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情報処理課分室 のぞき見 D.M.B.

ここは、DEEP METAL BATTLE を、一部の登場人物がのぞき見しているページです。
これもとりあえず作品の一つとして見てください。ネタバレありです。

そのほか、疑問感想などございましたら、ぜひぜひ書き込んでください。お待ちしてます!

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歌帖楓月
ガイガー(25歳 男):
はい、続きをどうぞー。

:::::::
「書類の取り合い」その4

 2階に寄って行きなさい。教授に持って行って欲しいものがあるから、という言葉でロイエルは案内された。
 そして、書斎に入った少女はは、机の上に、彼女が世界で一番よく知っている、本のような冊子がのっているのに気づいた。見過ごすところだったが、それは、あまりにも、ロイエルがよく知っていて、そして、絶対にこんな所にはあるはずのないものだった。
「それ、……私の日記……! どうしてっ?」
 目がこぼれんばかりに見開き、驚くロイエルに、中将は、うなずいた。
「エミリが持って来ていたんだよ。国軍の管理下に置いてくださいって。君たちに関する他の公的な書類ごとね」
「でもそれ、あたしの家に……じゃなかった、ドクターの家の私の部屋にあったものなのに、」
「ああ。他にもドクターの物とか、色々あったよ。大方はね、軍の方で保管しているけどね」
「なんで……それだけがここにあるの?」
「これだけじゃないよ。他の物もあるよ。ロイエルに関する物がいくつか。君はドクター達と違って、捕まっているわけではないから、別に、軍で管理することもない」
 と、ここまで言い交わしたところで、ロイエルが動いた。
「あ」
 中将の目が細められる。ロイエルが、机上から、日記を取り上げていた。
「だからってね……。まだ私の管理下にある訳で、君に返すまでには至ってないんだよ。戻しなさい」
 ロイエルがさっと首を振り、神妙な顔で言った。
「いや。……中、見たの?」
 中将は、しばし沈黙した。
「見てないよ。まだ」
「見るつもりだったの!?」
 そう。と、はっきりと、うなずきが返って来てしまった。
「駄目! ……なんで見るの? ! どうして、中将が持ってないといけないの?」
 手を差し出して返すように促す中将に、ロイエルはぶんぶんと首を振って、日記を持った手を自分の背後に回した。
「君ね……。エミリが領主の代理の者としてやって来て、使ってくださいと言って、私に預けたんだよ。そして、ミスリルマインの紛争処理の最終責任者は私だった訳だから、私が持っているのは当然だろう?」
「……そうだけど」
 反論の余地はなかった。でも、返したくない。
「これは、私のなの!」
「……聞き分けなさい。今言った通りの理由で、君とドクター達は首謀者だったんだから、そんなこと言えないだろう。こういう日記や記録文書はね、紛争の経緯を知る重要な資料になり得るんだよ」
「そんなこと、書いてない!」
「君にとってはそうかもしれないけどね。こちらがわから見たら重要なことがあったりするんだ。まだこれは君には返せない。管理は私に任されてるんだよ、返しなさい」
「嫌! これだけは嫌!」
 がっちりと、日記を持った手を、固く背後に回しこんで、きっと睨みつけるロイエルに対し、中将は、ふう、と、ため息をついた。
「わかりやすく言おうか? ロイエル。僕が持っていないと、命令違反で給料を下げられるんだ。そうすると困る。そしてやはり仕事は誠実にしたい。だから、返しなさい」
 給料……。少女は、戸惑った。そうか、給料を下げられたら、生活できなくなったりするわ……。果たして、私の日記一冊と大人の仕事とは、どちらの価値が重いだろうか……。そうだ、別に、見たくて持っているとかいう訳じゃ、ないものね。
 ところで、ロイエルは、中将がどれだけの桁の給料を貰っているのか知らない。一体何割削られたら、生活に困窮するに至るのかはわからない。わからないが、他人の生活にヒビを入れる罪悪感に、ロイエルは負けた。
「じゃあ……、返してもいいけど、見ないでね?」
 中将はにっこりと、良くできた微笑みを浮かべた。
「見ないよ」
「……じゃ、はい」
 この、彼の、生まれてこの方、母親とごく親しい友人以外、誰にも真意を見抜かれたことのない「優等生な笑顔」を、出会って3カ月しか経たない少女に看破できるはずはなかった。
「……ねえ、あれは何……?」
 ロイエルは、おとなしく日記を渡した。
 そして、もう一つの「書類」に気づいた。

:::::::

ガイガー:
 女の子の日記見ちゃ駄目だよゼルク君。「見てないよ」、とか言ってたけど、見てないなら机の上に置きっぱなしのはずないじゃないのさ。他の書類はきちっと保管してあるんだから。可哀想に、ロイエル君だまされちゃってるね。仕方ないなあ、ここは、正義の味方の僕が登場して、いたいけなお嬢さんを守ってあげなければね。

ブルックリン&ジェニファー:
 やっぱりここにいたんですね? さ、職場復帰しましょうね? 管理官。

ガイガー:
 !!!!!! うおっ!?

ジェニファー:
 管理官、運がよかったですわねえ? 今週の休日勤務当番は、なんと、私とブルックリンでしたの。さあ、ブルックリン、管理官の左腕持って。私は右を持つから!

ブルックリン:
 さ、行きますよ? 管理官。それでは、皆様、どうもお騒がせしました。

ガイガー:
 おおお! 離してくれえ! ……た、助けてーお兄様! 根性悪の妖精さんたちがいじめるの!

二人:
 はいはい。そうですそうです。
(66)投稿日:2004年03月28日 (日) 16時00分



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