……あ、やだ、中将。もしか、ロイエルから聞いてないんですの? ドクターの、『お仕置き』の話」 「……は?」 なにそれ、という怪訝な表情の中将に、ロイエルは説明を始めた。 「あれってー、すごくなかなかでしてよ? 生娘のまんまでもやり方次第でかなりやれるもんですわよね? って、……あ……、しまったですわ。やっぱり、これってロイエルの言えない秘密? やあだ、私ってば、……言っちゃった……。ま、いいですわ。聞かなかったことにしてくださいな」 一見無邪気そうな「ロイエル」の言葉だが、話の内容は穏やかでない。ゼルクベルガーは目に見えて凍りついている。 「……」 しかし、ここにきてロイエルは、ニヤリと笑ってしまった。 「まあ中将ったら、すごい真顔ですわ。あはん……、そんなお顔って貴重だわ。……痛いっ! げんこつでぶちましたわね!」 「初めてだよ、君にひっかかったのは」 「うふん。そおかしらぁ?」 「……しまった。話がずれた」
:::::::::::::::::::::::::
ガイガー: はい。「お仕置きの話」の真偽ですが。 どうしよっかなー。どっちがいいかなー? 十六禁的には真の方にしとこっかなー? ということで、真です。作者にそれ系統の話を作ってもらいましょう。
ゼルク: 偽に決まってるだろう。
ガイガー: ……うお!? 君、また乱入!? どういうこと!? もうこなくていいよ? ここは僕の秘密の花園なんだからさ?
ゼルク: 勝手に偽話をでっちあげられてはたまらないからな。 研究院のアインシュタイン経由でここに来たというわけだ。
ガイガー: あの熱血体育会系魔法使い様、こんな深夜に何起きてるのよ? 今、もうすぐ午前3時だよ?
ゼルク: 彼にとっては、もう朝の3時だ。20時就寝2時起床。
ガイガー: すみません。考え方が根本的に間違ってました。 んじゃそういうことで! 僕逃げます!
ゼルク: ……。今度はアイシクルロッジの氷雪地帯にでも連行するか。
|
(89)投稿日:2004年10月03日 (日) 02時49分
|
|