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ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジー小説投稿掲示板


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  こちら超常現象対策室! - 翼無き天使 (男性) - 2009年08月09日 (日) 16時09分 [989]   
 
【第6話】超常現象対策室!

 「超常現象、対策室……!?」

時刻は昼過ぎ。俺は東京市内郭区のとある建物の中にいた。
つーかまだ昼過ぎだったのか。そう言えば今日は朝から学校サボったからな。教室で涼太と話してからまだ4時間足らず。
この4時間が果てしなく長いものに感じられた。謎の少女に出会い、下水道に降りて、廃工場に行って、化け猫の腕を斬り落として――……。
やっと頭もそこそこ働くようになり、俺はこれからどうなるんだろうかと思った矢先に聞かされたのが、また耳慣れない新出単語。

『防衛省特務機関・超常現象対策室』

通称『ASU』(Anti Supernatural Unit)と呼ばれるその組織は、約40年前に設立され、あらゆる霊的厄災から国を護る、日本政府お抱えの除霊専門機関。
その存在は超国家機密。知ってる人間は極々僅か。

俺……知っちゃったんですけど……!!

 「そう。お前がそこのバカ娘にそそのかされて首を突っ込んだのは、そういう存在だ」

俺が通されたのは室長室なる部屋。俺に続いて美言、源田、安倍も部屋に入ってきた。
そこにいたのは、60は過ぎているであろう妙にスゴ味のきいた小さい婆さんで、デスクに座ってタバコをふかしていた。
御門ヶ原千代子と名乗るその婆さんは、俺を来客用ソファに座らせると、対策室のことをザックリ大雑把に説明した。
 「そんなお婆ちゃん!あたし別に煉ちゃんをダマしてなんかないよ!っていうかあそこに源田さんたちがいるなんて知らなかったし……」
 「やかましいこのポッキー娘!2週間も失踪しおって、いったいどこをほっつき歩いていた!お前の父も心配していたぞ」
 「むぅ〜。お父さんなんか知らないもん!」
美言はプイッと顔を背ける。
 「…………」
混乱で頭がグルグルした。心なしか胃もキリキリする。
成り行きとは言え、国家の機密事項に首を突っ込んでしまった哀れな高校生・二界堂煉治。
 「……それで、俺はこれからどうなるんですか?」
明らかに俺、今かなりのピンチだよな!?国家機密だよ!?機密って事は知ったらダメってことだよ!?
それを知っちゃった俺って……。ドラマ的展開に沿った想像に身を任せるなら、最悪監禁――……。
 「聞けば小僧、火車の腕を斬り落としたらしいな」
千代子は突然話を切り替える。
 「え?あぁ、はいまぁ……いや!でもあの時は無我夢中で何が何だか……」
俺に飛びかかる火車の巨体。鋭い爪。揺らめく炎とあの眼。思い出しただけでも背筋が凍る。
 「ふむ。そこそこ見込があると考えていいか……」
タバコをもう一度吸い、そんなことを呟く。
 「お前の選択肢は二つだ」
千代子の握り拳から人差し指が開いた。
 「一つ、今日目撃したことは誰にも口外しないと誓約書を書き、何もかも忘れて元の幽霊が見えるだけの生活に戻る」
はっ、そうだ。そもそも俺がここに連れてこられたのは安倍に誓約書を書いてくれと言われたからだった。
ってことは帰れる!沈黙を誓うだけで元の生活に!
 「二つ――」
千代子の中指が開く。

