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ガント編2 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月05日 (水) 13時39分 [656]
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ルルは王子の部屋の扉をコンコンとノックした。 中からは返事一つ返ってこない。 ルルが再度ノックすると、若い男性の声がぼそっと聞こえた。 「・・・どうぞ・・・。」 ルルはそっとドアを開けて入った。 「お食事が出来ました。」 短い銀髪の王子は窓枠に座りながらゆっくりとルルの方に振り返った。 かなりの美形だ。憂いを帯びた深いマリンブルーの瞳に、ルルは暫く見とれてしまった。 「・・・見ない顔だな・・・。新人か?」 「あ、はい・・・。今日配属されたばかりでして・・・。」 「・・・そうか・・・。」 王子はゆっくりと窓枠から降りた。 ルルは急いで毒味用のスプーンを取りだしたが、王子に止められた。 「毒味はしなくていい。俺を殺したところでメリットはこの国にはないからな。誰も俺を殺そうとは思わぬ。」 「ですが・・・王妃様は仰いました。王族たるもの、常に命の危険に曝されている、と。ひとたび道を誤れば、敵は命を奪いに来る、と・・・!」 王子は小さいテーブルまでスープを自分で運び、椅子に腰掛けた。 「母上の話を真に受けるな。母上はセバルムス公国出身でここに嫁いだからバッシングが酷かっただけだ。」 なるほど・・・。ルルは思った。 「つまり、身分違いの結婚のせいで『財産目当て』とか、『この王国の“乗っ取り”を公国が企てている』とか、そういう考えを持った人間がいるということですね?」 「・・・そういうことだ。母上の噂は聞いているか?」 「噂?」 王子はルルからスプーンを受け取り、少し口に運んだ。 「母上は無類の男好きだ。父上の目の届かないところで何人もの男を手玉に取っている。おかしいと思わないか?そんな無類の男好きが、どうしてあの父上を好きになれる?」 ルルは国王の容貌を思い出していた。 かなり身長が低く恰幅がよいひげ面で、愛嬌はあるがひょうきんで、一体何を考えているかよく分からない。ルルは思わず吹き出しそうになった。 「だから、それぐらいのバッシングはあって当然だということさ。」 王子はスープをまた口に運んだ。 「お陰でこの城の使用人の殆どが女だ。只一人、ミランカのお気に入りを除いてはな。母上はその男の存在を知らない。主にミランカの身の回りをしているからな。その分ミランカの方が心配だ。」 何故、といいかけてルルは止めておいた。 王子のもの悲しそうな顔を見ては。
「妹の方が心配・・・・?どういうことかしら・・・?」 そう言いつつルルは王女の部屋まで王女の食事を運び、ドアをノックした。 また返事がない。全く・・・兄妹そろって・・・と思いながらルルはまたノックした。中から何か声が聞こえる。ルルはそっと耳を澄ました。 「誰か来たようです・・・。お入れ下さい。」 若い男の声と 「誤魔化そうったって、そうは参りませんわよ!」 凛とした品のある、若い女性の声。 「貴男はそうやって私から逃げようとなさるわ!私の気持ちに気づいていらっしゃってるくせに・・・!ねえ、もう一度・・・もう一度だけでいいの!考え直して下さらない?」 「いけません、ミランカ様。私は・・・」 ルルは更に耳を澄ました。 「やっぱり・・・あの女のことが・・・!?ケイトが好きなのね・・・?」 ケイト・・・・? ルルの聞き覚えのある名前だった。 そうだ・・・毒味用スプーンの回収係だったわ・・・。 「・・・はい。そうです。私は彼女とともに過ごすことを誓い合いました。誰よりも彼女を愛しております。私のことはお忘れ下さい。」 「嫌よ、アルキス!!どうして私の気持ちを踏みにじるんですの!?待って!!どちらへ行かれるおつもりですの!?」 ルルはドアから耳を離した。 そして王女の料理の乗っているカーに戻る。 「貴男はそうやっていつも逃げるんですのね!?見てなさい!!貴男の大事なケイトがどうなっても知りませんわよ!!」 ゆっくりとドアが開いた。 淡いグリーンの長髪の青年が中から出てきた。男はルルに気づき、一瞬戸惑った。 「・・・聞いていたのか・・・?」 「い、いいえ!何も・・・。ただ、ノックしてもお返事が無かったのでどうしようかと思ってまして・・・。」 青年は王女に呼びかける。 「・・・お食事のお時間のようです・・・。やはり外で待ってました。」 「お入りなさい!」 王女は扇子でパタパタと扇ぎながら、つっけんどんに答えた。 「失礼します。」 ルルは給仕と入れ違いに入っていった。 「お食事が出来ました。お召し上がり下さい。」 そういいながら、ルルは毒味用のスプーンを取りだし、毒味をした。 「・・・あら。ケイトじゃないの。あの子はどうしたの?」 王女は面白くなさそうに尋ねた。 「今ダイニングで毒味用のスプーンを回収してます。この後で私もスプーンを渡しに行きますけど。」 「あらそう・・・。」 王女は窓の外を眺めた。 「あの女・・・毒味中に死んじゃえばよろしいのですわ・・・!」 「何かございましたか?」 王女は振り返った。 「何でもございません。兎に角早く出ていって頂戴。それと、ケイトに言って置いて。この部屋に来るように!」 王女の目は野獣のようにギラついていた。
