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ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジー小説投稿掲示板


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ドラゴンクエストやファイナルファンタジーまたはその他(アニメ、ドラマ)などでも、楽しそうな小説やストーリー、
詩、日記などがあったらとにかく書き込もう。
他人が見ておもしろいと思った内容、自分が思いついた内容があったら、とにかくどんどん投稿してみてくれい。

(注)最近ここをチャット代わりに使われている方がたくさんいます。
チャット代わりに使われますと、せっかく一生懸命小説等を書いた方の内容がすぐに流れて見れなくなってしまいます。
ここは小説やストーリー、詩、日記などを書くところですので、チャットはこちらにてお願いいたします。

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  第3章 1節:見習い殲滅者の旅立ち - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月25日 (火) 17時57分 [736]   
 
 少年の名はアルト=ナイトウォーカー。世界を救う殲滅者になるべく、殲滅者アデルの下で修行を積む見習いターミネーター。
アルトの母は約6年前に暗黒知的生命体、通称『DIC』によって殺害された。
それを切っ掛けにアルトに宿る神の力、エターナル・フォースが覚醒。彼はDICと戦う力を得た。
DIC殲滅がアルトの使命。そしてそれが、アルトの意志。

「アルト」
「はい」
ここは南国の島、インドネシアのとある場所。よく晴れた蒸し暑い日だった。
そんな天気の中で服の上も下も、髪までも黒い男が一人。
長身で髪は若干のウェーブがあり、借りた宿の一室で足を組んで座っている。タバコをふかしながらアルトに話しかけた。
「何ですか師匠」
その男はアデル=キースロード。アルトにターミネーターとしての道を示してくれた人。そしてアルトの師匠。尊敬はしていた。しかし――……。
「お前が俺の下で修行を始めてもう6年以上経つ。お前ももう14歳だ」
「15です」
「…そうだっけ?まぁそこはいいんだよ。この6年間の俺の実践的かつ効果的な猛特訓のおかげで、お前の殲滅者としての力もお粗末ながらなんとか形になってきた」
アルトは思い出すだけで冷や汗がにじみ出た。世界中を回りながらこなしてきた修行の数々。何度死にかけたことか。
明らかに無意味と思われる内容も多々あったが、アルトは全てやり遂げた。
「それでだ、お前もそろそろ一人前・・・いや0,8人前だな。ターミネーターを名乗ってもいい頃だと俺は思う」
「本当ですか!?」
遂にターミネーターになれると思うとアルトは嬉しくてたまらなかった。遂に人々を救う殲滅者になれるのだ。
「ああ。だがそのためには俺と一緒に総本部に行かなくちゃならん。正式な手続きが必要だ」
「なるほど」
総本部。WPKOの最高意志決定機関。
「ふふふ……」
「……師匠?」
嫌な、とてつもなく嫌な予感がした。
アデルがこういう笑い方をするのは、思いつきのとんでもない修行方法を考えついたとき、なにかしら都合の悪いことに対してとんずらを決め込もうと目論んでるときなどなど、とにかくアルトにとってあまり良いことがない。
「お前、総本部の場所は知ってるな?」
「ヴァチカン、ですか?」
「そうだ。そこに行け。元老院には俺が推薦状を出しといてやる」
「へ?師匠も行くんじゃないんですか?」
「あんな遠いところまで戻ってられるか。元帥は極秘任務で忙しい。それに、俺は元老院のジジイどもが嫌いなんだよ」
「まさか師匠、またとんずら決め込む気ですか…?」
だいたい、アデルがDICを消去する以外の任務らしき行動をしているのを、アルトは見たことがなかった。
本当に殲滅者のトップに君臨する5人の元帥の一人なんだろうか?この身勝手ぶりを見るとなんだか怪しく思えてくる。
「…お前今、俺が元帥なの疑っただろ」
「えぇ!?い、いえ!まさか!」
確かにアデルは強かった。半端ではない。アデルのエターナル・フォースは無慈悲で、破壊的で、圧倒的だ。なぜそんなに強いのかと尋ねたら、
「天才だからな」
と言った。身勝手な上にかなりの自信家だ。でもその自信は、実力に裏付けられていた。
「さてアルト。実に、実に名残惜しいがここで別れよう。総本部へ行って正式なターミネーターとなり、DIC殲滅に努めろ。修行は終わりだ」
そういうと師匠はアルトに握り拳程度の球体を放ってよこした。
「…何ですか?」
アデルはニヤッと不気味に笑っている。つまり、この球体は絶対確実にアルトに不利益を被るということだ。
そんなことを考えていたら、球体はボンという小さな爆発音を立てて煙を噴き出し始めた。
「うわっ、煙幕!?」
「目が覚めたらヴァチカンへ発て。さらばだ、我が弟子よ」
だんだん、眠くなってきた。鬼畜め。睡眠ガス入りの煙幕とは……。
 アルトの師匠、アデル=キースロード。尊敬はしている。でも、変人だ。

 約5時間後、アルトは目覚めた。陽が西に傾きかけてる。アデルはきれいさっぱり、完全なる失踪を遂げていた。
前々から、アデルは隠れんぼをしたら絶対最後まで隠れきるタイプだとアルトは確信していた。探したってまず見つからないだろう。
アルトは荷物をトランクにまとめて宿を出た。案の定、アデルはチェックアウトをしておらず、全額アルトが払う羽目になった。
「なんだかなぁ……」
思わずため息が出た。
目的地はヴァチカン。WPKO総本部。地球の約3分の1の距離だ。まずは船を探す必要がある。今から乗れる船があるだろうか。
 アルトは眠気の取れないボーッとした頭で、正式なターミネーターになるべく、ヴァチカンに向けて歩き出した。



