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Dies Irae - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月16日 (金) 15時04分 [840]
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「どういうことだ、ミリア」 町長の顔と声が怒りに震えているのが手に取るように分かる。娘はつり上がった目をさらにつり上げて続ける。 「どういうことも何も、フォルクと一緒になりたいって言ってるのにパパちっともあたしの話聞こうとしないしさ。それどころかいきなり怒鳴りつけたり殴りかかろうとするしさ。このままじゃあたしたちいつまでたっても一緒になれないじゃない。耐えられないわよ! いつまで娘離れできない父親の犠牲になればいいわけ!? だから出ていくのよ。この家を、町を」 「馬鹿いうんじゃない!! お前は町長の椅子を引き継ぐんだぞ!? あんなくだらない男のためになんの義理があって長の椅子を蹴るようなこと・・・・・・」 「誰がくだらない男よ!? そりゃあ確かにフォルクは優柔不断であたしですらもイライライライラすることはあるわよ!? だけどね!!」 置いてけぼりの4人だったが、さりげなく「イライラ」を強調するミリア嬢に、あまり愛を感じられないような気がしていた。 「彼の考古学に対する真剣さにあたしは惹かれたの! 彼を手伝いたいだけなのよ! なのにパパは何も知らないクセに頭ごなしに否定するだけ・・・・・・あたしの人生に町長も何も関係ないわよ!! ただパパが娘離れできないだけでしょ!? あたしを縛り付けたいだけでしょ!? いつになったら自由に暮らせるのよ!?」 娘に一方的にまくし立てられ、ぐうの音も出なくなった矢先、来訪者が増えたらしく、ドアの開く音がする。 「ミリア!! もう止めてくれ!!」 肩の後ろぐらいまでボサボサに伸びた髪を後ろで束ね、顔の半分を覆うぐらいの眼鏡をかけた男性が入ってきた。 「あ、お父さんお邪魔します」 男は丁寧にお辞儀するが、町長は怒り顔を向けた後、大きな足音を立てて男に近寄り、胸ぐらを掴んだ。 「フォルク!! ミリアに駆け落ちの入れ知恵をしたのはキサマかっ!?」 「いや・・・・・・その・・・・・・すみませんっ!!」 「フォルク! 謝らなくていいのよ!! あたしが提案したことなんだから!!」 もちろんそんな言葉が町長の怒りを静めることはなく。 「よくもミリアを町の外に連れ出そうとしおったな!! キサマなどこの町からいなくなればいい!! キサマ一人で出て行け!!」 「ごめんなさい! ごめんなさい!!」 フォルクはただただ謝るだけで、全く反発しようとしない。明らかに彼は悪くないのにも関わらず。 「ちょっと待って下さい!!」 マゼンダが二人の間に割って入った。 「町長さん落ち着いて! お二人の話を聞かないとこの二人はいつ駆け落ちするか分かったもんじゃないわ!」 「何を仰います!? こいつさえいなければ娘をたぶらかされることなど・・・・・・」 バンっとかなり大きい音が鳴り、静まり返った一同が振り返ると、アーサーがソファから立ち上がっていた。 「あ、すみません。蚊がテーブルに止まっていたものでしたから潰そうと思ったんですけど、逃げられちゃいましてねえ。本当に五月蠅い蚊がさっきから飛び交ってるものですから」 明らかに嘘だ。アーサーのすわった目と引きつった笑顔がそれを証明している。一同は硬直していた。 「そうですねえ、今度飛んでいたらいっそ魔法で焼き殺した方が確実かもしれませんね。今度からそういたしましょうか」 その場にいた者は身の危険を感じ、あんなに怒鳴り散らしていた町長ですらフォルクの胸ぐらを離して席に戻った。ミリアもしばらく呆気にとられていたが、すぐさまフォルクに手招きをして、ルークたちの向かい側に急いで座らせる。 「それじゃ、さっさとお話聞かせて下さい。事によってはお手伝いもできなくはないですから」 誰も、機嫌を損ねたアーサーには逆らってはいけない。マゼンダすらも口答えができないのだから。
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Dies Irae - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月16日 (金) 16時01分 [841]
「それじゃまずフォルクさん、あなたはそちらのミリアさんとお付き合いを続けたいわけですね?」 「は、はい、そ、そうです」 アーサーがまるで取り調べのようにフォルクに質問を投げかける。 「結婚までお考えなんですね?」 「は、はい」 「町長さん」 はいっ! と町長はびくっとしながら返事をした。 「結婚反対の根拠はなんですか?」 「あのですね、娘は町長をいずれは継いで貰うわけなんですが、この男の元に嫁にやるとなると色々不都合がございまして・・・・・・」 町長は縮こまりながらぼそぼそと答えた。 「何って、お家のこともそうですし、彼は貧乏な考古学者ですから娘は苦労を強いられるじゃないですか。それに、あのですね、この男は・・・・・・」 アーサーがにこりと笑いながら話を遮る。 「あのねえ、『この男』って失礼じゃないですか? 彼には『フォルク』って名前があるんですよ? それともこの町には『町長』みたいに『この男』という役職があるんですか?」 「す、すみませんっ!! フォ、フォルクさんはあの、なんと言いますか、少々頼りないところがございまして、本当に娘を任せられるのかというのが疑問でして・・・・・・」 アーサーはフォルクに向き直って語りかけた。 