 「――霊退師として対策室に入り、悪霊と戦う」

 「はぁ……!?」
 「どちらの選択肢を取ろうと完全にお前の自由だ」
千代子は言う。勧めも諫めもしない。自分の意思で決めろ、と。
 「しかし、お前には悪霊を倒す力がある。それは残念ながら誰しもが持っているわけではない特別な力だ。才能と言ってもいい。それがお前には備わっている。その意味をよく考えることだ。その上で下した決断なら、誰も文句は言わん」
俺が、霊退師として悪霊と戦う?
無理無理無理!ぜってー無理!そこら辺の幽霊ぶん殴るのとはワケが違う!
火車と対峙しただけで足が震えるんだぞ?それに今日のはマグレで、俺にそんな実力あるわけねぇんだよ!
 「そんな、俺には無理ですよ!悪霊と戦うなんて……」
そんなこと、出来るわけがない。
 「ちなみに今日戦った火車はカテゴリーB、上から二番目のランクに分類される悪霊だ。あの一撃が例えマグレだとしても、凡人には到底できない芸当だ」
源田が口を挟む。
 「ああ、なかなかいい太刀筋だったぜ?素人には見えなかった」
と安倍。
 「煉ちゃんは剣道と居合をやってたんだよ!」
と美言。
和気藹々と俺の話で盛り上がる3人。
 「一日、考える時間をやろう。取りあえず今日は誓約書だけ書いて帰れ。霊退師にならないのなら、そのままここへは二度と来なければいい。なるなら明朝、またここへ来い」
千代子は話は終わりだ、と言わんばかりにデスクに戻ってパソコンに視線を移す。
源田は部屋を出るようにみんなに促した。
 「美言、少し残れ」
千代子が美言を呼び止める。俺はそれを横目に頭がゴチャゴチャなまま室長室を後にした。

表に生きるか。裏に生きるか。
二界堂煉治。
お前は今、一世一代の大分岐点に立っているぞ!

     ◇

源田に案内され、別の個室で誓約書を書いた。
仕上げに朱肉に右手の指全部をつけて書類に捺印し、ご丁寧に髪の毛まで抜き取られた。DNA採取か?
 「よし、これで完了だ」
源田は俺の毛髪を小さなビニール袋に入れると、書類と一緒に封筒に入れ、封をした。
 「もう帰っていいぞ。あとは、お前次第だ。一応ここの住所を渡しておく」
ボールペンで殴り書きされたメモ用紙を手渡される。
東京市内郭区桜庭町415−1防衛省交通整備局。
 「……交通整備局?」
 「この施設の表向きの顔だ。超常現象対策室なんて、世間大っぴらに言えんからな」
なるほど、カモフラージュというわけだ。さすが秘密組織なだけある。
 「もし明日ここに来るなら、御門ヶ原の名前を出せば取り合ってくれる。来ないならその紙は燃やせ。まぁ、よく考えるこった」
俺は立ちあがる。ドアに向かって足を踏み出そうとしたが、その前に一つ、質問した。
 「美言は……、美言はどうして霊退師に?」
 「……お前、本当に何も知らずに協力してたのか。懐が深いのか抜けてるのか」
源田はふふっと笑う。
 「まぁ、本人に聞いてみたらどうだ?外で待ってるぜ」
そう言って部屋のドアをガラッと開ける。
 「うわっ!?」
美言が前のめりになって部屋に転がり込んできた。
 「もう!源田さんひどい!」
 「ぬはは、盗み聞きしてた罰だ。じゃあな」
源田は俺の肩をポンと叩くと部屋から出て行った。
部屋に取り残される二人。なんとなく、なんとな〜く気まずい。
最初に口を開いたのは美言だった。
 「えへへ、お婆ちゃんに怒られちゃった。一週間、対策室内でポッキー食べるの禁止だって」
 「つーか失踪ってなんだよ。家出でもしてたのか?」
 「ちょっと、お父さんと喧嘩して」
 「はあ、喧嘩」
いったいその間どこに寝泊まりしてたんだ?
 「帰ろ、煉ちゃん。約束通り、全部話してあげる」

