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ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジー小説投稿掲示板


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  ガント編3 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月07日 (金) 14時14分 [664]   
  ケイトはスプーンをルルから受け取った。彼女はスプーンを台車に乗せて厨房まで運ぼうとしていたが、
「あの、ケイトさん。」
ルルに呼び止められ、振り返った。
「何?」
「その・・・王女様があなたに部屋へ来るように伝えて来いと仰ったものですから・・・。」
ケイトは盛大にため息をついた。
「また?これで一体何回目よ?文句つけてやるわ!ちょっとスプーンよろしく!」
ケイトは腕を大きく回しながら恐ろしい形相で王女の部屋へ向かった。
とりあえずルルはスプーンだけ厨房に持っていき、彼女の後を追った。
そして王女の部屋にべったりと貼り付き、聞き耳を立てる。
「あんた本当いい加減にしなさいよ!?一体これで何回目だと思ってんのよ!?たかだかアルキスが欲しいためだけに仕事中にいちいち呼びつけて、『別れろ』ですって!?おふざけも大概にしたらどうなの!!」
「王女に向かってその口のききかたはなんですの!!貴女がさっさとアルキスと別れないから、あの方は貴女に気を使ってちっとも私に振り向いてくれないのですわ!」
ダン、とテーブルを叩く音がする。
「王女らしく扱って欲しかったらあんたも王女らしく振る舞いなさいよ!!っていうかあんた、自惚れるのも大概にしたら!?気を使ってるんじゃなくてハナから相手にされてないのよ!!いい加減気づいたらどうなの!!そもそも人の男に手を出すなんてサイテーだわ!!」
「なんですって!?なんならこの場で貴女に暇を与えてもよろしくてよ!?」
ケイトが大声で笑い始めた。
「クビにできるんならやってみなさいよ!アルキスもあたしの後を追ってこんなとこ辞めることになるわよ!?それでいいんならね!むしろあたしの方から辞めてもいいぐらいだわ!そしたらアルキスも当然辞めることになるでしょうね!それでもあたしのクビを切れる!?それとも彼ごとあたしを追放する!?処刑する!?いずれにしてもアルキスはあんたの元に戻っては来ないわ。よく考えてモノを言ったらどうなの!?」
ケイトはまた大声で笑っていた。まるで悪の魔女のように。
「それじゃ、あたしは仕事に戻るわ。よく考えることね。自分の行動が果たして正しいのかどうか。横恋慕が純粋な愛の形か。それが納得できないってのなら、いつ辞めてもいいのよ。こんな国だって、出ていってやる。もちろんアルキスと一緒にね!ま、でも当分はアルキスを側に置きながら苦しむのね!」
ケイトは笑いながら王女の部屋から出た。ルルはどこに身を隠そうか迷っているうちにケイトに見つかってしまった。
「何アンタ、聞いてたの?」
「いえ・・・その・・・ちょっと心配になっちゃって・・・。」
ふ〜ん、とケイトは廊下を歩きだした。ルルもそれに続く。
「あんたも詮索好きなのね。あたしに似てる。」
ケイトは怒るでもなく、むしろ笑いながらそう言った。
「いえ・・・そんなつもりじゃ・・・。」
本当はそんなつもりだけど、とルルは心の中で付け加えた。
「でも酷いと思うでしょ!?あんたも!人の男に横恋慕した挙げ句、正規の恋人を仕事中に呼びつけて『別れろ』ですってよ!?理不尽も甚だしいわ!」
「でも貴女をクビに出来ないんですね。姫様は。」
当たり前よ、とケイトは胸を張った。
「アルキスは言ったのよ。あたしがこの仕事辞めるんなら、彼も辞めるって。あたしが国を追い出されたら彼も出ていくって。だから、あの女もあたしには手出しできないのよ。・・・まあ、彼のこと信用してないわけじゃないけど、万が一姫に振り向いちゃったり、あの男好きの王妃に手を出されたら絶対嫌だから、近々本当に辞めようと思うの。この国も出ていくつもりよ。」
「出ていくって・・・!アテはあるんですか!?」
ないわ、とケイトは平然と言い放った。
「だからアルキスとまだ相談中なの。やっぱり、それなりに稼いでからじゃないと路銀が危ないじゃない?・・・全く・・・。さっさとグースの王子と結婚しちゃえばいいのよ。」
「グースと結婚・・・?」
ケイトは驚いた顔を見せた。
「あら、有名な話じゃない。王がグースに話を持ちかけたんだけど、王子と姫が反対している上に、グースにまで断られたんでしょ?・・・全く・・・。さっさと結婚しちゃった方があたしもスッキリするのに・・・。」
「それほどアルキスさんが好きなんですね・・・。王子は何故結婚を断ったんですか?」
「ん〜・・・あの王子のことだからねえ〜・・・。なんていうか、基本的に自分以外の人間が嫌いなんじゃない?・・・まあ、他に恋人がいるって噂もちょっとばっかしあるけどね。」
恋人・・・か。ルルは少し考えた。

