歌帖楓月 |
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ガイガー: 調子に乗って、続きを載せよう。ふふふ。 だって、その1だけじゃ、どんな話になるのかわからないものねえ? ::::::::::: その2 それだけ言うのに、まるで大義をしたように肩の力を抜き、ゆっくり3つ数えたときに玄関の扉が開いた。 「やあロイエル。ご苦労様」 少女の義兄が、おだやかな笑顔で迎えた。月色の髪の若き軍の幹部。義妹以外からの彼に対する評価はすこぶる良い。国軍中将ゼルクベルガー、知らない人の方が少ない、軍の英雄の一人である。 ゼルクベルガーは、彼女から紙袋を受け取ると、「重いね」と言った。ロイエルはうなずく。 「パン以外に、料理の本が入ってるの」 中将の表情が固まる。 「お返しを期待しているということかな。ロイエル、そのうち持って行きますよと、母上に伝言してもらえないかな」 中将は、ロイエルをつれて居間へ行った。居間は1階の、前庭を見渡せる場所にある。 紙袋の中からは、おいしそうなサンドイッチや、バターロールにハムや卵をはさんだものがたくさん出てきた。そして最後に料理の本が、2冊。 「お菓子も作れということか」 さすが母上だ。と、感心しているが無表情の中将は、料理の本を手にとってぱらぱらとめくった。 「ロイエルも食べていきなさい。こんなにたくさんあるんだ」 本から、目線をロイエルに向けて、中将がそう言うが、ロイエルは首を振った。 「ううん。イングリット教授が中将にっておっしゃってたわ。私もちょっとだけ手伝ったけど、これ全部中将が食べるんですかって聞いたら、『そうよ。全部持って行ってちょうだいね。』って」 一瞬、中将は沈黙したが、 「その時、とても機嫌良く笑ってただろう?」 と、聞いた。ロイエルからは、案の定、肯定が帰って来た。 「そうよ。すごい、中将、やっぱり親子だからとてもよくわかるのね。イングリット教授、それはにこにこ笑ってらしたわ」 なるほどね、と、中将は笑った。 「じゃあ、このままロイエルを返したら、私が叱られるわけだな。これは君の分が入ってるんだから、食べて行きなさい」 仲良くなさいよ? 困ったものね、本当にゼルクは修行が足りないんだから。と言って笑う母の顔が目に浮かぶ。 首をかしげるロイエルに、中将は、母上にひっかかったね、と言って面白そうに笑った。 ::::::::::: ガイガー: 以上、その2でした。現在までにファイルサイズで40kb書いてて、進行中のもの、だそうです。 また書き込むかもね。
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(62)投稿日:2004年02月21日 (土) 23時42分
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