     ◇

俺と美言はファミレスに入ってテーブルの一つに向かい合って腰掛けた。
昨日の惨劇がフラッシュバックされて、ズキリと心が痛む。幸い、ファミレスの中に幽霊はいなかった。
まぁ今回の向かい相手は霊退師。いても別にどうってことないんだが。
 「煉ちゃん何か食べる?」
 「いや、いい」
昼飯を食べていなかったが、元気に食事するほど俺の精神は太くないので、アイスコーヒーを頼んだ。
 「じゃあねぇ、あたしはチョコレートパフェ!」
店員はかしこまりました、と言って立ち去る。
 「う〜ん、何から話せばいいのかなぁ」
確かに。色々ありすぎて何が一番聞きたいのかわからない。
 「あ、そうだ。工場ではごめんね。あそこに源田さんたちがいたのは本当に予想外だったの」
美言は手の平を合わせて謝る。
 「いきなり対策室に連れてかれちゃって煉ちゃんを余計に混乱させたよね。当初の計画ではもっと段階を踏んで話すはずだったんだけど……」
あんなぶっ飛んだ話じゃ、美言の言う「計画的な段階」を順序よく踏破したとしても、俺の頭はショートしたに違いない。、
 「じゃあ質問」
取りあえず思いついた質問から挙げていくことにした。
 「はい、どうぞ」
美言はエアマイクを俺に向ける。
 「お前もその対策室の霊退師、なんだよな」
 「うん、まぁね。一応まだ高校生だからバイトってことになってるけど」
バイトと言えど、政府機関員と言うことは、つまりは国家公務員!この不景気・就職難の中、誰もが認める最強の安定職・国家公務員!
同じ高校生なのに、なんという社会的ステータスの差……!
だが、その仕事には「死」がついて回る。
 「超常現象対策室ねぇ……。そんなオカルト組織がこの日本にあるとは驚きだ」
 「国家機密だからねぇ。さっきお婆ちゃんもチョロっと言ってたけど、40年前にお婆ちゃんたち御門ヶ原家の人たちが創設したの」
 「あの婆さん、そんなスゲェ人なのか。まぁ、確かに妙なスゴ味はあったな」
 「昔は凄腕の霊退師だったんだって。もう引退したらしいけど」
 「ふーん……」
あの婆さんに睨まれたら、それだけで悪霊も逃げ出しそうだが。
 「対策室の大体のことはこんなもんかな〜」
 「なるほど。そりゃ政府がバックにいれば帯刀許可だって何だってもらえるわけだ」
 「そういうこと。あの状況であたしが政府の人間だなんて言ったら、煉ちゃんドン引きだったでしょ?」
 「……確かに。大臣の娘じゃなかったのか……」
 「え?」
 「いや、なんでも」
そんな折、店員がお待たせしましたと言ってアイスコーヒーとパフェを持ってきた。
 「わぁ〜、おいしそう〜!」
美言はさっそくパクッと一口。
 「じゃあ質問その2」
 「どうぞ♪」

 「なんで霊退師になったんだ?」

二口目のスプーンがピタッと止まる。美言は数秒黙った後、スプーンを置いて口を開いた。
 「……そう言う家系だから。天宮家は、そういう宿命を背負った一族なの」
 「霊退師の血筋、か。なんだか大変そうだな」
 「まぁね。でも仕方ないよ。そういう宿命なの。それにあたしは、天宮家の次期当主だし」
 「……はい?」
 「1000年以上の昔から、影で日本の霊的守護を担ってきた一族。その第37代目次期当主が、あたし」
……なんだか、大臣より格が上になってきたぞ。
 「ある時は天皇家に仕え、ある時は将軍家に仕え。たくさんの時代の移り変わりの中で、天宮家は常にその裏側で日本を護ってきたの。40年前にお婆ちゃんたち御門ヶ原家が対策室を設立してからは、天宮家もそこに協力するようになったけど、一族の宿命は何一つ変わらない。きっと、これからも……」
 「…………」
生まれながらに定められた人生。その細い身体に背負わされたのは、あまりに重い宿命だ。
 「……嫌に、霊退師を辞めたいと、思ったことはないのか?」
 「……何度もあるよ。実を言うと、お父さんとの喧嘩もそれが原因なんだ」
美言はほんの少しだけ笑ってみせる。
 「でも、出来ない。投げ出したりなんて、出来ないよ。あたしが戦わないと、みんな死んじゃう。あたしが守らなきゃ、いけないの……」
才能。
千代子はそう言った。悪霊を倒す才能。誰もが持てるとは限らない特別な力。
その才能が、才能ゆえにのしかかる重責が、今の彼女の心を苦しめている。
守らなきゃいけないだって?彼女のその小さな肩に、いったいどれほどの命が預けられているというんだ……。
 「……それでも時々、悪霊を倒した場所で笑って楽しそうにしている人を見かけたりすると、あぁ、あたしはこの人の笑顔を守ったんだなって、すごく嬉しくなるの。だから本当のところは、よく、わからない。天宮の務めが嫌になって家出しても、結局、気が付けば悪霊を探してた。この務めに少しは誇りも感じてるんだと、思う……」
普通の生活への羨望と、自分の務めへの誇り。その両方に板挟みというわけだ。
 「ただ、任務が忙しいと学校もあんまり行けなくて……友達もいないし。対策室の人はみんないい人だけど、みんな大人でしょ?」
今日見た限りじゃ、若いといってもせいぜい安倍くらいの歳だろう。
 「周りにあたしぐらいの歳の霊退師ってあんまりいないの。霊感があっても霊力はない人がほとんど。あたしの、霊退師のことを知った人はみんな、あたしから離れていった。……すごく、寂しくて。すごく、孤独を感じていたと思う」
俺は何も言えなかった。悲しく笑う彼女に、なんて言ってあげればいいのかわからなかった。ただ黙って、耳を傾けるしかなかった。
 「……だからね。煉ちゃんを見たとき、煉ちゃんが付き合ってやるって言ってくれたとき、すごく嬉しかった。やっとあたしに近い人に、あたしのこと怖がらない人に出逢えたって。煉ちゃんがいれば寂しくなくなるかもって思った。煉ちゃんがいれば、あたしの運命も楽しいものになるかもしれないって」
堰を切ったようにそこまで話すと、美言は俯いたまま黙ってしまった。