王子の窓をコンコンと叩く、一人の陰。
王子は窓を開けた。
「・・・ミーナか・・・。どうした?」
黒髪の少女はじっと王子の顔を眺めていた。
「・・・急に寂しくなっちゃって・・・。今、大丈夫?」
王子は部屋の扉を開け、辺りを見渡し、誰もいないことを確認した。
「・・・大丈夫だ。入りなさい。」
少女は王子の手を借りて、窓から入ってきた。
そしていきなり王子に抱きついた。
「私・・・いつになったら貴男と一緒になれるの?私・・・私・・・!」
「ミーナ、落ち着け。まだ、その時じゃないんだ。もし、時が来たら・・・駆け落ちしよう。」
駆け落ち!
少女はその言葉を聞いて途端に慌てだした。彼女は王子の顔を見上げる。
「ダメよ!駆け落ちなんて、卑怯じゃない!?私達の関係をお父様とお母様に認めてもらいたいの!!駆け落ちなんて嫌!!」
少女の豹変ぶりに王子は驚いたが、特に何の疑問も持たなかった。それほど彼は人の気持ちに疎かったのだ。
「だが、父上は俺をグースの王女と結婚させるつもりでいる。お前のことなど認めようとしないだろう。」
「そこをなんとか説得するの!駆け落ちは本当に最後の手段にして!!まだ説得しないうちから諦めちゃダメよ!!」
王子は少女を抱きしめて言った。
「そうか・・・分かった。それほどお前が強いと思わなかった。・・・そうだな。父上と母上には俺からうまく言っておく。」
少女は笑って頷いた。
あどけない笑顔ではなく
不敵な笑みで。

  グース編3 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月07日 (金) 15時34分 [665]   
ルークは兵士長と睨みあっていた。
剣を上段に構えながら。
先に動いたのはルークだった。
兵士長はルークの剣を受け止めた。
ルークの方が背が低い分、受け止められたときの分が悪い。
ルークは思いっきり兵士長の剣を弾いた。
そしてすかさず一回転しながら水平に斬りつける。
しかしこれも兵士長に受け止められた。
「メイド・・・どこで剣を覚えた?」
「お前に語る必要はない。」
そう言ってルークは切っ先を持ち上げ、回転させた。
カンッ!
兵士長の鎧に一筋の大きな傷ができた。
「!小娘・・・!」
「本気で来い。それとも今のがお前の本気か?」
「ナメたマネを・・・っ!」
兵士長は剣を大きく振りかぶり、一気に下ろした。ルークは振りかぶった瞬間に兵士長の横をすり抜けた。
兵士長がその場で倒れる。
「剣を振りかぶりすぎだ。馬鹿者め。そんなに大きく振っていたら大きくスキが出来てしまうだろう。・・・安心しろ。今のは峰打ちだ。」
そう言ってルークは剣を鞘に納めた。
「・・・参った・・・・。」
兵士達は一斉におおおおおおおっと歓声を上げた。
「兵士長が負けを認めたぞ!!」
「メイドが兵士長をうち負かした!!」
「すげええ〜!!」
ルークはまた兵士達に囲まれた。
「・・・あの・・・仕事あるんで帰りたいんですけど・・・?」
「ねえ!ここで兵士長やってよ!!」
「女兵士長かぁ〜・・・。かっこいい〜!!」
「一生ついていきます!!姐さん!!」
ルークは盛大にため息をついた。
「・・・私の訓練は辛いぞ。本当についてこられるのか?」
兵士達は一斉に頷いた。ところが、ルークがやる気になったところで、とんだ邪魔が入ったのである。
「あっ!!ルーナこんなところにいた!」
振り返ると、そこにはメイド服姿のアーサー、「アミンタ」が掃除道具を持って訓練場に入ってきていた。
「ア・・・アミン・・・タ・・・?」
兵士達の目線が一斉に「アミンタ」に釘付けになる。
「ねえ・・・あのむちゃくちゃ美人なメイド・・・知り合い?」
「ええ・・・まあ・・・。」
ルークは頬をぽりぽりと掻いた。
「アミンタ」は呆れ顔でルークに近寄る。
「貴女まだお仕事たくさんあるでしょうが!なかなか配管修理の手伝いが来ないって、配管工のマリオさん怒ってましたよ!こんなところで油売ってないでさっさと仕事に戻りなさい!!ほら!!」
「痛い!!耳を引っ張るなアー・・・・ミンタ!!」
「アミンタ」に耳を引っ張られ、ルークはずるずると引きずられていった。
兵士達は唖然とその様子を眺めていた。
「わあ・・・美人だけど結構怖いな・・・あのメイド・・・。」
「ああ・・・。剣が強くてもあのメイドだけには敵わないんだな・・・。『ルーナちゃん』だっけ?」
「美しいバラには棘がある、ってのは本当なんだな。『アミンタちゃん』だっけ?」
『かっこい〜!!』
兵士達はそこに落ち着いた。