  薬屋の女 - ベールゼブブ (男性) - 2007年12月25日 (火) 14時54分 [733]   
  「いろいろありがとうございました。」
ホーナはゆっくりと頭を下げた。
「これできっと、天に召された仲間達も浮かばれることでしょう。私たちサテュロス一族はあなた方の恩を忘れることはありません。何かお困りの時はいつでもお越し下さい。」
それでは、とホーナは笛を唇に当てた。
「また、会おうな!」
パントが手を振っている姿が、笛の音とともに薄れていき、一同はまた、森に戻っていた。
「・・・・なかなか大変だったわね。さ、先を急ぎましょう。」
マゼンダは含み笑いをしながら誰にともなく呼びかけるが、視線はじっと年若い男女に向けられていた。
「いい?ルーヌ。最近は女の子のほうが進んでいるからって、間違ったことしちゃダメよ?」
「・・・何の話ですか?先生。」
ルークが眉間に皺を寄せるが、マゼンダは答えず、真っ直ぐに森の道を進んでいった。
ルルが後ろでくすくす笑っている。
ルークとアーサーは訳も分からずただ顔を見合わせるだけであった。

街道をたどっていくと、割に大きな城、そして賑わう城下町があった。
セバルムス公国。
大商人セバルムス・ル・レンブルグに始まり、現在の百三十一代目当主、ショーン・ヨハン・レンブルグに至る由緒正しい国家である。
公爵領は海の彼方にまで及び、まだ公女だったミリーナをガントに嫁がせて更なる利益を得た。
すると眼前から、ルルの見覚えのある男女が今にも町から出ていくところであった。
「ケイトさん!!」
あら、と女性はルルに笑いかけた。
ルルは良かった、生きてた、と胸を撫で下ろした。
「あんたちょっと見ない間に随分縮んじゃったわね。何?お仕事辞めたの?」
いや、あの、とルルは口ごもった。
「実は・・・ちょっと訳アリでメイドなんてやってましたけど、本当は違うんです。」
「あら。路銀が尽きたとか?」
まあ、そんなところです、と答えたルルを、ルークが睨み付けた。
「もしかしてご家族?お母さんとお兄さんとお姉さんで旅行してるの?」
「お母さん」という言葉にルークとアーサーは背筋が凍り付いた。
「いえ、お兄さんはあってますけど、他は赤の他人です。」
ああ、そう、とケイトは荷物を持ち替えた。
「あたしたちこれからポートリアへ向かうわ。あなた達もポートリアへ行くんでしょ?またどこかで会うことが会ったらよろしく。それじゃ。」
ケイト達が去った後でマゼンダはにやにやしていた。
「ルーヌ〜。よかったわね〜。『お母さん』ですってよ。」
「・・・先生・・・。あれ、先生のことだと思うんですけど・・・。」
マゼンダにぎろりと睨まれてルークは身の危険を覚えた。
(自分で気づいてるやつほど質の悪いやつはいねえ・・・。)
そう思いながら。
そのときだった。
大声で怒鳴りつける女性の声が聞こえたのは。
「分かったわよ!!じゃあもう頼まないわ!!この藪医者!!」
女性は薬屋から飛び出して町に入ってきたルーク達の姿に気づいた。
「あら。旅の人?ねえ、薬持ってない?」
一同はきょとんとした顔で見合わせた。

  ほへ - ベールゼブブ (男性) - 2007年12月25日 (火) 15時01分 [734]   
やっと書けた〜!!
今まで全然暇がないどころか見る暇もなかった〜!!
懐かしいよ〜!!(泣

それではレス返し

天使様>
やっぱ大学の一年目は忙しいですよね。なにげに。
まあ、忙しくしてるのは自分なんですけれども・・・。

あ、アーサーからまたメッセージが届いてます。
「メラゾーマ!!」
メラゾーマ・・・火球呪文の最高峰。名前の由来は3のラスボス・ゾーマをも焼き尽くすメラ系呪文という意味とかなんとか・・・。事実メラゾーマでゾーマに与えるダメージはすさまじい。しかし私は賢者はもっぱら賢者の石による回復係にしているため、あまり使ったことがなかったのであった。

  お久です^^ - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月25日 (火) 17時54分 [735]   
続編を拝借^^
今後の展開に期待します^^

私も最近休みもなく忙しいです^^;
今日で授業も終わって冬休みに入るのでゆっくりしたいですね〜。
続きと改訂版、徐々に進んでます。徐々に^^;
ではでは


  第2章 1節 3桁の功績と犠牲 - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 01時03分 [729]   
 
お前は何者だ?
 ――僕は殲滅者。この世界の人々を救うため、DICを消去する者。
殲滅者とは?
 ――エターナル・フォースをその身に宿す、DICを消去できる唯一の存在。
DICとは?
 ――暗黒知的生命体。人類を破滅に導く、邪悪な存在。
お前は、何者だ?
 ――僕は殲滅者。DICを消し去る存在。名は、アルト。

