少し前、マグカップの引き換え券をもらった。コンビニで商品を買うたびにシールを集め、点数をためて引き換えができるというアレである。マグカップのキャラクターはリラックマ。せっかくなので引き換え、食事のときに使うことにした。カップにリラックマの目鼻がついたデザインの、大ぶりのものだった。 さて、食事のとき、甥が何やら騒がしい。彼はこちらの言うことはよく分かるが自分でまだ言葉は話せないという段階。よくよく聞けば、どうやらそのマグカップを気に入ったようなのだ。甥に下げ渡しても構わなかったのだが、母親のマグカップを放り投げて2個ほど割ったこともある危険人物なので、そのまま私のものにしておいた。 今度の誕生日にはリラックマのグッズでも探そうかなと思っていたら、その後リラックマの頭の形の貯金箱を買い与えられたらしい。以前、彼の姉にあたる姪に、私は長谷川町子美術館で買ってきた「タマ」の貯金箱をあげている。以来、二人で自分の貯金箱を持ち、ジジババに1円5円の小銭の集金に回っているという話だった。
しばらくして、次兄が会員になっている家電店からお得意様案内の封筒が来た。期間中、封筒持参で2,000円以上の買い物をすると、リラックマのバスタオルがもらえる。これは期間中に行っておかねば、という話になったのだが、その関西系の家電店、家から一番近い店が滋賀県甲賀市水口町。リラックマ目当てに県境を越えることになった。 会員になっているのは次兄だけなので、もらえるバスタオルは1枚である。引き換えの封筒を姪が見せてとせがみ、バスタオルの写真を見つけたので、弟のために引き換えてくることを告げると、案の定ひがんだ。 「わたしもクマちゃん好きやのに」 「じゃあ、仲間で使うことにしたら」 「なかまではつかわへんの」 すっかりむくれ、 「ええもん。タマちゃんのお金でわたしも買うもん」 と、言っていたそうだ。
時間の都合もあり、引き換えには新名神を使って出かけた。同行した私は、その道の景色が好きなので楽しかったのだが、考えてみればタオル1枚にけっこうな出費である。 しかし甥は喜んでいたという。まだ口がたたないこともあって普段は姉に押され気味なのだが、叔父が自分のために持ってきてくれたことは分かるようで、姪に取り上げられそうになっても引かなかったらしい。親にたしなめられた姪はベソをかき、 「タマちゃんのお金で買うもん」 と、また強がっていたようである。
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