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「しゃべれどもしゃべれども」読後感
面白かったです。調べ物に時間がかかるという自己紹介でしたが落語界のことを結構調べられたのでしょうね。そのあたりがよく伝わってきました。私は余り現代日本文学は読まないので貴女の作品も「サマータイム」以来二作目です。これもよかったです。 「しゃべれどもしゃべれども」はどこがいいかといいますと、まずみんな苦労しているというのがよく分かります。子供も大人もみんな色々考えて「明日はああしたい、こうもしたい」と考えるのです。でも色々考えると何が正しいのかよく分からなくなるものです。夜堅い決意をしても朝の光を見るとその決意が途方もない愚かなものに思えるし、言いたいことを言おうとしている相手の前ではやっぱり自分が途方もなく愚かなことをしようとしているように思えてくるのです。そこのところがよく書けていると思いました。勇気を奮い起こして一歩踏み出しても結果は良かったり悪かったりで人が一歩踏み出したときむき出しの心が世間というものにごりごり擦れるところがよく描かれていると思います。そのあたりの勇気を優しく見ている作者の気持ちが伝わってきます。よく考えてあとはやるしかないんですよね。 この小説に使われる比喩は、例えば「歯みがきの水でもうっかり飲み込んだように」などですが非常に興味深かったです。多分一期一会の比喩であり応用はきき難いと思われますがこの作品にはよくあっていると思いました。 2010/04/12(Mon) 23:12[1482]
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