 寝てしまったのか。疲れていたのか。フランスに行ったのは初めてだったから。
列車の間断ない振動に揺られながら、アルトは薄紫の双眸でぼうっと窓の外を見た。
もうフランスの国境は過ぎたのだろうか。アルトが向かう先はイタリア。WPKOヨーロッパ地域本部だ。
本部に戻ったら任務完了報告書の提出と領収書の精算をしないと。
 こんな生活が始まってそろそろ2年が経つ。ヨーロッパ中の国から国へ飛び回り、調査部門の情報を元にDICを探して消去。その後は各国支部の事後処理部門に連絡して騒動を内密に処理。
DICを消去するアルトは殲滅部門に属する。WPKOにおいて最も重要な戦闘部隊。この世で唯一DICを殲滅できる存在。
この2年間で3桁を越える数のDICを倒してきた。しかし3桁のDICを倒したその裏側には3桁の犠牲者がいる。
DICを倒す力があっても、事前にDICを見つける眼はない。だから後手になる。犠牲者が出て、初めてDICが見える。
この仕事は嫌いではない。むしろ充実を感じるし、自分の使命であり、自分の意志だ。
それでも時々、救えなかった人達のことを考えると、無力感でいっぱいになった。
こんな生活が始まって、もう2年。思えば色々なことがあった。何度も戦い、何度も死線を越えた。しかしそれも大切な仲間たちと共に乗り越えてきた。
そんな生活が始まって2年。そしてあの日から、すでに8年の歳月が流れたのか――……。



  第2章 2節:あの雨の日 - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 01時05分 [730]   

 あの日は、雨が降っていた。
あの日、アルトは世界の真実を知った。今までの平和で平穏な生活は偽りだと、恐怖という土台の上に脆く細い柱で何とか支えられていたものだと知った。
その柱を壊し、人間を恐怖へ引きずり下ろす存在、DICを知った。
 アルトはは母と2人で暮らしていた。父は僕が生まれて間もなく事故で死んでしまったと、母は言っていた。だからアルトは「父」という存在がどんなものなのかはわからなかった。感じてみたいとも思ったこともあったが、アルトは幸せだった。不満に思うことなどなかった。
 あの日は、アルトがこの世に生を受けて9年になる日だった。夕食はレストランに行って、普段は食べないご馳走を食べる。そのあとは店長が作ってくれる自慢のバースデーケーキに立てられたロウソクの火を吹き消す。あの年は9つだった。店長やウェイトレスの女性を交えながら楽しく会話をした。
――そしてその日、アルトは母さんを喪った。

 レストランからの帰り道、突然襲われた。雨の降る人通りのない道、いるのはアルトと母と、さっきまで人間だった男。
今は見る影もなく人間とは掛け離れた別の「何か」。雨に濡れて黒光りした身体。鋭く硬そうな爪、牙。真っ赤な眼。獣のように低く唸りアルトと母との距離を詰める。
 母は僕を抱え上げて逃げ出した。泥をはね飛ばし、呼気を荒げながら必死に走った。
でも逃げ切ることはできなかった。母は突然止まり、アルトを落とした。アルトはぬかるんだ地面に転がり落ちる。母を再び視界に入れると、力なく腕を垂らした母の身体から、黒い腕が突き出していた。白くて綺麗な服は真っ赤だった。
 アルトは叫んだ。叫んだつもりだった。しかしアルトの悲鳴には声が伴っていなかった。それとも雨の音に掻き消されただけだったのか。
腕が抜き取られると母は地面にどさりと崩れ落ちた。血が地面に流れ出す。雨に混じって、ゆっくり母を殺した「何か」と一緒にこっちに近づいてくる。
――動け。動け!逃げろ!
身体に何度も命令したのに、全く動かない。尻を地面に付けたまま、身体は氷のように冷たくなり、ガタガタ震えるだけだった。
怪物はとうとうアルトの目の前まで来てしまった。母を殺した腕を振り上げる。
――誰か、助けて!
その時だった。
右腕に鼓動を感じた。脈打ってると言ってもよかった。思わず右手を見る。手が光っていた。暖かい。
怪物はその光景を見るとピクリと動きを止めた。そしてしゃべったのだ。低く曇ったしゃがれ声で。
「てめェ、殲滅者ダな?」
「…え?」
「殲滅者ノくせニなに腰抜かしテやがル?殺すンだろウ?オレたちヲ」
何を言ってるのかわからなかった。殲滅者…?何のことだ。
「まァいイ。お前モ殺してヤる。人間は一人残ラずオレたチのエサだ!ヒャハハハハハハ!!」
いきなり鋭い爪が横から飛んできた。アルトの腕を容赦なく切り裂く。
痛い。血が溢れ出る。このままじゃ、死ぬ。
 手の光がさらに強くなる。そして突然、光る右手に重さを感じた。ガクンと右手が落ちる。
アルトの手に握られていたのは、拳銃だった。銀色の拳銃。映画で見たことある。これは何に使うんだっけ?
そうだ、これは武器だ。敵を倒す武器。戦うための武器だ。戦わなくちゃ。倒さなくちゃ。こいつは敵だ。僕の敵。母さんを殺した。僕の仇。
本能的にアルトは起き上がり、銃を目の前の化け物に向け、渾身の力で引き金を引いた。
銃声が響く。西部劇で聞くような銃声ではない、不思議な音。出てきたのも銃弾ではないようだった。弾には変わりなかったが、それは光っていて、化け物の肩に命中した。
「ぐァぁっ!」
身体のど真ん中を狙ったつもりだったが、なにせ銃なんか撃ったことはおろか、触ったことさえなかったのだ。当たっただけでも幸運な方だったろう。
「てめえェェェ!」
今度は蹴りが飛んできた。アルトの腹に食い込む。後ろに吹っ飛んだ。
「ぐはっ」
口から血が出る。痛い。苦しい。息ができない。このままじゃ死ぬぞ。起き上がれ、もう一度撃つんだ。あいつをこの世から――消し去れ。
「ああああぁぁぁぁぁああ!!!」
アルトは銃を力の保つ限り撃ち続けた。何回も、何回も。引き金を引き続けた。
怪物は僕の目の前で崩れ落ち、塵になって消えた。アルトはぬかるむ地面に倒れ込んで、そのまま意識が遠退いていく。
頬に雨が当たるのを感じる。死ぬのか…?
 やがて漆黒の世界へ堕ちていった。

