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ユンボル801スレ専用*文章投稿板

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[55] ニパ小ボリニパで酒ネタ(後編) ※食事中の方若干注意
ウホッ!いいユンボル - 2007年05月30日 (水) 19時07分

 結局その後はお互い毒舌三昧の嫌味の応酬で、掴み合いの喧嘩になる前に、店の主から
 揃って首根っこを掴んで追い出された。
「飲み過ぎだ。ったく、よけーな手ぇかけさせてんじゃねーよ、このクソガキが!!」
「うるへー!!お前にガキ呼ばわりされる覚えらんかねえ!」
 店内の延長線上そのままのやりとりを交わしながら、しかし片方はほぼ前後不覚の状態である。
 ボリングが肩に担いだ痩躯は成人男子としては比較的軽く、ユンボルの身なら全く苦にならない重量ではあるが
 いかんせん縦に長いので、自然、ズルズルと引きずって歩く形になる。
「お前のツラらんか、飲まらきゃ見れらんねーもん。そもそもガキが偉そうに酒のんれんじゃねー」
「てめーにだきゃ言われたかねーな、元不良少年」
 大本の元凶が誰だったかはあえて棚に上げて毒づくボリングである。
 暴れる長髪ノッポを担ぎふらふらと歩く幼児の姿は、人通りのない裏道でなければ、よほど人目を引いただろう。
「うぇ……なんか、キモチ悪ぃ……」
「ナヌー!!?」
 青い顔で口元を押さえるニッパに、ほろ酔い気分も吹き飛ぶボリング。
「ちょっと待て!今降ろすからまだ吐くなコラ!!」
「うぷ……!!」

 警告は少しばかり遅かったようだった。
 哀れその直後、ボリングの悲鳴が深夜の町に響き渡った。




 緊急避難的に、チェックの甘いホテルの一室に酔っ払いを担ぎこむと、ボリングは二人分の汚れた服を
 浴室に放り込み、シャワーを浴びて人心地つける。
 ベッドに伸びているコトの元凶が、Tシャツ以外はほぼ被害なし、無駄に長い髪まできれいに無事だったのが
 彼には余計に腹立たしい。
「み……水……」
「ホレ。ったく、酒癖悪ぃのだけは直ってねーのかよオイ!」
 冷静に考えれば放置しておくべきなものを、過去の習性は彼から抜け切れていないらしい。
 自業自得とは言え振られた相手の面倒を、なんやかやと焼いている自分に、ちょっと泣けてくるボリングである。

 過去に5年をかけて飼い馴らしてきた成果は、まだこの青年の中に残っている。
 ニッパ自身も気付いていない無意識下に、彼がボリングの庇護下にあった過去が刷り込まれているのは間違いない。
 さもなくばいくら挑発されたとはいえ、立場上は敵である己の前で、前後不覚になるまで泥酔などするはずもないと
 他人の弱点に付け込み隙を叩くのに長けたボリングには、容易に推察できる。
(ケ……フン縛ってドリル様んとこ持ってきゃ、手柄にできるかもしれないってのによ……)
 そう考えながら、しかし自分にそれができない事も彼は知っている。
 最初から最後まで、何一つ手に入れられなかった相手だが、だからこそ今ここにある「信頼」だけは
 卑劣をもってよしとするボリングにも、裏切る事はできなかった。

「……隊長?」
 ぶつくさ言いながらシーツをかけてやろうとするボリングを、不意にヒョイと長い腕が絡め取る。
「へへ、た〜いちょ〜」
「ピギャッ!?」
 泥酔してとんでもない勘違いをしているらしきニッパが、嬉しそうにその矮躯を抱っこぎゅーする。
 触れ合う素肌に過去のアレコレを追想する余裕もなく、ヒョロ長い腕にもみくちゃにされるボリング。
「ふぇ?隊長、せっかく育っらのに、また縮んじゃっらんすか?ま、いっかー」
「待て待て待て待て!!オレぁ隊長じゃねーぞ!!放せコラ!!」
 もちろんその抗議は酔漢の脳味噌までは届いていない。
 短い手足をじたじた暴れさせて拘束から逃れようとするボリングだが、まだ制御の充分でない手では
 思うように力を振るう事は憚られる。
 なんて事をやっているうち、小さな体はあれよという間にベッドに組み伏せられる。
「……!?」
 目線を上げれば、微笑に目を細めたニッパの顔が見下ろしている。
 幸福そうなまなざしが、自分に向けられたものではない事実に、ボリングの胸のどこかがギリリと痛む。
 が、そんな感慨も次の瞬間に吹き飛んだ。
「ねえ、隊長……」
 言うなり、長く整った指がボリングの両頬を包み込むと、おもむろに唇が合わせられる。
(な、なななななnqあwせdrftgyふじこlp;@!!?)
 脳内で意味不明の絶叫をあげて硬直する彼をよそに、潜り込んだ酒臭い舌が、愛しげに狭い口腔をまさぐる。
 あーやっぱこいつ隊長とそーゆーコトになってたのか、だの
 そういやさんざっぱらオモチャにしてきた割に、キスだきゃマトモにしてなかったな、だの
 愚にもつかない考えが混線した頭の中を飛び交っているうちに、相手の腕がまた体に回される。