「ということですが、何か仰りたいことは?」 フォルクはもじもじと口で何か呟いているところへミリアが口を挟もうとする。 「あたしは彼に・・・・・・」 「ミリアさん、僕はフォルクさんに聞いているんです。貴女が口を出すことじゃない」 しかしアーサーにそう睨まれ、二の句が継げなくなってしまった。 「で、どうなんですか? フォルクさん」 「いや、あの、その・・・・・・」 暫く静まり返る部屋。時計の音だけがチッチッチと鳴っている。アーサーは大きく息を吸い、 「いい大人が・・・・・・黙り込むな!! 黙って解決できる問題と思うか!? てめえがどうにかしねーとあのイシアタマにいつまで経ってもナメられるばっかだろ!? んだテメエ、さっきの態度はよ!? テメエの問題なんちゃうんか!? こんなことも解決できんでこの先やっていけるつもりか!? おめでてーな!! あ!?」 「ご、ごめんなさ・・・・・・」 「謝ってる暇があったらさっさと喋れ!! 無駄な時間使わせんじゃねえよ!!」 はい、はい、とフォルクは涙目になりながら話し始めた。 「えっと、その、お、お父さんの心配な気持ちも分かります。ですけど、ぼ、僕はミリアを心からあ、あ、あ・・・・・・」 「どもるな! キビキビ喋らんか!!」 「すみませんっ!! ミリアを・・・・・・心から愛してます! ですから結婚認めて下さいぃ〜!!」 フォルクは耐えきれなくなり、とうとう泣き出してしまった。アーサーは舌打ちをしながらミリアに目を向けた。 「で、さっき何を言いかけたんですか?」 「あ、あたしは彼の考古学をむしろ手伝ってあげたいですし、考古学に専念させてあげたいだけなんです。それが彼の幸せだと思いますし、あたしも彼の幸せな顔が見られたら幸せですし・・・・・・」 ミリアはびくびくしながらも、できるだけはきはき答えた。妙に言葉が丁寧になっていたり、所々声が裏返ったりしてはいるが。 アーサーはこくりと頷き、町長に視線を戻す。 「こういうことだそうですが、それじゃ彼はどうしたら認めて貰えるんでしょう?」 町長は縮こまったまま、裏声で答えた。 「み、認めます!! 認めますからっ!!」 アーサーはにやりと笑いながら立ち上がり、町長のデスクに近づいていった。 「おめえ巫山戯んなよ? 別に俺らは関係ねえからどっちでもいいけどよ、無条件ってわけにもいかねえことぐれぇてめえでも分かってんだろ? 俺は別に『無条件で許してやれ』って言ってるわけじゃねえんだよ。てめえが言ってるその『認める』ってのはただこの場からさっさと逃げだしてぇってだけだろ? んなの認められると思ってんのか? あ?」 「わ、分かりました! 条件出します!!」 アーサーはそのままソファに戻り、町長を監視するように眺め始めた。 「そ、それじゃフォルク、あの禁断の遺跡のことは知っているだろう。あそこの遺跡は魔物がなぜかぞろぞろ出てきて、盗掘者ですら近寄りたがらない。あの遺跡の秘密を探ることができたらミリアとの結婚を認める!!」 「そんな・・・・・・無理ですよぉ! あそこを発掘した人はすでに魔物に殺されて・・・・・・」 そのとき、アーサーの杖がフォルクの顔の横をすり抜けた。 「行くよな?」 「・・・・・・はい・・・・・・!!」
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怒りの日 - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月16日 (金) 16時12分 [842]
恐怖の大魔王光臨。その名もアーサー。
ではレス返し
>クロネコ様
所詮フォルクは一般人。弱いどころかこの後もフォルクの問題行動が目立ってきます。
ルビィさん、こんなアーサーみたいな男はどうですか?(笑) 普段は穏やかな優男なのに機嫌が悪くなるとヤ○ザみたいになる男。
ダンピールはどっかで聞いたことあるような・・・・・・。
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こ・・・ - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月16日 (金) 21時58分 [843]
こわ〜・・・^^; 普段大人しい人ほどキレるとけっこう怖いんですよね。 そのギャップのせいかもしれませんけど。 口調が微妙に関西弁なのはなんでなんでしょうかね。
禁断の遺跡にいってらっしゃい!
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キレたアーサー - クロネコ (男性) - 2009年01月17日 (土) 18時30分 [846]
アーサーがキレてヤクザみたいになってますね・・・。 怖いです・・・。 普段は優しい人ほど怒ると怖いって本当みたいですね。
さて、ナーティス物語のメンバーからのメッセージ
ライ 「アーサーさん怖い・・・フォルクさんのあの怒られている時の 気持ちがわかる気がするかも・・・でも、アーサーさんが正しい と僕は思うな、あと、町長さんは言いすぎだ!」 ルビィ 「ほう!お前も言う時は言うじゃねーか!前までフォルクは単なる モヤシ男かと思ったらちっとは骨があるじゃねーか!アーサー! お前やるなぁ!お前みたいな人間は俺は嫌いじゃないぜ!」 リーナ 「アーサーさん、関西弁っぽくなってる・・・ ヤクザみたいね、でも私達の世界のヤクザはもっと 怖い・・・」 ケルス 「あの町長は言いすぎだぜ!あの発言は俺は気に入らねぇ! どんな理由があっても人の人権を守るべきだ!」
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