 間に合わなかったか……。
その場に着いたのは、少年がDICを消去する時だった。小さな手で銃を懸命に握りしめ、DICに向かって撃つところだった。
あんな子供が訓練も積まずにエターナル・フォースを発動すれば一気に疲弊する。案の定、少年はその場に倒れ込んだ。
死に直面した恐怖、目の前で母親を殺された怒りが覚醒の切っ掛けになったか。
生まれながらにエターナル・フォースをその身に宿す少年。新たな殲滅者。この世の救世主。
まだまだ戦闘できるだけの力はないが、10歳にも満たない子供がエターナル・フォースを覚醒させた事例は未だにない。
アルト=ナイトウォーカー、お前に、戦う“意志”はあるか?



  第2章 3節:107番目の殲滅者 - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 01時08分 [731]   

 そうか、あれは夢だったのか……。
目を開けると、アルトは家のベッドに横たわっていた。
そうだ、あんな怪物が実際にいるわけない。手から銃なんか現れるわけない。母だって生きてる。服は濡れてないし、切り裂かれた腕だって痛くない。
全ては夢。嫌な夢だった。本当に死ぬかと思った。あまりに鮮明な、夢。
「生きてる……」
それでもそんな言葉が口を衝いて出てきた。
「なんだ、死にたかったのか?」
男の声がした。アルトはガバッと跳ね起きた。
「あなたは…誰?」
男は椅子に足を組んで座り、新聞を読んでいた。上から下まで黒い服。テーブルには彼のものと覚しき黒帽子。顔は新聞に隠れて見えない。
匂いでタバコを吸っているのがわかった。
「通りがかりの人間だよ。あの夜、道に倒れてたお前とお前の母親を見つけた。で、俺がここまで運んだ。あれからもう3日経ってる」
あの夜?そうか、レストランの帰り。ということは道ばたで倒れてしまったのか。
「母さんは…?」
男は新聞を降ろして僕を見つめた。30歳くらいに見えた。ややパーマのかかった黒髪。かなり背が高い。瞳は明るいオレンジだ。
タバコを灰皿に押し付け、新聞をポイッとテーブルに投げてアルトの所まで来た。
「……覚えてないか?それとも、現実が受け止められないか?」
少し憐れむような声で、男はアルトに話しかけた。
「…え?」
「…坊主、あの夜のことは、夢なんかじゃない。お前が見たのは全部現実だ。お前の母親は、死んだんだ」
現実。あれが現実?
「お前が見た怪物、俺たちはDICと呼んでるが、あれも現実。お前の不思議な力、あれも現実だ。お前の母親は俺が埋葬した。墓参りがしたきゃ、後で連れてってやる」
あれは、現実だった。怪物に襲われ、母が死に、自分が戦って倒した。
母は死んでしまったのか。自分が弱いから。自分に力がないから。
「悔いるなとは言わん。悲しむなとも言わん。だが、残された者が死んだ者のためにできることは、少なからずあるぞ」
「僕に、できること…?」
何ができる?こんなにちっぽけな存在に。こんなに弱い自分に。
「…強くなれ、アルト=ナイトウォーカー。強くなってDICからこの世界を救え。お前のような目にあう人間をなくすんだ」
「強く……。でも、どうやって?」
そう、どうやって?何をどうしたら強くなれる?
「俺が鍛えてやる。俺がお前を一人前のターミネーターにしてやる」
「ターミネーター…?」
「DICを倒せる選ばれた人間だ。お前は他人にできないことができる。DICから人の命を救える」
DICから、人々を。
「…アルト、お前に戦う“意志”はあるか?」
戦う“意志”。DICを倒す“意志”。
「……はい、あります。僕に、命を救う力をください」
DICを倒す。もう、誰も悲しまなくていいように。
「よし。それじゃ行くぞ。傷ももう治ったな。ターミネーターは治癒が早い」
そういうと男はテーブルの帽子を被ってドアへ向かった。
「…?どこへですか?」
「お前の母親の所さ。別れと、約束を告げにな」
永遠の別れ、永久の約束。DICを倒すと。世界を救うと。
「はい」
「俺はアデル=キースロード。お前と同じターミネーターだ」
この人もターミネーター。世界を救う人。そしてこれから、アルトの師となる人。
「よろしくお願いします」
「お前が、107番目の殲滅者だ」

お前は何者だ?
 ――僕は殲滅者。この世界の人々を救うため、DICを消去する者。
殲滅者とは?
 ――エターナル・フォースをその身に宿す、DICを消去できる唯一の存在。
DICとは?
 ――暗黒知的生命体。人類を破滅に導く、邪悪な存在。
お前は、何者だ?
 ――僕は殲滅者。DICを消し去る存在。名は、アルト。



  ふわ〜・・・。 - ベールゼブブ (男性) - 2007年12月25日 (火) 13時54分 [732]   
やっとPCに向かう時間がとれました。
と思ったらまた明日からとれなくなると思われますーー;
忘れてないですよ〜^^;

改訂版ですね。ざっと読みました。
というのも改訂前のちゃんと読んでなかったもので^^;最悪や。

また気が向いたら私も続き書きます。
それでは☆


  TERMINATER〜正義の殲滅者〜 第1章 1節:普通な日の普通じゃないこと - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 00時14分 [725]   
 
