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海の町 - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月29日 (木) 16時58分 [872]
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一行はアルミリアを出た。目指すポートリアはすぐそこ。そこで船を使い、南へ行かなければならない。やっと、南の大陸へ、魔王の棲む氷の地へ、行ける。 マゼンダはこれまで手に入れてきた石板の欠片を眺めながら、ふっと笑った。 「町を出る前に一度これをくっつけてみたの。あともう少しよ」 「少しは読めるようになってるんですか?」 ええ、とマゼンダは頷いた。 「『悠久なる時よ、この』・・・・・・真ん中辺りが抜けてるのよね・・・・・・。『邪悪なる』・・・・・・多分これ、前の文字が抜けてるけど、『封印せよ』ってことだと思うわ」 「なるほど。あと真ん中の欠片だけなんですね」 ルークもじっと、欠片を横から眺める。 「どこにあるのかしら。楽しみだわ」
港町ポートリアはアルミリアの東。港町なら当然ともいえるが、海風が薫り、船舶が出たり入ったりを繰り返し、たった今もまた、船が一隻町を出ていった。 「潮の匂いがするね」 アーサーがそっと、風になびく髪を掻き上げた。 「綺麗なところね。赤い屋根が遠くからも見えて、まるでお花畑みたいだった」 ルルが辺りを見渡しながら、はしゃいでいるようだった。 そのときだった。 「あら、久しぶりね」 目の前に現れたのは、かつてガントで働いており、現在は辞めてポートリアへ引っ越すと言っていた、あのケイトだった。 「あ、ケイトさん! お久しぶりです!! 無事着いたんですね!」 「あんたこそ! だいぶ遅かったのね。セバルムスで会ってからどうしてたかと思ったわよ」 いやまあ、とルルはお茶を濁した。 「あ、そうそう。首つっこみ屋のあんたに丁度良い仕事があるんだけど」 ルルは少し嫌な予感がしていた。
「フローレンス、ローラ、連れてきたわよ」 案内され来た家では、同じ顔で、同じ髪型の少女が二人、こちらを振り向いた。 『あら、ケイト』 少女達は同時に話した。 「この人達が悩みを聞いてくれるそうよ。話してみたら?」 少女達はじっとルーク達を眺めたあとで、にこりと微笑んだ。 「それじゃ、あとはよろしくね」 ケイトが出ていった後で、少女達が話し始めた。 「私はフローレンス。よろしくね」 「私はローラ。フローレンスの双子の妹なの。よろしくね」 双子と聞いて4人はセバルムス公国のルビーとルイーズを思い出したが、あの姉妹よりも、フローレンス達はそっくりだった。 「実は、悩みがあるんです。父のことで」 「父はこの町で一番の船乗りでした。ですが・・・・・・」 「父が船を出したまま、何日も帰ってこないんです」 「父は南方まで出航して、三日もすれば帰ってくるんですが」 双子が同じ顔で交互に話し出し、息があっていることが分かった。 「今捜索隊が派遣されてるみたいなんですけど、捜索隊も帰ってこないんです」 「大したお礼は出来ませんが、旅のかた、父を見かけたら連れて帰ってください」 4人は顔を見合わせた。
「困ったわね。南方まで船を出せる船乗りが行方不明なんて」 マゼンダの落胆した様子に、ルークが口を挟んだ。 「その南方から来る船はないんですか?」 「ええ。貿易船じゃなくて、調査船ですもの。何か引っかかることがあるんだけどね」 ルークが尋ね、マゼンダが答えた。 「いやね、フローレンス達のお父さんが言ってたことには、マファラス山脈の手前の大陸に不思議な塔があって、森に囲まれてるらしいのね。だけど、何故かいつも戦争のような、剣の音が聞こえるとかで、近づけないみたいなのよ」 「戦争? どことどこの?」 「分からないんですって。っていうより、どこまで行っても見えないみたいなのよ。近くで剣の音とか、馬の蹄の音が聞こえてるのに、何もないんですって」 ルークも頭を抱え込んで混乱し始めた。 「おかしいですね。今人間同士で戦争している国はないはずですし、魔物が多くなった以上、人間の間では平和そのものです」 「そうよね。しかもどこで戦ってるか分からない。もしかしたら人間じゃないのかもね」 そのとき、4人の前を、一人の男が通り過ぎた。 年は大体三十代から四十代。端正な顔の真ん中には一筋の刀傷。黒いドクロマークのキャップに、青い上着。下には豪奢な服を纏い、顔の右側を隠す眼帯が黒光りしている。 明らかに海賊だ。 海賊はそっと、船着き場まで向かっていった。 「・・・・・・先生」 「あたしも同じ事考えたわ、ルーヌ」
