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Amour Pur - ベールゼブブ (男性) - 2007年10月04日 (木) 19時41分 [719]
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「アーサー!!」 ルークは彼の元へ駆け寄った。 彼の体からは大量の血が噴き出す。 ルークの目から涙が零れた。 「何故・・・何故私を庇った!?何故・・・!!」 アーサーは血の気の失せた顔を微笑ませ、目を開けた。 「・・・大丈夫・・・だった・・・?・・・良かった・・・。」 アーサーは目を閉じ、そのまま動かなくなった。 「アーサぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
悪魔が消え去った後、突如天井が崩れ、鍾乳石が落ちてきたのだ。 なんとか入り口付近まで到達し、マゼンダとルルは外に出られたが、ルークの頭上に石が落ちてきたため、アーサーがルークを突き飛ばした。鋭く尖った鍾乳石は代わりにアーサーの体を貫いた。 辺りに大きな笑い声が木霊する。 「ケーッケッケッケ!!こんなこともあろうかとこんな仕掛けを用意しておいたんだ!!俺様がこの洞窟からいなくなったら崩れるようにな!!馬鹿め!!俺様を消滅させた報いを受けろ!!」 「悪魔のエコー・・・!!洞窟などに魔術をかけて、主人が死んだ後で発動する術・・・!!」 マゼンダが中に入ろうとするが、完全に入り口は塞がってしまった。 「駄目だわ・・・!私達にはどうすることもできない・・・!!」 「そんな・・・!お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」 ルルは入り口に座り込んで大声で泣いた。 マゼンダも悔しそうに地面を殴りつける。
「アーサー!!アーサー!!」 彼はぴくりとも動かなかった。 ルークは涙を拭って彼につっぷした。 「死ぬな!!こんな・・・まだ・・・まだ何も出来てないじゃないかっ!!何故・・・!!」 「・・・ねーちゃん・・・・!」 パントも錯乱し始めた。 自分にはどうすることも出来ない。 自分には笛を吹くことしか出来ない。 それがサテュロス一族なのだから。 笛しか知らない一族だから。 彼は何もできない自分を恨んだ。 ―――ねーちゃん・・・俺、どうしたらいい・・・?――― パントは自分の笛を見つめながら思った。 涙がとめどなく溢れた。 自分は何も出来ない。 でも何かしないことには気が済まなかった。 目の前で泣いている恩人の為にも。 死んでいく恩人の為にも。 自分が出来るのは笛を吹くことだけ。 それなら吹くしかない。 彼は笛を口に当てた。 辺りに悲しげな音色が響いた。 音色はだんだん複雑なものになっていき、次第に聖歌のような声が重なっていった。 ルークは涙を浮かべながら、アーサーの体が浮いていくのを感じた。 「あ・・・・!」 辺りに翼の生えた白い球体が飛び交い、宙に浮くアーサーの周りを包むように回る。 鍾乳石が溶けるように無くなり、アーサーの体に開いた穴が塞がっていった。 ルークはその様子を唖然として眺めていたが、涙を拭いて笑顔を取り戻した。 笛の音が終わると、アーサーの体はゆっくりと地面に置かれ、翼の生えた球体も消えていった。 安らかな寝息のような息づかいが聞こえる。 ルークはアーサーを抱き起こし、首に巻き付いた。 パントも飛び上がって喜んだ。
「さて・・・今度はここから出ないとな。」 ルークは両腕を回し、大きく息を吸い込んだ。 「おぉおおおおおぉぉぉおおおりゃあぁぁぁぁああああああ!!」 ルークが塞がった入り口の石を殴りつけると、石は勢いよく外に飛び出し、また入り口が雪崩れ込んだ。 「もういっちょ!!」 更にルークは石を殴りつけ、また石が勢いよく外へ飛び出す。 「せりゃっ!!」 今度は思いっきり蹴りつけた。 石がどんどん雪崩れ込み、ようやっと頭上に空が見えた。 「わ〜・・・!ねーちゃんスゲー!!」 パントが感心する。 「ルーヌ!!」 マゼンダがそこから顔を出した。 「先生!!鞭をそこから出して下さい!!」 わかったわ、とマゼンダは鞭を垂らした。 「先に行け、パント。」 「う、うん!」 