「痛い痛い!!離せアーサー!!」
アーサーは引っ張っていたルークの耳を離した。
「貴女ねえ・・・。今の僕たちの仕事分かってるんでしょうねぇ?何仕事サボって兵士達と楽しそ〜〜にお喋りしてるんですか?」
「いや・・・違うんだ!あいつらの剣の扱い方があまりにも下手すぎてつい・・・。」
「つい・・・何ですか!?まさか剣を教えてたんですか?とんだ大馬鹿ですね貴女!!」
ルークは流石にアーサーをキッと睨み据えた。
「大馬鹿とはなんだ大馬鹿とは!!」
アーサーは掃除道具を叩きつけた。
「大馬鹿だから大馬鹿だ!!逆ギレしてる暇があったらちったあ考えやがれ!!お前が剣を教えようもんならそのぶんルドンまで危うくなるっつーことだろうがよ!!前に説明しただろうが!忘れたか!?この国はルドンを狙ってるっつった!場合によってはルドンに戦争をしかける可能性もあるって言わなかったか!?ルドンの兵はお前が鍛えたお陰でそれなりの国力をもってるから大して戦争の心配はしてなかったがな、お前が敵になるかも知れない国の兵を鍛えてどうする!!お前ルドンを裏切る気か!?」
アーサーがいつになくルークを怒鳴り散らしているのを見て、ルークは全身が凍り付いた感覚がした。
これまでに見たことのないアーサーの姿に、彼女は恐怖で頭が真っ白になった。
「・・・で、剣の手ほどきはしてたのか?どうなんだ。」
「直接はしてない・・・。ただ、ちょっと剣の扱いが酷かったから、私が代わりに人形を斬って・・・ここの兵士長に勝負を挑まれたから、戦って勝って・・・・。」
「要するに手本を見せた挙げ句道場破りか。・・・ったく・・・剣のこととなったら見境無くなりやがって・・・そんなんだからお前は馬鹿なんだ!それだけやって気が済んだらさっさと帰ってこれば良かっただろうが!なんで帰ってこなかった!?」
ルークは泣きそうになりながら、小声で答えた。
「・・・あいつらに・・・囲まれて・・・つい・・・。」
「ああ!?聞こえねえ!!」
ルークは本当に泣き出した。
「あいつらに・・・囲まれて・・・道塞がれて・・・帰るに帰れなかった・・・。」
アーサーははあ、とため息をついた。
「んなの、つっぱねて帰れば良かったじゃねえか。お前らしくない。それとも囲まれて英雄気取りでいたかったのか?」
「・・・・分からない・・・・。」
かといって、彼女にはその気持ちがあったことも否めなかった。
アーサーは無言で掃除道具を拾った。
「・・・兎に角、これ以上マリオさんを待たせるわけにもいかないから、地下室に行って来い。ついでに何かこの国について知ってることはないか聞いてこい。こっそり何か聞いていることがあるかもしれない。僕は王子の部屋掃除しながら色々聞いてこようかと思う。分かったな?」
ルークは啜り泣きながら頷いた。
「あー分かったからもう泣かない。怒鳴ってごめん。」
そう言ってアーサーはルークの肩を抱いた。

  家政婦は見た(コメ)3 - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月07日 (金) 15時41分 [666]   
え〜・・・前作のカルマン並の悪女が現れた感じです^^;
そしてやはり兄妹です。アーサーがルル並に変貌を遂げましたーー;
そしてこのところマゼンダさんの出番が少ないために今鞭でいたぶられてます。誰かタスケテ・・・。(阿呆)

ではレス返し
>天使様
免許取得おめでとうございま〜す^^私まだ車校すら行ってませんーー;

折角の見せ場も結局アーサーにド叱られてございます^^;
彼女の本当の見せ場はやっぱり戦闘中だけ・・・?

では☆

  おぉ^^; - 翼無き天使 (男性) - 2007年09月07日 (金) 16時00分 [667]   
アーサーのぶち切れシーンは恐怖を覚えつつも爆笑でした^^
ルークはやっぱり女の子ですね^^
オレが抱きしめてやりたくなっちゃいましたよ。
頑張って欲しいですね〜^^
では



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