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グース編2 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月05日 (水) 14時28分 [657]
「しっかしなァ・・・。」 ルークは王女の部屋から出て心底困っていた。 「あの棚の目的が“アンドス王子人形”を置くための棚だったとは・・・・。別にそれだったら木製でもいいじゃねぇか・・・。」 ルークはふぅとため息をついた。 「しかし・・・どっから先に手をつけようか・・・。やることが多すぎてどれを優先したらいいか・・・。アーサーと接触するか。どこで掃除してるんだ?」
「お掃除に上がりました。国王陛下。」 王は快くアーサーを部屋に入れた。 かなり身長が低くて恰幅がよいひげ面で、愛嬌はあるがひょうきんな顔で、アーサーは思わず吹き出しそうになったが、なんとか掃除に取りかかった。 「ほお〜。綺麗なお嬢さんじゃのう〜。背が高くて羨ましいわい。」 アーサーは笑いながら心の中で「僕は男です」と言った。 「うちの息子の嫁に来て欲しいくらいじゃ。ヴィルラマスも年頃じゃし、考えてくれんかのお?」 「ご冗談を。」 「そのハスキーボイスは息子好みじゃ。きっと気に入ってもらえるぞい。」 アーサーは笑いながら、ちょっと困惑していた。 「ほんに・・・・ヴィルラマスはいつまでああなのか・・・。心配じゃ・・・。」 「?どうかなさいました?」 王はアーサーの方をしっかりと見つめた。 「息子はいつも女どもの尻を追い回してばかりで、次期国王の自覚が全くないのじゃ!妻を取れば少しは変わるやもしれぬ。だから・・・息子に会うだけで良い!なんとか考えてくれんか!?」 はぁ、とアーサーは生返事をした。
一方、ルークも力仕事に何回も呼ばれ、全くアーサーと接触できなかったのである。 メイドがなかなか開けられないジャムの瓶の開封から傷んだ城の壁の補正まで、かなりひっぱりだこだった。 今度の仕事は兵士の訓練場の訓練用の人形の補修である。 「ひえ〜!君、メイドなのに力あるね〜。」 「日々トレーニングの毎日ですから。」 人形が完成し、一同は沸き上がった。 ルークはその場をあとにしかけ、兵士の訓練をふっと眺めた。 あまりの兵士達の剣の扱いの酷さに、彼女の武人の魂が揺さぶられてしまった。 「じれったい!!」 ルークは一人の兵士の剣を横から奪い、人形に向かって鋭い剣の一撃を浴びせた、更には素早く何度も人形を斬りつけ、折角作ったばかりの人形がボロボロになって倒れた。 兵士達は一気に沸き上がり、ルークに盛大な拍手を送った。 「すごい!!一体どこで覚えたんだそんな剣技!?」 剣を奪われた兵士が拍手を送りながら賛辞を述べる。 ルークは一斉に兵士達から囲まれてしまい、立ち去ろうにも立ち去れなかった。 「・・・あの・・・仕事がありますんで!」 「ちょっと教えてよ〜!女の子なのにどうやってあんな風に剣が使えるようになったの!?」 「どうしてあんな風に剣が上手なのにメイドなんかやってるの!?やっぱりメイドの方が女の子として憧れ?」 「女兵士として働いてもいいんじゃない!?」 ルークは一番嫌いな言葉を言われ、とうとう怒りが爆発した。 「私を女扱いするな!!」 辺りはしんと静まり返った。ふと気まずくなってルークは俯いてしまった。 「かっこい〜!!」 兵士達は彼女の表情を読みとることなく、一斉に拍手を送った。 「何を騒いでいるんだ!」 ふと野太い男の声が響き、兵士達は振り返った。 「兵士長!!」 「何メイドなんか相手に大はしゃぎしておる!!さっさと訓練に戻らんか!!」 「こんな訓練じゃ、いつまで経っても強い国家にはなれません。」 ルークが毅然と言い放った。 「・・・ほお・・・小娘・・・。一介のメイドが兵力の何を分かるというのかな?」 「ですが兵士長、このメイドかなり剣の扱いがなされてます!!もしかしたら元女剣士だったかも知れませんよ!?」 ルークは全く大正解の兵士の言葉に少しどきっとした。 「ほお・・・。だがそれは俺が決めることだ。お手合わせ願おうか、メイド!」 ルークは胸を張った。
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家政婦は見た(コメ)2 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月05日 (水) 14時38分 [658]
ルークったら・・・・。 ちょっと色々とドロドロしてきました^^; ドロドロで飯3杯はいけます。ワタシ。
レス返し>天使様 ちょっと私自身までこの後の展開が楽しみになってきたのは自画自賛でしょうか??
それでは☆
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頑張れルーヌ・・・じゃないやルーク! - 翼無き天使 (男性) - 2007年09月05日 (水) 20時24分 [659]
今日車の免許取りました^^
まぁそれはさておき、やっとルークにもまともな「見せ場」が回ってきましたね^^ 今までいじられっぱなしでしたもんね〜^^;
では次回も期待してます。
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