パントがマゼンダの鞭をしっかりと握って登り始めた。 ルークはアーサーの体を抱きかかえ、片手で鞭を持ち、石を足場にしながら登っていった。 時折足場にある石が落ち、危うく落下しそうになったが、なんとか登り切った。 「お兄ちゃん!!」 ルルが涙で真っ赤になった顔で登ってきた。 「大丈夫だ。パントが助けてくれた。」 ルークはマゼンダの手を借りて外に出てきた。 片腕にはアーサーが抱えられている。 「ありがとう・・・パント・・・。」 「いや・・・俺は・・・別に・・・。」 パントはルルに礼を言われ、顔を赤くしてそっぽを向いた。 「でも・・・なかなか起きないみたいなんだ・・・。一度サテュロスの村に戻ろう。」 「そうね。結構出血も酷かったみたいだし・・・。」 ルークがアーサーを負ぶって村へ帰っていった。 マゼンダがそれを微笑ましげに見守る。 「・・・いい夫婦になれるわ・・・。こりゃ・・・。」
ルーク達はホーナの家に泊めてもらった。 たくさんのお礼を貰って。 ルークはアーサーを寝かせ、ずっと側で見ていた。 青年は安らかな顔で寝息を立てていた。 ルークはそっと、その頬に触れてみる。 「アーサー・・・・。」 この瞬間初めて、アーサーが自分にとって大切な存在だと感じた気がした。 そっと、ルークは唇を重ねた。 「入るわよ〜、ルーヌ。」 ルークはぎょっとしてアーサーから離れた。 マゼンダがにやにやしながら入ってきた。 「こりゃ、明日までは起きないわね。襲っちゃダメよ、ルーヌ。」 「なっ!何でっ!!ってか私はルークです!!」 ルークが顔を赤くして思わず立ち上がる。 「あたしは“ルーヌ”に言ってるの。」 マゼンダはルークを座らせた。 「あんたいいお嫁さんになれるわ。」 「いきなり何をっ!!」 「否定も出来ないでしょ?気づかないと思ったら大間違いよ。あんたも女の子なんだし。」 ルークはずっと押し黙っていた。 アーサーの寝顔を眺めながら。 「私は女になるのが嫌だった。この名前も。」 ルークはぼそっと呟いた。 「でも・・・アーサーは私の大切な人・・・。私が守らなきゃ・・・。守って、守り抜いて、必ず生きて・・・。」 少女は「男」になりたかった。 少女のように笑う青年を守るため。 マゼンダは髪を梳いた。 「やっと自分に正直になれたわね・・・。きっと貴女の魔法が彼を救うわ。」 え?とルークはマゼンダの顔を眺めた。 「私は・・・大した魔法なんて使えません・・・。」 「あたし前にも言ったでしょ?」 マゼンダは頬杖をついた。 「恋をすることが一番強力な魔法よ。ルーヌ。」 ルークはじっとアーサーの顔を見つめて言った。 「私は『ルーク』です・・・。」 「何度も言わせないで。あたしは“ルーヌ”に言ってるの。」
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ふひふへ - ベールゼブブ (男性) - 2007年10月04日 (木) 19時53分 [720]
ようやっとルークの乙女な瞬間が・・・。 でもやっぱり男です^^;
ではレス返し 天使様> ルルは強きを挫き、弱きを助ける性格なのです^^; まあ、弱いもの虐めをするようなやつは許せないのです^^ というのは建前で、彼女は私の内面の性格を反映してまして、要するに私が常日頃考えていることをぶわっとルルに代弁してもらってます。 誰!?私を腹黒なんて言うのは!?私は腹黒でも毒舌でもありません!!失礼な!!ねえ!?そう思いません!?
というわけで直々にマゼンダさんとルークにお越し頂きました☆
ルーク「さっさと倒してこい!!」(足蹴) マゼンダ「あたしがやる気を引き出してア・ゲ・ル♪しっかりしなさい!!」(全員鞭で打ちのめす)
あら〜・・・お二人とも酷いですね〜・・・。 せめてアーサーとかルルを連れてきた方がよかったかしら??
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ほほ〜う。 - 翼無き天使 (男性) - 2007年10月05日 (金) 23時41分 [721]
いや〜いいですね^^ かわいいな〜ルーヌ。 おっとこんなこと言うとまた怒られる^^; それでは^^
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