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第8章 12節 蒼き悪魔 - 翼無き天使 (男性) - 2007年09月30日 (日) 02時24分 [710]
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「愉しもうぜ、少年たち」 男の深紅の瞳が妖しく光る。 2対1。状況的には有利なはずなのに、アルトは不吉な胸騒ぎがした。 この男は、やばい。 天峰もさっきの一撃でそれを感じたはずだ。慎重に戦わなければ。 あの手の蒼い光、威力、射程、能力、全て未知数だ。 ともあれ、まずは仕掛けてみるしかないか。 「な〜に黙り込んでんのよ。来ないならこっちから行くぜ?」 男の両手が蒼く光る。紅い眼とは対照的な綺麗な蒼だ。 この男は何者なんだろう?DICなのか?人間なのか? どちらにしろ敵には変わりはないのだが。 アルトは銃を構えて心臓部に向けて発砲した。 男は回避する素振りすら見せない。弾丸はどんどん心臓目がけて飛んでいった。 男はようやく腕を動かし、左手を心臓の方へ持って行く。 当たった。そう思った。 しかし、男の不敵な笑みは崩れることなく、左の拳をアルトに向けてかざした。 手が開かれる。落ちてきたのはアルトが放った銃弾だった。速度を失った銃弾はスッと消えてなくなった。 「おいおい、いくら何でも手ぇ抜きすぎだぜ?本気で来いよ。じゃないと――…」 男はユラッと動き、次の瞬間には間合いを一気に侵略してアルトの手前1mのところにいた。 「…――死ぬぜ?」 「!!」 右手の突き。その攻撃を防いだのは天峰の千鳥一文字だった。 「ボサッとするな!!」 天峰はそう叫ぶとすぐさま男の右手を弾き、男は後ろに跳んで距離を取る。 すかさずアルトが銃を構えて撃つ。 弾速Lv.4、フラッシュ・ショット。 高速の弾丸、しかし今度は光る右手に弾き落とされた。 「いいぞ!なかなかの速度だ。だがまだ遅い」 天峰は地面に転がる鞘を拾い上げると再び刀を鞘に収めた。 「空牙・烈風刃」 衝撃波が男を飲み込む、はずだった。しかしそれは男の手によって真っ二つに別れ、男の両脇を通過した。 「ハハハ!面白くなってきた!もっと、もっとだ!全ての力を解放しろ!俺を愉しませてくれ!!」 男は右手をアルトに、左手を天峰に向けてかざした。蒼い光が強くなる。 「『ブルー・フレア』!!」 蒼い光が男の手を離れ飛び出した。 「くっ!」 アルトは体をひねってかわそうとするが、男の攻撃はアルトの左腕にかすった。 ジュウッと肉の焦げる音が耳に入る。そして激痛が神経を貫いた。 「ぐぅぁあ!」 天峰は素早く横に跳んで回避した。標的を逃した蒼き焔は樹に食らいつき、幹をみるみる炭化させた。 「さぁ、もっと来い!!倒れてる暇なんかねぇぞ!」 男はアルトに標的を定めて距離を縮めた。 「どうした、ボケッとしてると死んじまうぜ!?」 「それはちょっと御免ですね…!」 こいつに生半可な攻撃は通用しない。負担は大きいが仕方ない。 全力で倒す。 バーストブレット、弾速Lv.5。 「『フラッシュ・バースト』!」 至近距離から高速の弾丸。今度は確かな手応えがあった。仕留めるにまで至らなくても相当なダメージはあったはずだ。 アルトは自ら放った弾丸の爆風で吹き飛ぶ。 男は…? アルトは起き上がり、巻き上がる土煙の中で眼を凝らした。 そして男はゆっくりアルトの前に現れた。 「ククク、いいぞ。この痛み、最高だ!!」 馬鹿な。無傷だと? 「だが…まだだ、少年。もっと出るはずだ。本気で来いよ」 男は服の埃を払いながら言う。 「俺が求めるのは死と隣り合わせの緊迫した戦いだ。それこそが最高の愉しみなのさ。だがまだ少年たちの方での命のやりとりにしかなってない」 再び手が光り始める。 「そんなに死にたきゃさっさと死ね」 天峰が土煙の中に紛れて男の背後を突いた。 「『襲牙・虎乱刃』」 高速の乱撃。目にも止まらぬ速さで次々と斬撃が繰り出される。 男は光る両手でそれを捌く。 「どうした!この程度か!?」 男が天峰の隙を突いて脇腹に蹴りを入れる。男の脚は蒼く光っていた。 天峰はアルトの方へ吹き飛び、受け身を取って着地する。 何事もないかのように立ち上がったが、突然口を押さえた。 「天峰!!」 吐血。内臓が損傷するほどの衝撃が届いたのだ。天峰は口を拭って、口内にたまった血を吐き捨てた。 「さぁ、もっと愉しもうぜ!」 「天峰、単独じゃ駄目です。2人で波状攻撃をかけましょう」 アルトがボソッと天峰に呟く。 「…ちっ」 「常にどちらかがあいつの背後を取りましょう。まず僕が仕掛けます」 アルトは氣を高め、火傷が痛む左手に力を込めた。手が光り、もう一つの銃を錬成し始めた。 「いいね。愉しめそうだ。来い!」 ダブルトリガー、ノーマルブレット、弾速Lv.6、高速連射。 「『クイック・フラッシュ』!」 二丁の白銀の銃から次々と高速の弾丸が飛び出した。銃弾の嵐。 いくらあの男でも全て防ぐことなど出来はしまい。 約7秒間の猛乱射。弾丸が巻き起こす風で土煙が再びあがる。 しかし男は煙の中から飛び出してきた。体中から出血はしている。だが致命傷にはそれでも至らなかった。 男は飛び上がり空中からアルトに攻撃を仕掛けてきた。蒼く光る手がアルトを狙う。 「どうした、もう終わりか!!」 「あぁ、お前がな」 男のさらに上で天峰が抜刀の構えをとっていた。完全に男の死角。しかも空中。逃れようがない。 「!!」 「『空牙・烈風衝』」 天峰が刀を抜きはなった。 凄まじい衝撃波が男を飲み込み、それに留まらず衝撃波は地面に到達して大地に巨大な亀裂を作り上げた。 しばらく地響きが止まなかった。 天峰の攻撃を間一髪で回避したアルトは氣を消費しすぎて立っているのがやっとだった。 頭がフラフラする。眼もチカチカしてきた。でも倒した。 「…やった」 視界を埋め尽くす土煙に咽せながら呟く。 「いや、やるのはこれからさ」 「!?」 振り向くと男がアルトのすぐ前に立っていた。蒼く光る右手は真っ直ぐアルトに狙いを定めていた。 「チェックメイトだ、少年」 アルトは銃を構えようとした。しかし腕に力が入らない。デスペナルティはガチャッと地面に落ちた。 「『ブルー・インパルス』」 最後に見たのは男の笑み。そして目も眩むような閃光。 アルトは蒼い稲妻の中に消えた。
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むむむ^^; - 翼無き天使 (男性) - 2007年09月30日 (日) 02時27分 [711]
いや〜ティック強すぎ^^; ダメだこりゃ^^;
この状況を打破できるのは〜…… 誰だ…??^^;
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うわっ!強!! - ベールゼブブ (男性) - 2007年09月30日 (日) 12時08分 [712]
わ〜!! マジ強〜!! みゅ〜・・・私の作ったあのミックスジュースに硫酸を混ぜたら少しはなんとか・・・ならないか・・・。
どうなるか期待してます^^
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