 彼女の1日は、毎日が平和で平凡だった。
朝起きたらボサボサの頭を櫛で梳かして顔を洗う。そのあと朝食、パンとミルク、それにサラダなんかを口に運んで、務めている雑貨屋に出勤。
店長や従業員と会話をし、お客に屈託のない笑顔で接し、その日の売り上げの計算や後片付けをして帰宅。
家では夕飯を食べて、お風呂に入って、湯上がりにフルーツジュースなんかを飲みながら雑誌をめくる。眠くなったらベッドに入って就寝。
 24歳で独身の女性ならならごくごく普通のありきたりな生活。悪くはない。だが良くもない。
彼女だって恋人の一人くらい欲しいし、もっと遊びたい。おしゃれな服も欲しい。今の生活に満足してるわけじゃない。
でも人生、一度その線路に乗ったらそんな簡単に進路は変更できない。彼女の線路には分岐点が滅多にやってこないし、その分岐点で思い切って進路を変える勇気も、もしかしたらないのかもしれない。
 そんなことを悶々と考えながら、今日も仕事を終えて家に帰る途中の出来事だった。
男に声をかけられたのだ。すらっと痩身で背の高い男。暗い道でもうっすら光沢のある、肩に掛かる程度の銀髪。
最初は白髪の老人かと思ったが、よく見たらまだ幼い顔立ちだった。10代後半のように見える。
黒のズボンに黒のコート、白のシャツで首には赤いリボンタイという近頃の若い人間はあまり着そうにない紳士服だ。
黒基調の服装のせいで余計に銀髪が目立った。
そんな青年が、夜道に一人歩く彼女に声をかけた。彼女は訝しく思いながらも男の呼びかけに答えた。
「あの、突然すいません。ちょっとお尋ねしたいことがありまして……」
英語だった。学生の頃に多少習いはしたが、ペラペラしゃべれるほど彼女は教養高い女ではなかった。
「あの、私英語話せないんですけど…」
青年は彼女の言葉を理解したようだった。
「あ、そうですよね。すいません。ここにはついさっき到着したもので」
青年はにっこり笑って今度はフランス語で話し出した。この若さで2カ国語を話せることに彼女は驚いた。
「僕はWPKOの者です。ちょっとお尋ねしたいことがあるんです」
「はあ」
青年は手の平大の手帳を開いて彼女に見せた。薄暗かったのではっきりとはわからなかったが、十字架のようなものが見えた。
WPKO…?聞いたことがない。とりあえず何かの組織のようであることは彼女にもわかった。
「この街ではここ2ヶ月で7人の人間が姿を消していますよね。そのことについて何かご存じないですか?」
そう、この街ではすでに失踪者が7人も出ている。身代金要求や死体もないことから失踪と考えられているのだ。
警察も調べてはいるが、手がかりもなく、事件性にも乏しいから、彼女は別段気にかけていなかった。
この青年はそれを調べている。警察には見えない。しかも先ほどの会話からして外国人だ。
「…あの、警察関係の方ですか?」
「いえ、ちょっと違う、かな。『世界秩序維持機関』( World Peace Keeping Organization)ってご存じ…ないですよね」
「はい」
ちょっとどころではなかった。世界秩序維持機関。“世界”という単語からして国際組織の一種なのだろうかとも思ったが、こんな少年が?
「その、WPKO?の方が今回の失踪を調査してるんですか?」
たかだか失踪事件を自称国際機関の青年が調査?なんだか嘘くさいというか、現実離れして聞こえた。
「はい、そういうことです。なにかご存じないですか?」
「いえ…、7人の人が失踪していて未だに見つかっていないこと以外は何も」
「そうですか…」
「あの、ただの失踪なんじゃないんですか?」
「ええまぁ、そうかもしれませんが、そうでないかもしれません。もしかしたらDICが絡んでいるかも……」
「は?」
「あ、いえ、気にしないでください。こんな夜分にお手を煩わせてすいませんでした」
「いえ、別に」
「それではこれで失礼します。夜道は危ないですからね、気をつけてください」
「ご親切にどうも」
青年は去った。しばらく彼の銀髪を目で追っていたが、やがて目をそらして歩き出した。
それにしても不思議、というか胡散臭い青年だった。聞いたこともない謎の組織に属する青年。失踪事件を調査している青年。
しかし彼女には関係のないこと。もう会うこともないだろう。




