歌帖楓月 |
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ガイガー(25才男 情報処理課管理官): いらっしゃいませこんばんは! ご一緒にポテトはいかがですかー? って、一回言ってみたかったの。 どうにもこのあいさつ「いらっしゃいませこん○○はー!」って、 ファストフードの店員さんを思い出して仕方がないんだよね。 ……え? そんなの僕だけ?
では、なにごともなかったかのように〔IF〕の続きをどうぞー! :::::::::::::::::::::::::
キャラクター入れ替え編『もしもロイエルとエミリが逆だったら・・・』
DEEP METAL BATTLE [IF]1 第10話
翌朝。中将とエミリと、何人かの兵士とが、医師の家を訪れた。 湿地から立ち上る霧が、村を白く煙らせている。 「おはようございます。ドクター」 エミリは、先頭に立って医師の家の扉を叩いた。 「ドクター?」 返事がない。 エミリは、不安になった。まさか、ドクターの身に何かが? 「ドクター? ドクター! ……おかしいわ! いつもは、朝がとても早い方なのに!」 「落ち着いて、エミリ」 まさか、逃げたか? 中将はそのような事を考えながら、エミリを脇に避けさせて、扉を壊すべく、部下に指示を出そうとした。 「……ぅぁー……、はいはいはいぃ……今開けますよおぉぉ……」 ところが、呑気な声が、家の中から漏れ出て来た。 「……」 次に、がちゃりとドアが開いて、寝癖のひどい頭の、半分以上寝ぼけているドクターが、顔を、のっそりと出した。 「ド、ドクター……おはようございます。その、どうしたんですか? いつもは早起きのドクターが、」 ドクターのめずらしい姿に驚いたエミリは、思わず尋ねた。 「ああ……エミリ、おはよう。いやー久しぶりによく眠れましたよ。いつもは、早起きのロイエルの朝食を作るのに、もっと早起きしないといけないので、つい寝不足でね。まあ、ロイエルは低血圧らしくて、朝は力が出ないと言っていましたから。忠誠心に厚いロイエルですから、そんな時くらいは、私が動かねばね。ふあー……」 ……だまされている、と、エミリと中将は思った。
ドクターの家に通されたエミリと中将は、ドクターから、紛争を起こした理由を聞き出した。ついて来た兵士らは、家の外で待機している。 「ええ。私は、私の尊敬するオウバイ御祖母様の教えに従い、この村ミスリルマインの湿地に棲むミドガルズオルムを生かすべく、罪を重ねて来たのです」 「何故……そのようなことを?」 「……ふふ、信じてもらえるでしょうか。ミドガルズオルムは、あの凶暴な大蛇は、一方でこの村の守り神でもあるのです。あの蛇が棲む湿地の水がなければ、オウバイ様の術は完成しない。この村を厄災から守る、尊敬する麗しのオウバイ御祖母様の術は、作れないのです」 ドクターは、真摯な表情で、しかし穏やかに笑い、そう言った。 中将はしばらく考え込んだ。 「あなたの御祖母様の術とは、一体どのようなものなのですか?」 ドクターは、風景を思い出すように目を閉じる。 「この世で一番尊く美しいものです。一般の魔術体系とは全く流れを異にする、ここミスリルマインでのみ実現可能なもの。そのお力には、果てがありません……、何でもできる、万能な術なのです……はあ」 最後の「はあ」は、感嘆のため息であった。そして、唇には歓喜の笑みが浮かんでいた。 話を聞いていた二人は一様に沈黙した。 「では、あなたの御祖母様の采配によって、ドクターは動かれたのですか?」 中将がそう問うと、ドクターは首を振って否定した。 「いいえ! オウバイ様の御心と私の心は一つ! オウバイ様の意志、それすなわち私の意志に他ならないのです! ああ! オウバイ様、私の心はあなたの物……!」 熱病にかかって、彼岸の世界を見ているように浮かされた表情のドクター。 中将はエミリに、耳打ちした。 「確かにあなたの言うように、村のためにしたことであるようだが……それ以上に彼の御祖母様のためでもあるようです」 エミリは、複雑な表情でうなずき、中将にのみ聞こえるようにささやいた。 「ええ。……でも、ドクターは良いことをされたと、心から思っておられます。ドクターは、おばあさまのことをそれは尊敬していらっしゃいますから」 「私は、彼が尊敬以上の気持ちを持っているように感じたのですが」 中将がそう言うと、エミリは、すこし複雑な表情で微笑んだ。 「そう、思われます?」 そして、まだ陶然とした表情の医師に、エミリはおずおずとたずねた。 「ドクターは、オウバイ御祖母様を、……あ、愛して、らっしゃいますの?」 「ええ! 世界一です! あの方で私の頭はあふれかえってます! あの方無しには生きてはいけません!」 間髪入れずに返されてしまった。 エミリは息を飲み、そして、うつむいた。 「そうでしたの。では、……婚約など、解消した方がドクターの御心に添いますのね」 「はい! 実をいうとそうなんです!」 竹を割ったようにさっぱりきっぱりと答えが返って来た。 「!」 エミリは目を見開き、「そうですか」とつぶやいて、悲しそうに唇を噛んだ。 「エミリ……」 中将がエミリを気遣うように見つめる。次に何を言うべきか、逡巡しているようだった。 「エミリ。ドクターからの話を伺うことができましたし、……このあたりで、帰りましょうか?」 エミリは、うつむいて、何かを飲み込むように喉を鳴らした。 「……はい」 「ちょおっっっと待ちなあっっっっ! 婚約は破棄させやしないよおお!!」 その時、ここにいる誰のものでもない声が、割って入った。
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ガイガー: おやおや。失恋エミリちゃんだね? そして、 「ちょっと待ったコール」だー!?(古いですか) い、一体、誰がコールかけたんだ!? えー? 誰かなあ? 想像もつかないなあ? それでは、また来週! |
(105)投稿日:2004年10月30日 (土) 21時34分
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