[ No.259 ]
共通問題44(福祉行財政)
投稿者:
2012年02月06日 (月) 22時11分 |
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長文失礼します。 第24回・第14回共通問題44は、不適切問題だと思います。私なりの解説をつけてみました。ただ、所詮は結果待ちの受験生、私が間違っているのかもしれません。なにかご指摘があればよろしくお願いします。
問題44 公立の社会福祉施設の民間委託に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。 1 公立の特別養護老人ホームの管理を指定管理者制度によって委託される団体は、社会福祉法人でなければならない。 2 公立の保育所の管理を委託された団体は、その保育する児童の保護者が保育料を滞納した場合には、督促状を送付して強制徴収を行うことができる。 3 公立の社会福祉施設の管理を民間団体に委託した場合は、社会福祉施設の整備及び運営に関する基準に従う義務を免除される。 4 公立の社会福祉施設の管理を指定管理者制度によって委託された団体は、管理に係る業務を一括して第三者に委託することはできない。 5 公立の児童養護施設の管理を委託された団体は、都道府県の措置により入所した児童の養育に要する費用について、その4分の1を負担する。
1 不適切(正しくない) 地方自治法第244条の2の指定管理者制度は、管理委託制度とは異なり、委託ではない。指定管理者となる法人その他団体に包括的に代行させることができる行政処分である。すなわち、地方公共団体等と指定管理者となる法人その他団体との間に民法第459条から463条及び603条ほかの規定によって委託契約が生じているものでなく、議決(指定管理者の指定)を得て協定するものである。指定管理者となる団体は、社会福祉法人のほか。NPOや民間企業などに開かれている。 問題は、「指定管理者制度によって委託された団体」としており、且つ、「社会福祉法人でなければならない」と記述があるため、よって不適切である。
2 不適切(正しくない) 児童福祉法第56条第9項により、「費用の徴収は、これを本人又はその扶養義務者の居住地又は財産所在地の都道府県又は市町村に嘱託することができ」、地方税法第329条第1項及び同法第371条第1項ほかに規定される「納税者が納期限までに徴収金を完納しない場合においては、徴税吏員は納期限後20日以内に、督促状を発しなければならない」ことから、保育料は、強制徴収可能な公債権であるため、保育料を完納しないときは、差押等の一連の強制徴収が行われることになる。 しかし、地方自治法第243条では、「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行なわせてはならない」としている。 また、前条の例外規定である同法第158条は、「収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、私人にその徴収又は収納の事務を委託することができる」として、使用料、手数料、賃貸料、物品売払代金、寄附金、貸付金の元利償還金とされている。これは、専らコンビニエンスストアでの清算を意図したものであり、児童福祉法施行令第44条の2の収納事務の私人への委託も、これに準じたものである。 すなわち、負担金である保育料には該当せず、且つ、委託業者である私人が強制徴収をすることを認めたものではない。 よって、回答は、委託を受けた団体による強制徴収はできないため不適切となる。
3 不適切(正しくない) 義務を免除されない。
4 不適切(正しくない) 確かに、指定管理者による第三者への業務の委託それ自体は禁じられていないが、管理に係る業務を一括して第三者に委託することは禁じられている。 しかし、地方自治法第244条の2の指定管理者制度は、管理委託制度とは異なり、委託ではない。指定管理者となる法人その他団体に包括的に代行させることができる行政処分である。すなわち、地方公共団体等と指定管理者となる法人その他団体との間に民法第459条から463条及び603条ほかの規定によって委託契約が生じているものでなく、議決(指定管理者の指定)を得て協定するものである。問題は、「指定管理者制度によって委託された団体」としているため不適切である。
5 不適切(正しくない) この場合、都道府県の措置により入所した児童とは、児童福祉法第27条第1項第3号および少年法第18条の児童相談所長の判断により都道府県知事が入所措置を決定するものである。児童福祉法49条の2は、「国庫は、都道府県が、第27条第1項第3号に規定する措置により、国の設置する児童福祉施設に入所させた者につき、その入所後に要する費用を支弁する」とあり、同法第50条は、「都道府県が、第27条第1項第3号に規定する措置を採つた場合において、入所又は委託に要する費用及び入所後の保護又は委託後の養育につき、第45条の最低基準を維持するために要する費用(入所後に要する費用を除く)」を都道府県の支弁すべき費用としている。同法第53条により、「国庫は、地方公共団体の支弁する費用に対しては、政令の定めるところにより、その二分の一を負担する」こととしているため、公立の児童養護施設の管理を委託された団体が児童の養育に要する費用の4分の1を負担することにはならない。よって、不適切となる。
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[ No.260 ]
