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海上の男達 - ベールゼブブ (男性) - 2009年02月03日 (火) 19時17分 [879]
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「帆を揚げろ! 船を出せ!」 『アーー!!』 「錨を上げろ!! サンタダニエラ出航!!」 『アーー!!』 豪快なかけ声と共に、船が港を出る。マゼンダはパイプを吹かしながら、甲板で海を眺めていた。 「本当は豪華客船で愛しの彼と並びたかったわ・・・・・・」 「豪華客船じゃなくて悪かったな」 後ろからキャプテンがマゼンダにロープを投げた。 「何よこれ?」 「そこの柱に縛り付けるんだ」 「ちょっと待ってよ! なんであたしがそんなことしなくちゃならないのよ!?」 マゼンダの抗議に、キャプテンが剣を出す。 「この船に乗ったからには船長である俺の指示に従ってもらおうか。でなけりゃ船から飛び込んでもらう」 「・・・・・・ル、ルーヌに任せたら? あの子の方が力仕事向きよ」 「鞭とロープの扱いならお前の方が慣れてるだろ?」 マゼンダはふうとため息をつき、しぶしぶロープを柱に縛り付けた。 ルークは大砲の掃除と船体の補修を命令され、しぶしぶやっているところに、マゼンダとすれ違った。 「ちょっとルーヌ!! どうなってるのよ!? なんであたしたちが海賊の手伝いをしなきゃいけないわけ!?」 「あ、やっぱり先生もですか。諦めて下さい。海に落とされたくなかったら。その分帰った後の礼が省けると思えばこれぐらい・・・・・・」 マゼンダは少しキャプテンの背中を見やり、小声で続けた。 「礼が省けるったって、あたしはともかくあんたは王国の兵士長でしょ!? プライドってもんがないの、あんたは!?」 「・・・・・・先生、グースでメイドの格好させておいてそれはないんじゃないでしょうか?」 マゼンダは言葉につまり、話題を変えた。 「アーティー達はどうしてるのよ? アーティーに力仕事は無理そうだし、ルルもまだ子供よ?」 「アーサーは航海士のところにいます。家が魔術師一家ですし、占いとか占星術でも手伝ってるんじゃないですか? ルルは航海の無事を添乗の神官と祝詞をあげて祈ってます」 「・・・・・・適材適所、だわね」 「そこ!! 喋ってないで仕事しろ!!」 突然キャプテンに怒鳴られ、二人は持ち場へそそくさと戻っていった。
その夜、アーサーは大きく伸びをしながら甲板へ出た。星が綺麗に並んでいる。しかし、一点を見つめた後、慌てて船長室に駆け込み、ドアをノックした。 「船長さん、ごめんください!」 「なんだ、やけに丁寧に慌ただしいな」 船長は扉を開け、その美顔にうっと詰まった。 「船長の宿星である鎮星が魔星の近くに。何か嫌な予感がします」 といった矢先、船が大きく揺れた。キャプテンも慌てて甲板へ駆け出す。驚いたルーク、マゼンダ、ルルも甲板のアーサーのもとへ駆け寄った。 「アーサー!! 大丈夫か!?」 「うん。だけど、一体・・・・・・?」 同じく出てきた船員達が松明で灯した明かりの中出てきたのは、吸盤がいくつも並んだ長い足が何本か。いや、船を取り囲んでいるのだから何本だけではない。その足の間からぬっと現れた本体。烏賊のようなシルエットを見せ、金色に輝く目でこちらを睨んでいた。 「何だあれは!?」 ルークが剣を構える。 「大王イカかテンタクルスかクラーゴンか。大烏賊属は大きく3つに分かれますが、あれほど大きなものは初めて見ました」 アーサーがその金色の目を眺めながらそっと呪文を唱えた。 「メラミ」 大人が抱えるぐらいの大きさの火球が、シルエットに向かって放たれた。大烏賊は眉間を灼かれ、叫びながら墨を吐いた。 「うわあっ!!」 墨は船員の一人を巻き込みながら、甲板に広がっていった。 「今日はイカスミシーフードカレーでも戴くとするか!!」 キャプテンが剣を取ったのを合図に、海賊達が一斉に影へと飛びかかっていった。 「いくぞ!!」 ルークのかけ声と共に、マゼンダ、アーサー、ルルも動き出した。
