[571] 万物めぐむ(三月の光明道中記) |
- 伝統 - 2015年03月31日 (火) 17時34分
【美的価値と行】
人間は宇宙の生命が咲き出た美花である。 それに気着かぬ人が多いのは悲しむべきことである。
人間自身が花であると云うことに気が着いたならば、 人間はただ美しく生きることに懸命になれるに相違ないのである。
人間の価値には、美的価値と、道徳的価値と、経済的価値がある。
経済的価値とは物の生産と消費との関係に於ける価値である。 経済的価値を生産のみにあると思うのは間違である。 生産と消費との調和に価値が生まれるのである。
道徳的価値とは人間の心に生じたるものを行為に表すところの価値である。 経済的価値も、道徳的価値も、行(ぎょう)を通してのみ、その価値を成就する。
美的価値は離れて観る価値であるから、 行と最も縁遠いところの価値であるが如く思われる。 併し、「美」もまた行を離れて存在し得ない。
「美」は紋理(もんり)であり、相(すがた)であるが、 相(すがた)もコトバの振動によって展開するから、 行(ぎょう)なくんば美もまたないのである。
|
|