掲示板
下記メッセージへのレスどうぞ!
フォームは下で〜す。 |
「黄色い目の魚」を読んで
もっと若い時に読みたかったですね。でもよく書けた作品ですから若い人向け、だけではないと思います。この小説を語るなら「青春」という言葉を抜きにはそう出来ないんだけど、この言葉は使い古され飲食店かスナックのネオンのようになってしまったので使いづらいですね。でも青春のただ中にある人達の思いがリアルに描かれていると思います。 青春というものを定義するとしたら、それは人生において重要な事柄を初めて経験している世代だと思います。初めてというのはストレスのかかる大変な作業です。初めて、というのはそれが単に初めてある場所に行くのですら大変です。例えば姫路市立美術館に行くとしたらネットで住所を調べ、地図で場所を確認し駅からの道筋を計画することになります。でも実際歩いてみると地図とは大分様子が違うものなんですよね。目印を探し、道を間違えていないか不安になりながら進んでいくものです。そして思ったより時間がかかったように思うものです。帰り道はそんなことはなくてもう駅までの道筋も所要時間も見通すことが出来、実際短時間で行くことが出来たように感じます。 多くの重要な事柄を次から次に経験する青春というのは一般に考えられているよりはずっと困難な世代だと思いました。例えばこの小説で扱われているのは能力の欠如による挫折(クラブ活動でのサッカーの話です)、恋、親子関係、友人関係などなどです。当事者は現在の状況を把握するのに、どう行動するかを決めるのに、行動したあとの結果を受け入れるのに、そしておそらく行動しなかった結果を受け入れるのに多くの苦しい長い長い時間が必要なのです。 そしてこの小説でも明らかなように追い詰められた状況でそれを相談する相手がいないのです。少数の例外を除いて自分の決定を押し付けようとする大人しかいません。私は成長するには現実と対峙し、よく考え、よく相談し、決定して、行動して、その結果をかみしめるしかないと思います。その時相談相手がいないというのは残念なことです。相談相手に必要な資質はまず相手を一個の人格として認め尊重することで、これが欠けると有意義なコミュニケーションが成り立たないと思います。 私は昔ビリヤードが好きで職場の近くのビリヤード場に通っていたことがあります。そこで店長に注意されたことは、キューを突き出す時もまだ迷っているということです。狙いを定めたら迷わず突け、と言われました。狙いを定めたら迷わず突き、あとはその結果を見る、そしてそれを繰り返すということが大切なのです。 2010/05/16(Sun) 22:41[1486]
|