  第1章 2節:襲来 - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 00時17分 [726]   
 やっと家に着いたと思った時だった。
彼女は突然後ろからものすごい力で腕を引っ張られた。思わず地面に倒れ込む。顔を上げるとまたも眼前に男が立っていた。
男は男だが、さっきの青年とは違った。見開かれた眼は血走ってるし、足は裸足。泥と覚しき汚れのついたボロ服。
こういうのはイカれた変人か犯罪者のどっちである。どうせなら変人であって欲しいと思ったが、どうやら後者のようだ。
 心は意外に冷静で今の状況分析を行っていたが、彼女の身体の方は恐怖で凍り付いてしまっているらしい。脳が逃げろと信号を送っても身体が受け付けない。
今まで犯罪とは無縁の生活だったんだから彼女には無理もない話だった。
男の眼は明らかに正気を失っている。彼女は心の底から身の危険を感じた。
 男が一歩こっちに近づいたとき、頭上を影が通過した。影の正体は男を蹴り飛ばし、華麗に着地した。月明かりに照らされて銀色の髪が光る。
さっきの青年だった。渡りに船とは正にこれのことを言うのだろう。
どうして去っていった方向の逆から跳び蹴りを食らわせたのかは、考えないことにした。
「こんばんは、DIC」
青年は発狂した男に話しかけた。
英語だったがかろうじて「こんばんは」と、耳慣れない「ディック」というのを聞き取った。ディックというのは、この男の名前だろうか?
今まで無言だった男が今度は話し出した。低くしゃがれた声だ。眼はさらに血走ってる。口からはよだれが滴っている。
「貴様…、『殲滅者』か」
「ええ」
青年は何とも爽やかな笑顔で男に答える。
「あなたをこの世から消去します」
低く曇った声の男と、淀みない声の青年の会話。彼女には完全には理解できない。
だが耳に留まったのは「消去」という単語。人間に使用する場合、これはおそらく、というか間違いなく「殺す」という意味だ。
「ちょっとあなた!どういうつもりよ!その男殺すの!?」
青年はこっちに振り向いた。
「先ほどはどうも。ケガしてませんか?」
彼女が接客で使うような品のいい笑顔。相変わらず爽やかな声で青年は私に尋ねた。もちろんフランス語だ。
「ああうん大丈夫…、ってそうじゃなくて!その男は犯罪者かもしれないけど、殺すことないじゃない!捕まえて警察に引き渡すのよ!」
「殺すんじゃありません。消去するんです。まぁ業界用語ですね」
「おんなじだっての!!」
「う〜ん、たぶん信じないと思いますから、あんまり言いたくはないんですけど、彼は人間じゃありません」
「はぁ?」
「人類に仇なす敵、暗黒知的生命体(Dark Intelligent Creature)。通称『DIC』です」
彼女の理性が人間の基準から大きく外れていなければ、この青年は極度の変人ということになる。
「あなた、何言ってるの?どっからどう見ても人間じゃない!?」
生活水準的には獣レベルかもしれないが、種族が人間であることは間違いないだろう。
「だから信じないって言ったじゃないですか」
青年は爽やかさを崩さず苦笑する。
「質問は彼を消去した後にしてください」
青年は男の方に向き直り、右手をそっと挙げた。
手の平に小さな光が生まれる。その光は野球ボールくらいの大きさになり、パッと破裂したかと思ったら、青年の手には髪と同じ銀色の拳銃が握られていた。
光に目をすぼめた瞬間の出来事だった。優しそうな顔立ちの青年と、ずしりと重厚感漂う拳銃。
なんとも不釣り合いな光景だが、それが逆に妙な現実味を帯びていて、彼女は思わず肌が粟立つのを感じた。
こんな青年がこの男を殺すのか?拳銃で?彼女はまるで夢を見ているような感覚に囚われた。
彼女が目の前の光景に混乱している内に、発狂男の方にも変化が現れた。ガタガタと震え、呻き声を上げ始めた。
「失礼ですが、お名前は?」
青年が私に尋ねる。
「…ソフィア」
「ミズ・ソフィア。危ないですから、ちょっと後ろに下がっていてくださいね」
その瞬間、発狂男は全身の骨格が歪み、皮膚はただれ、ボキボキっと鈍い音を立てながら、人間にあらざる存在に変化した。
黒く僅かに光沢のある金属のような身体、大きく裂けた口。その中には鋭い牙。眼には瞳がなく全部真っ赤だった。
「な、なに、こいつ……?」
ソフィアの身体は震えていた。
「これがDICです。まだ知能の低い初期段階ですけどね。ここ2ヶ月の失踪事件の犯人はこいつです。DICは殺害衝動が尽きることがなく、人間を捕食して進化します」
どこかのおとぎ話に出てきそうな話だ。目の前に「現物」がなければまず信じなかっただろう。
「すぐに片付けますから」
青年は、およそこの状況では作り得ないような優しい微笑みでソフィアにそう言い、銀の拳銃を構えた。
発狂男、いや、目の前の怪物も青年に飛びかかる。彼らの距離が縮まる。
そこでソフィアの視界は真っ暗になった。どんどん宙から落ちるように眠気が襲ってくる。
――どこかで、銃声が聞こえたような気がした。



  第1章 3節:夢のち現実 - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 00時19分 [727]   
 暖かい。日溜まりのように。毛布の感触が心地いい。今日も平凡な一日が始まるのだ。でも何故だろう。心なしか空気の匂いがいつもと違う。
 彼女は目を開けた。白い天井。消毒薬の様な匂い。病院だ。
「あ、ソフィアさん。目が覚めましたか」
看護婦がやってきた。知ってる顔だ。
「あの、私……」
「昨晩のこと、覚えてませんか?倒れたそうで、若い男性があなたを運んできたんですよ」
奔流のように記憶が押し寄せてきた。銀髪の青年、手の平から突然現れた拳銃、人間に化けていた怪物。
「…あの、運んできてくれたのは、銀髪の青年ですか?」
「ええ。お知り合いですか?あなたを運んだら帰っちゃいましたけど」
「いえ、知り合いというか……」
あれは……夢だったのか?しかし夢と考えるにはあまりに記憶が鮮明だった。
 ソフィアはふと、手に痛みを感じた。手には包帯が巻いてある。
思い出した。あの時、腕を引っ張られて地面に倒れ込んだのだ。いかれた男だと思っていた怪物に引っ張られて。
そしてそこに銀髪の青年が現れた。夢ではない。あれは、現実だった。