波打つ烏賊の足が、船上の数々の剣に切り取られていき、甲板に貼り付きながら落ちていった。 「お料理は得意なのよ!!」 マゼンダが鞭に宿わせた炎で向かってくる足を灼いていく。辺りに香ばしい匂いが立ちこめていた。 「メラミ!!」 アーサーの火炎魔法が本体を狙う。船上で漂う烏賊の焼ける匂いに食欲を刺激され、海賊達の士気が湧いた。 「イカ刺し!!」 「イカスミパスタ!!」 「シーフードカレー!!」 一斉に沸き起こるビストロコールの中、ルークが足を伝って本体に一撃を据える。船長もそれに続き、円月刀で一気に攻めていった。大烏賊は足でルーク達を払いのけようとするが、かわされる。 「なかなかやるな!! 船長!」 「伊達に海賊はやってねえってことだ。海の荒くれ魂、見せつけてやれ!!」 『アーー!!』 ルークの剣と船長の剣がだんだんと烏賊の体を斬りつけていく。次第に烏賊も耐えられなくなり、一気に船へ倒れ込んできた。 「危ない!!」 ルークの雄叫びに船長は巻き込まれそうになったことに気づいたが、足場としていた烏賊の足から足が滑り、身動きが取れなくなっていた。 「船長ぉぉぉ!!」 「届いて!!」 マゼンダの鞭が飛んでいき、船長の体をしっかりと捕らえた。マゼンダはそのまま鞭を振って倒れた烏賊の体の上に彼の体を下ろし、船長が剣で烏賊の体を刺して己の体を支えるに至った。 船上を歓声が湧く。ルークは烏賊の体から下り、船長も剣を軸にして体を起こし、甲板へ飛び降りた。 「あたしの鞭さばき、なかなかのもんでしょ? 感謝しなさいよ」 「・・・・・・感謝してやらんでもない。お前がそこまで言うならな」 「素直じゃないわね」 その夜は船員達の期待通り、夕飯は大烏賊の足で彩られていったが、結局大烏賊属のどれだったのかは誰にも分からなかったという。
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Arrr! - ベールゼブブ (男性) - 2009年02月03日 (火) 19時42分 [880]
ちゃらちゃっちゃっちゃらちゃっちゃっちゃらちゃっちゃっちゃらちゃらん♪
何の曲か分かるかな〜?(爆)
ところでアメリカンジョークに
"Why are pirates so popular?" "They just arrr!"
ってのがあるんですけど、これってbe動詞のareと、海賊特有の肯定の返事arrrがかかっているっていう理解でよろしいんでしょうか?? だとするとこの場合の訳はどうなるんでしょうかね?
「なんで海賊はそんなに人気があるの?」 「ただ人気がアーー! るだけだよん」
って感じなんでしょうかね?? それとも
「ただ海賊でアーー! るからってだけだよん」
って感じなんでしょうか? 誰か解答・意見求む。
では長々したところでレス返し。
クロネコ様>
前書いてたやつは船酔いを「魔物」に仕立て上げてました(笑) やっぱいつかリメイクしよっかな。前作。懐かしくなってきた。とりあえずこの後のやつを消化してネタが尽きたときだな。 雷魔法は現時点ではまだ使えないのです。っていうか大王イカとかテンタクルスはまともに倒してると面倒なのでいつもザキとかザラキで一発KOしてますけどね☆
そうそう。吸血鬼は元々黒死病の象徴で、太陽に弱いとか十字架に弱いとかいうのはあくまで後付に他ならないんですよね。主にクリスチャンの妄想って言っちゃうと怒られそうだからやめとこ♪ ニンニクに弱いというのも、ニンニクの滋養強壮作用が健康を増進するからってことで、病の象徴である吸血鬼が逃げていくとされた、という説が主流ですが、元々タマネギだったって説もあるみたいですね。って・・・・・・何吸血鬼を語ってるんだ、私。
なんか、オカルト関係で大いに語れそうですね^^;
天使様>
デレはちゃんと用意してあります☆ がんばってデレさせます^^; でもルーヌがツンデレを最近サボってるのでどうしましょう!? (主語がルーヌなことに注意)
では☆
追伸: これで暫く更新ストップします。続きは約一ヶ月お待ちを。
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アーー! - 翼無き天使 (男性) - 2009年03月22日 (日) 20時33分 [881]
船旅は新しい展開ですねー。 っていうか「烏賊」を「イカ」って読むと初めてしりました^^; 最初読めなくて、なんて読むんだこれ!?ってなってました^^; 必至に類推してやっと……
そしてその英語。 ボクに英語を尋ねるなんて。 肉屋に魚をさばけと言ってるようなもんです(爆) そもそもarrrなんてものは見たことすら^^; よってボクの回答は「不明」です。
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