(あー、これも因果応報ってヤツか?さようなら昨日までのオレ……とか言ってる場合かゴルァ!!!)
 錯乱気味の頭をムリヤリ持ち直して、とりあえず相手をブチのめそうとしたボリングだったが
 気付けば彼はとうにキスから開放されていた。
 近くから規則正しい寝息が聞こえてくる。
「……は?」
「ムニャ……たいちょ……」
 声の方を見れば、人を抱きかかえたまま幸せな顔で寝こける酔っ払い。ご丁寧にヨダレなんか垂らしてたりもする。
 過去に一度も見たことのなかった無防備で平和な寝顔に、何となく心中ムカつくものを覚えるボリングである。
「……のやろー」
 彼はしばし口元を引きつらせたまま、相手の寝顔を眺めていたが、不意に何を思い付いたのか
 ニヤリィ、とタチの悪い笑みを、幼くしてなお卑しいその顔に浮かべた。




「だあああああッ!?なんだここは!!?」
 翌早朝、どう見ても連れ込み宿です以下略な部屋に自分がいる事態に、慌てふためくニッパの姿があった。
 しかも彼にとってはあろうことか、一つきりのベッドにボリングと二人揃って半裸である。
 バーを離れてからの記憶がすっかりさっぱり欠落している事実に、二日酔いも吹き飛ぶ勢いで
 ザーッと顔から血の気が引くニッパ。
 あわててズボンの中をチェックし、異変のないことにひとまず胸を撫で下ろすと
 同衾していたボリングの首根っこを引っ掴む。
「起きろテメエ!人が潰れてる隙に何しやがった!!?」
「何だとてめー!人がガラにもなく酔っ払いの介抱してやったってのに、その反応はああああッ!!?」
 一方叩き起こされたボリングは、ガクガク揺さぶられながら相手にそう怒鳴り返した。
「……へ?」
 ガシャンとベッドに落っことされて、彼は悪口雑言交じりに昨夜の経緯をまくしたてる。
「大体このナリでオレがナニをどうできるってんだ、ったく」
 そういう意味で危なかったのはむしろ自分の方だとは、男の沽券にかけて口にはできぬボリングである。
「……そ、それもそーか」
 彼の言葉にどうやら納得したらしいニッパは、ホッとした声でそう呟いた後、時計を目にして再度青くなった。

 生乾きのシャツを引っ掛け、礼の一言もなしにホテルを飛び出した恩知らずに、ボリングは悪態の限りをつくと
 腹いせにドアをひとつ蹴っ飛ばした。
 ようよう気分も落ち着いた頃、白い首筋にくっきりと残してやった鬱血の跡を思い出し
 ニッパ本人が気付かなかった事を、密かにほくそえむボリングである。
 本人からは見えないが、他者からは容易に目に付く場所に付けてやったから、朝帰りで帰還したニッパが
 その思い人とひと悶着起こすのは必須だろう。
(まァ、世話の駄賃だ。この程度の意趣返しは構わねーよな、お二人さん。ウヒヒヒ)
 起きるべき騒動を夢想して溜飲を下げると、ボリングはロクに寝付けなかった夜の分を取り戻そうと
 ベッドに潜り込む。
 うつらうつらした頭で、彼は考えるともなしに昨夜のニッパとの会話を考えていた。

『これでもてめーの作った道だろ。きっちり完成させてこい!!』
 かつて自分がバル・クロウから言われた言葉を、彼は思い出す。
『似たもん同士だしな、オレら……』
 人生を仕切りなおそうと、背負った業は業のまま、罪は罪のまま、傷は傷のままそれぞれの手の中に残っている。
 だがそれをむしろ幸運と思うには、心性惰弱なこの男にはもう少し時間が必要だった。
「オレの道……ねえ……」

 彼がバル・クロウ達と行動を共にするようになるのは、いましばらく先の話である。




「ちょ……隊長!心当たりはあるけど身に覚えはないっす!!てかその笑顔怖え!」
「心配するな、弁明なら今からじっくり体に聞いてやる。ホラ大人しくコッチ来い」
「待ってー!!誤解じゃないけどオレ潔白ですってば、たいちょー!!ああああの野郎いつかぜってー殺す!!!」



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