 もう一度医師に診察してもらい、問題ないとのことだったので、ソフィアはすぐに退院した。
幸い、今日は休日だったので無断欠勤にならずにすんだ。
 自宅に帰る途中にレストランに寄った。思えば昨日の昼から何も食べてない。
天気も良かったし、店外のテーブルで食べようと空いている席を探している時、目に入った。一人椅子に腰掛けて食事をしている銀髪の男の後ろ姿が。
ソフィアは迷わずそこに向かった。
「おや、ミズ・ソフィア。もう大丈夫なんですか?」
ソフィアを見た青年は、ミートボールにフォークを刺しながら流暢なフランス語で尋ねた。表情は昨晩と変わりなく爽やかだ。
ソフィアは彼の向かいに座り、質問には答えず重ねて質問した。
「昨日のあれは、夢じゃないんでしょ?」
「…はい、現実です」
「あなたは何者なの?」
「僕はWPKOの『ターミネーター』です。『殲滅者』と呼ぶ人が多いですけどね」
「ターミネーター…?」
「DICを倒す…倒すことができる人間です」
「超能力者?」
「ええまぁ、似たようなもんですね」
青年はおかしそうに笑った。
「WPKOって何なの?」
「世界秩序維持機関。DIC殲滅を至上目的とする、どの国にも属さない完全独立の秘密国際機関です。不可解な事件、失踪や殺人なんかを調査して、DICを見つけ出し、消去します」
「そんなの、聞いたことない」
「そうでしょうね。昨夜は身分を明かした方が怪しまれないと思ってWPKOだと名乗ったんですが、実際にこの組織を知っているのは各国政府や警察機構等の上層部だけです」
「フランス政府も知っているの?」
「はい。フランス政府もWPKO加盟国ですから。世界の9割以上の国がWPKOに加盟してます。加盟した国には僕たちWPKOの人間が派遣されてDIC殲滅に当たります。加盟と言っても、政府が行うのは資金援助くらいですけどね。加盟国がWPKOに干渉することはできませんし、WPKOも加盟国の主権に干渉しません。持ちつ持たれつ、DIC殲滅のみが目的です。WPKOの存在は極秘扱いなので民間人には知られていないんです。各加盟国に支部があり、世界を8つの地域に分けてそれぞれに地域本部が設置されてます。表面上はその国の軍事施設のように見せかけていますけど」
つらつらと語る青年の話を、ソフィアは簡単に信じるおとはできなかった。まるでファンタジー、空想、夢物語。
しかしその存在を決定づけるものを昨日見てしまったのだから、信じないわけにはいかないだろう。
「どうして私には話してくれるの?極秘なんでしょ?」
「極秘にしたくてしてるわけじゃないですからね。いつかは受け入れなくちゃならない。この真実を徐々に世界に浸透させていくのも僕たちの仕事です。ですから、このことは一切他人には口外しないでいただけますか?あなたのような冷静な方が一人で知る分には問題ないんですが、人間は集団になると必ず混乱を起こします。あなた一人の心に留めておいてください。脅かすつもりはありませんけど、言いふらしたりしちゃうとWPKOに連行されて…」
「…殺されるの?」
青年は驚いたような顔をした。
「まさか。連行されて、記憶消去プログラムにかけられちゃうんです」
「そうするとどうなるの…?」
「DICに遭遇した日の2〜3日前からの記憶が消えます。約束してくれますか?口外しないと」
「ええ、約束するわ。そもそもこんな話、誰も信じやしないし」
「そうですね。……DICは、僕たちが必ず殲滅します。だから、安心してください」
青年はにっこり笑って立ち上がった。皿は空になっていた。
「それではミズ・ソフィア、僕はこれで失礼します。お元気で」
そういって背を向けて歩き出した。
「待って。あなた、名前は?」
青年は振り返る。
「アルト。アルト=ナイトウォーカーです」
「アルト、助けてくれて、ありがとう」
再びにっこり笑って、彼は人混みの中に消えた。

 風のように現れて、彼女の命を救い、そして風のように去っていった銀髪の青年、アルト=ナイトウォーカー。
彼は、ソフィアの線路には滅多にやってこない分岐点で、彼との出会いは、彼女になかった分岐点で進路変更する勇気、のような気がした。
根拠は何もない。ただ、そう感じただけ。
 雲一つない良い天気だった。私は変われる、そうソフィアは感じた。



  再投稿^^; - 翼無き天使 (男性) - 2007年12月05日 (水) 00時23分 [728]   
お久しぶりです。
あまりに微妙すぎて気づかないかもしれませんが、色々修正してあるので再投稿します。
最新の話も再投稿が終わり次第載せていきたいですね^^
まだ出来てませんけど^^;
それでは、改訂版をお楽しみ(できるかな?)あれ^^


  Caro mio ben - ベールゼブブ (男性) - 2007年10月12日 (金) 23時28分 [722]   
  一体どれぐらい寝ていたのだろう?
ずっと僕を呼んでいた声がどんどん遠ざかって、聞こえなくなって・・・。
それからずっと意識が無くて・・・。
でも真っ暗な世界の中で感じたんだ。
暖かくて柔らかい感触を・・・。