彼女は、ずっと一人だった。
親もいた。上司も、仲間もいた。でもそれは学校で言う上級生で、彼女には「同級生」が一人だっていなかった。
同じ苦しみを背負い、分かち合い、共感してくれる同級生が、いなかったんだ。
彼女は一人だったんだ。
ずっと一人で戦ってきた。孤独に。でもその孤独を他人に悟られまいと、周りに心配をかけまいと、いつもあんな笑顔をつくって――……。

――俺が、彼女の孤独を少しでも埋めてあげられるなら。

――俺が、彼女の本当の笑顔を取り戻してあげられるなら。

――日本を守る?そんなこと、どうでもいい。

俺は、ただ彼女を。天宮美言を――……


……――救ってあげたいんだ。


 「……しかしアレだ。俺がいたって、ただの足手まといなだけかも知れないぞ?」
 「そんなことない!煉ちゃんは充分強いよ!経験を積めば……ううん、例え足手まといでもいい。煉ちゃんはあたしが守るから――……」
彼女はこの期に及んでまだ「守る」と言う。
もう背負いきれないくらいたくさんの命を守っているというのに。
もう心が折れてしまいそうなくらいのたくさんの幸せを守っているというのに。
 「……――お願い、もう、一人は……怖いの」
彼女の頬を、大粒の滴がツッと滑る。

――ああ、そんな顔をするな。

――大丈夫。俺がそばにいるから。

――俺がお前の支えになるから。

 「……わかった」
なんだろう。妙に心がはっきりしてる。
 「俺、霊退師になる」
 「……煉ちゃん」
結局のところ俺も、ただ怖かっただけなのかもしれない。
知らない世界に踏み込むのが。今までの生活にはもう戻れないのが。一線を踏み越えてしまうのが。
もっと早く気付いてもよかったのに。
俺はこいつに出会った時点で、もう一線も二線も飛び越えていたんだって。
――だったら。
――もう後戻り出来ないなら。

――何線だって飛び越えてやるさ。

 「ただし、今の俺はただのヘッポコ高校生だからな。強くなるにはちょっとばかし時間が要る。それまで俺の命は美言、お前が守ってくれ」
――でも、いつか。
 「いつか、俺が一人前の霊退師になったら。その時は、お前の苦しみを俺も一緒に背負って、お前の命は俺が守ってやる。――絶対に」
我ながら情けない誓いだと思う。でも、これでいいんだ。
俺は小指を差し出す。

 「約束だ」
 「……うん!」

絡み合う小指。
俺は強くなる。美言を守るために。
     (第6話完)


  まぁ - 翼無き天使 (男性) - 2009年08月09日 (日) 19時00分 [990]   

どんな物語でも、「理由」というのは非常に大切だなぁ、と思うわけで。
煉治の戦う理由の回でした。
それではまた次回。


  をを - ベールゼブブ (男性) - 2009年08月09日 (日) 22時32分 [991]   
レンジ君男前ww
しかもミコトちゃん、いろんな意味で心理テクニック使ってww しかも無自覚ww

や、ぶっちゃけレンジ君が強くなるかよりも二人の動向の方が気になってしょうがない。
期待してます☆



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