歌帖楓月 |
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ガイガー管理官(25歳 男): 皆さんこんばんは! いやー、この分室にもお客様が来て下さるようになりまして、僕、とっても嬉しいです! 全国3億5千万人のお嬢さんたち、僕は貴方のご来訪を、心からお待ちしておりますよ?
さーて! [IF]の続き、いってみましょう!(ごきげん)
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キャラクター入れ替え編『もしもロイエルとエミリが逆だったら・・・』
DEEP METAL BATTLE [IF]1 第11話
「!」 中将はすきの無い表情で、辺りに神経を張り巡らす。 エミリは、驚いて周囲を見回す。 「誰?」 しかし、ドクターは、その声を聞いた途端、溶けるような忘我の表情になっていた。 そんなになるほど魅力的な声ではなかったのに。 「馬鹿だねえ! ジョン! 何が何でもエミリとの婚約は解消しちゃいかんのじゃーよー! そんなことしたら、『領主の財産を食いつぶし、天下の美女オウバイ様が豪遊計画』が、台なしじゃないかっ!」 再び、声が聞こえた。しわがれた老婆の声が。 「ああ、オウバイ様! ! ! 麗しのおばあさま!」 医師が、へなへなと床に崩れ落ちた。感激による身体の弛緩からくるもののようだ。その上、涙まで流している。 「おばあさま、お会いしとうございました! 前にお会いしたのは、そう2日前! 一日千秋の思いでございました!」 「オウバイさん……」 エミリの表情が強ばる。 そして、診察室に、第4の人物が現れた。
「いーっひっひっひ! 村の衆に顔を見せるのは何十年振りかのう? 美女オウバイ様のお出ましじゃあよお!」 腰がくの字に曲がったしわしわの老婆が、老獪な笑みを浮かべた。どこに美女がいるというのだろうか? 「あなたが、紛争の首謀者のオウバイ老ですか」 ゼルクベルガー中将が、口を開いた。 オウバイの老顔が彼の方を向く。 「なんだい? 私のファンかい? ウッフーン」 中将が、怒りの表情になる。 「寝言は寝てから言え」 「ああーオウバイ様! 私以外の者に目をかけては嫌でございますー!」 ドクターが泣きそうな声を出した。 「うるさいよジョン! 見るんだったら若い男だよ! そんでもって見目形がよけりゃあ言うことないんじゃーい! あんた、いい男だねえーえ? 私の恋人になりたいのかい? うふん、そうなんだ? うふふ、悪いようにはしないよ? うふふ」 「その口、永遠に固めてやろうか?」 「あ、あの中将、落ち着いてください……」 エミリが彼を気遣う。 中将は無表情で腰の長剣に手をかけている。彼は、恐らく内心では相当な忍耐を払って数度呼吸を整えた後、再び口を開いた。 「丁度良い所で、お二人が揃ったようだ。これから領主の館でお話しを伺いたいと思うのですが、来ていただけますか?」 オウバイが、にいいっと笑った。 「あんた、私に命令するのかい?」 「お願いをしているのですが」 老婆は含みのある笑顔で数度うなずいた。 「なるほどねえ……あんたがあれだね? 今度来た指揮官とやらだね? ふっふふ。紛争のケリを付けるための切り札だっていうじゃないか?」 中将は静かに笑って首を振った。 「さあ、切り札かどうかは。ただあなたがたの動機を伺わないことには、紛争の性質を見極めようがない」 「いっひっひっひ! たしかにねえ? 謎だらけなんだろう? 理解ができないんだろう? この天下の美女様の心が、さっぱりわからないんだろう? そうだろうねえ。私は神秘的な女じゃからねえ。で、なんで私がわざわざ領主の館に行かなきゃならないんだい? ここだっていいじゃないか」 忍び寄って来て懐の刃物を突き付けるようなオウバイの言葉に、中将は静かに笑った。 「紛争は村で起こっている。だから村の主の疑問をまず解いていただきたい。ドクターの話によると、あなたは、村のために紛争を起こした様子だ。そして、領主の館の地下牢には、ロイエルがいる。彼女は、あなたとドクターに操られていただけと、自分の潔白を主張している」 「なんじゃとっ!」 オウバイが仰天した。 「あの我がまま上っ張り小娘めえーーー! 今まで好き放題しとったくせして、なんじゃい! わしらの所為とか抜かしよるんか!」 「ええ」 中将とエミリとが、二人してしっかりと頷いた。 オウバイは皺だらけの般若のような形相になった。 「うわかった! 頼まれんでも行ってやるわいっ! おのれええ! ロイエルウウウウ! わしゃ一足先に行って、ロイエルをとっちめてやる! ジョン! お前は後から来なっっ!」 オウバイの姿が、診療室から、フッとかき消えた。 「ああ! オウバイ様ー! 待って下さーい」 ドクターが大慌てで家の外へと駆け出して行った。 「……行きましょうか」 中将は、エミリを促した。
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ガイガー: 美の女神であらせられるオウバイ様がご登場ですよ? 皆さん。 ハハハ。現ロイエル君とはどこまでも相性悪そうです。 ゼルク君は相変わらずオウバイ婆さん嫌いみたいねえ? オウバイ婆さん、可愛いじゃないの。受け入れてあげなよー。 きっと、ロイエル君もその方が嬉しいと思うよ?
ゼルク: 何を勝手なことを言ってるんだ?
ガイガー: ……ていうか、勝手なこと言ったらさあ、絶対、君が出てくるよね? 誰からそういう情報聞いてるのさ?
ゼルク: というより、ガイガーがこの仕事場に来ている率よりも、私が来ている率の法が高いんだぞ? この仕事嫌いが。
ガイガー: ……えへ?
ゼルク: はい報告文書。提出したからな。じゃあな。(久方ぶりに、管理官の姿を見た様子)
ガイガー: ええ? もう帰るの? ゆっくりしてきなよー? ここにこれ、素敵ディスクが
ゼルク: (無言で一閃)
ガイガー: ! どわああ!? 君、なんでセラミックサーベル携帯してるのさ!? こわっ! 銃刀法違反!?
ゼルク: 貴様が通常の勤務時間に不在だからだ。 今こっちも仕事中! じゃあな。 (消え)
ガイガー: あ。この硫黄混じりの温泉の香りは……ミディールの温泉地帯ね? あなたを出し入れする魔法使いさんによろしくー! でも、たとえ可愛い子でも手ぇ出したら駄目よぉ?
「ごん」
……ぐはっ!? 今度は岩が降ってきた?! 硫黄臭い!? まあいいか。 それでは皆さん、また来週!
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(112)投稿日:2004年11月06日 (土) 23時35分
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