青年はゆっくりと目を開けた。
体が重い。
何かがのしかかっているようだ・・・。
ふと顔を起こしてみると、胴体にのしかかる顔があった。
―――ルー・・・ヌ・・・?―――
少女は珍しく幼い少女のような顔で静かに寝息を立てて眠っていた。
青年はくすっと笑ってその頭を撫でた。
この子は一体どのくらいここにいて、じっと僕を見守ってくれたんだろう?
少女ははっと目を覚ました。
思い切り顔を上げたために仰け反ってしまい、アーサーの寝ていたベッドに膝をぶつけた。
「!!!!・・・・っつ〜・・・!」
「大丈夫!?ルーヌ!?」
アーサーはベッドの上から心配そうな顔で見下ろした。
ルーヌは顔を伏せたまま肩を振るわせた。
膝を押さえた手に滴がぽつりぽつりと落ちていた。
「こん・・・なの・・・っ!!辛い・・・もんか・・・っ!!」
膝を押さえた手を握りしめ、目から零れた涙を拭い去り、一気にアーサーに抱きついた。
アーサーはうまく状況が飲み込めず、目の前で泣く少女の涙にただひたすら狼狽えていた。
「三日も寝たっきり全然起きないし!・・・一体どれだけ心配したと・・・っ!!『大丈夫!?』はこっちの科白だろ!?」
青年ははっとした。
三日も少女は自分を看病してくれていた。
涙をこらえて。
彼はそっと少女の体を抱きしめた。
「・・・ごめん・・・。ありがとう・・・。」
大声で騒ぎ立てるルーヌの声に、マゼンダとルルも急いで駆けつけてきた。後からホーナとパントも来る。
ルルはうっすらと涙を浮かべながら兄の首に飛びつき、マゼンダも目頭を押さえて微笑んだ。
「さあ、ルーヌ。準備はいいわね?」
ルーヌは真剣な顔になってこくりと頷いた。
「・・・アーサー・・・。話がある。」
ルーヌはアーサーの腕を取ってベッドから下ろした。
そしてゆっくりとドアの外に出ていく。
そのドアが閉められるのを待ってから、マゼンダ達は一斉にドア越しに聞き耳を立てた。

「・・・話って・・・何?」
青年は子供のように首を傾ける。
「アーサー、私の言うことを聞けるな?」
「やだ。」
いきなりの返答にルーヌは戸惑い、マゼンダ達は目を見張った。
「聞きもしないうちから嫌がるな!!」
「だって、絶対嫌なこと言うに決まってる!!絶対やだ!!」
「子供かお前は!!・・・まあいい。アーサー、今から国へ帰れ。」
ドア越しに聞き耳を立てている連中も含め、全員が息を呑んだ。
「違うでしょルーヌ!!貴女が言いたいのはそんなことじゃないでしょ!?」
マゼンダは小声で呟きながら手を振っていた。
「・・・やだ。」
やがて青年が口を開いた。
「なおさらやだ。」
「ワガママを言うんじゃない!!これ以上お前を巻き込んだらどんな危険な目に遭わされるか分からないんだぞ!!いいから四の五の言わずに帰れ!!」
「い・や・だ!!」
青年の態度に負けじと少女も口調を真似る。
「か・え・れ!!」
「い・や・だ!!」
「か・え・れ!!」
立ち聞きをしていた連中ははあ、とため息をついた。
ふと少女までため息をついた。
「・・・キリがないな・・・。分かった。私がルドンまで送ってやる。早く荷物をまとめろ。」
「だから嫌だって言ってるだろ!?何でそこまでして追い出したいんだ!?」
「お前が居ると私は男になりきれない!!」
また、しんと静まり返った。
マゼンダ達も固唾を呑んで聞き耳を立てている。
「・・・え・・・?」
アーサーは少し赤くなった。
ルーヌは背を向ける。
「・・・それだけだ・・・。」
「それは・・・、」
青年は語尾を弱くしながら尋ねた。
「愛の告白と受け取っていいのかな・・・?」
ルーヌの顔も急激に赤くなる。
が、なんとか威儀を正した。
「なんとでも取れっ!!」
マゼンダ達も安堵のため息を洩らす。
ようやっとこの瞬間少女は女になれた。
16年間女を否定し続けた少女がようやっと。
「じゃもっとやだ。そうと分かった以上は側に居てやらなきゃ、寂しいだろ?」
「誰が!!私はちっとも・・・っ!!」
「どっちにしても絶対帰らない!!そう決めたんだから!!生半可な気持ちでここまで来てるんじゃないんだからね!!」
意外にもひ弱そうに見えていた青年が、強情に言い放った。青年はつんとした表情で天井を眺めた。
ルークははあと盛大にため息をついた。
「・・・分かった。お前を説得しようとしても無駄だということがよく分かった。いいだろう。そこまで言うのなら試してやる。・・・私にどこまでついてこられるか。」
青年はやんわりと微笑んで言った。
「お望みならば、どこまでも。」
マゼンダはドア越しでガッツポーズをとり、他もそれに続いた。

  うわ - ベールゼブブ (男性) - 2007年10月12日 (金) 23時35分 [723]   
珍しく三つ以上連続スレです。
いや〜・・・気は引けたんですがふっと浮かぶものですから・・・。
でも一週間ぐらい空きましたね^^;
いや〜、ようやっとルークがルーヌになりましたが、すぐに元に戻ります^^;
もう・・・ある意味前作のフォールとシェラよりラヴいです。

ではレス返し
>天使様
ルーヌは尽くす女です。なんだかんだいって^^;
ここで意外にもアーサーからメッセージが届いてます。

「あげないから!!」

だそうです^^;

  あ〜… - 翼無き天使 (男性) - 2007年10月20日 (土) 16時32分 [724]   
一向に続きが描けてないです^^;
最近忙しいので…などと言い訳をしてみたり^^;

もう〜完璧夫婦じゃないですか〜。
ルーヌったらやっさし〜、っていうかかわいい〜。
あげないとか^^;
お父さん!ボクにルーヌをください!







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