Re:共通問題44について
投稿者: 管理人
2012年02月07日 (火) 00時38分 |
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詳細な解説ありがとうございます。 法律についてかなり詳しく説明されているので、大変参考になりました。
さて、御質問者様は選択肢4が不適切ということで書込みいただいておりますが、 「委託」ではなく「代行」であるという根拠法令はございますでしょうか? 解答速報作成に関しては、地方自治法第244条の2を参考に導いておりますので、 条文中に「管理を行わせることができる」という記載はありますが…。 もし私が見落としているようでしたら再度確認してみたいと思います。
Wikipediaでは確かに、書き込みいただいたような説明になっておりますが、 各自治体の運営マニュアル等には「委託」ではなく、「代行」であるというような 記述はないように思われます。 |
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[ No.271 ]
投稿者: 桐
2012年02月08日 (水) 01時20分 |
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スレ主の桐です。 名前、載せていませんでした。
管理者様の質問の趣旨を察するに根拠条文の地方自治法第244条の2には「代行」という文言がないため、代行であることの根拠がどのように決定付けられるのか知りたい、ということかと思います。
条文では代行という直接的な文言を用いていませんが、同条第3項の「当該公の施設の管理を行わせることができる」がそれにあたります。
指定管理者制度が管理代行制度であることは、条文によって直接的に規定されていると考えるべきではなく、法律の性格から理解すべきです。たとえば、調整的相殺という言葉は民法にありませんが、労働問題では頻繁に取り扱われます。それと同じで法律は、条文にある言葉のみからなる単なる説明書ではなく、知恵の積み重ねの上にある「法」の形の一つと考えるべきです。
というわけで、「法律行為」と「行政処分」の法律上の性格の違いについて説明します。 管理委託の場合、法的性格としては、公法上の契約関係にあたり、法的性格条例を根拠として締結される契約に基づく具体的な管理の事務又は業務の委託となります。すなわち、委託先団体という法人等と委託元の行政という法人(法人と自然人が民法の主体となる人であり、この場合は法人です)の双方の意思により契約が締結された段階で、法律行為として法律上の効力が発動されます。
一方指定管理者制度は、指定によって管理権限を指定を受けた者に代行させる行政処分です。第一に、「指定」とは、行政官庁が法令により特定の資格を与えることをいいます。その指定の中身は、管理代行であるわけです。
4 前項の条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。 5 指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。 6 普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。 7 指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。 8 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。 9 前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。 10 普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。 11 普通地方公共団体は、指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
としか、説明できませんが、法律の性格から「委託」ではないことは、一寸の疑いの余地のない周知の事実です。
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[ No.273 ]
投稿者: 質問です
2012年02月08日 (水) 19時52分 |
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桐さんは今年の問題の中で不適切問題だと思われるのは問44だけでしょうか?
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[ No.277 ]
投稿者: 桐原
2012年02月15日 (水) 02時22分 |
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不適切と断定できる出題は、44番だけではありません。不適切と思う出題も含めれば、かなりの数が上げられます。 |
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[ No.279 ]
投稿者: 質問です
2012年02月15日 (水) 10時43分 |
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参考にお聞きしたいのですが、他の不適切候補は何ですか? |
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