「ちょっとあなた、待ってくれない?」 マゼンダは船の前で海賊の男に声をかけた。男は振り向いた。 「頼みがあるんだけど、南の方まで乗せて欲しいの」 「南? 何が目的だ?」 「人助けよ」 男はふんと鼻を鳴らした。 「興味ないね」 「ワルぶっても無駄よ。あなた、義賊でしょ? こんな町に堂々と寄港出来るなんて、その辺にいる野蛮な海賊とは違うってことでしょ?」 男は立ち去ろうとするが、今度はルークに阻まれる。 「どけ」 「悪いがそういうわけにもいかない。海を知り尽くしたあんたに頼まないことには」 男はふうとため息をついた。 「女どもが船に乗ろうなどただの無鉄砲だ。やめとけ」 「男もいますけどね」 アーサーがルークの横へ来た。 海賊は高らかに笑った。 「男か。お前が船に乗れば三日と持つまい。いや、三時間で倒れるのがオチだ」 「アーサー、見せつけてやれ」 はい、とアーサーは杖を振りかざし、横のタルに向かって唱えた。 「メラミ!!」 タルは一気に燃え上がり、跡形もなく灰と消えた。 海賊は一瞬引きつったが、咳払い一つで持ち直した。 「少しは芸があるようだが、連れてはゆけんな」 「何でよ!?」 男はマゼンダの方を、やや振り向いた。 「海には魔物がいる。色々な意味でな」 「覚悟は出来てるわ」 マゼンダとルーク、アーサーの目を順に追い、海賊は小さくため息をついた。 「・・・・・・ついてこい」 海賊が踵を返した。
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はい - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月29日 (木) 17時01分 [873]
ツンデレ海賊現る!! あ・・・・・・デレてねえ。
ではレス返し
天使様>
やっぱこの二人はいい感じなシーンがないとww たまには。
そこは期待しとくのが私です☆
では♪
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久しぶりにレスです。 - クロネコ (男性) - 2009年01月31日 (土) 18時13分 [874]
ルークもアーサーも仲直りしましたね! 友達って言うのはやっぱりケンカもするけど、 仲直りもするものなのですよ 海賊と言えば、野蛮で残酷なイメージがありますけど、 「海の冒険者」と呼ばれる義賊達もマンガや小説や ゲームでよくあります。 海賊の言う色々な意味での魔物は多分、クラーケン(巨大な イカやタコ)やシーサーペント(巨大な海蛇)やドラクエの 定番の大王イカやタコ魔人なども含みますが、海の一番の魔物は 嵐や竜巻や遭難などの災難だと思います。
さて、ナーティス物語のキャラからのメッセージです。
ライ 「えっと、そっちの世界にはいるかどうかわからないけど、 クラーケンやシーサーペントは僕達の世界の海ではかなりの 強敵だよ!拳銃や鉄の剣などでは歯が立たないし、対魔物用 の「魚雷」や「ガトリングガン」や「キャノン」が僕達の世界の 船には大体装備されている。その他、ガトリングガンは水中用の 弾丸と通常弾が撃てるようになっている。それでも、クラーケンや シーサーペントなど相手には苦戦は免れない。生身で銃で戦うなら 最低でも「マシンガン」や「アサルトライフル」などが必要だね。 剣で戦う場合は「鋼の剣」が最低でも必要。魔法で戦うなら雷属性 の魔法が有効だね。」 ルビィ 「でも、雷魔法が海に放たれたら海の他の生物達が感電したりしないか?」 リーナ 「魔法による雷は特殊なのよ、水属性の魔物には確かに有効だけど、水中で 使っても、水を通して電撃が流れずに、一直線で魔物に命中するし、普通の 水の中だったら魔法の炎を起こす事も出来るのよ、ただ、攻撃魔法の水だったら 魔法の炎は消えちゃうけどね。」 ラルス 「私達ヴァンパイアは水に弱いという伝承があるが、ただの水は平気だ。 それに、ニンニクに弱いというのも迷信だから、普通に食事が出来る。 あと、吸血は出来るが、別にしなくても通常の食料だけでも生きていける。 私はたまに血が飲みたくなったら、狩りで捕らえた草食動物の血を吸っている。 ライ達に初めて会って、「うまそうな血が久しぶりに吸えそうだな!」と 言ったのは単に相手をビビらせるためだ。私は上級のヴァンパイアだから、 太陽の光は平気だが、魔法による聖なる光と聖なる銀の武器や弾丸だけは どうしても克服出来ない、あと、魔物達の繰り出す物理攻撃は特殊な攻撃 だから、物理攻撃が効かない私でも魔物の牙や爪などの攻撃でもダメージを 受けてしまう。さっき、水は平気だと言ったが、人間よりは耐えられるが 水中で長時間呼吸なしでいたらさすがに死ぬ。ヴァンパイアは全ての能力が 優れている大きな長所と聖なる銀や聖なる光に弱いという致命的な弱点も あるのだ。」 ケルス 「ルビィ以外は結構長々と話したな・・・今回は・・・まあ、とにかく、海での 冒険は危険だから気をつけな!海は穏やかな顔と残酷な顔を持つからな!」
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海賊ですか^^ - 翼無き天使 (男性) - 2009年02月03日 (火) 04時30分 [875]
また今までにない新鮮な要素ですね。 しかもツンデレ^^; まぁ今のところツンツンしてるだけみたいなんで、デレデレに期待しつつ、話の展開を待ちたいと思います^^
では★
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