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ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジー小説投稿掲示板


ここは小説投稿掲示板だ。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーまたはその他(アニメ、ドラマ)などでも、楽しそうな小説やストーリー、
詩、日記などがあったらとにかく書き込もう。
他人が見ておもしろいと思った内容、自分が思いついた内容があったら、とにかくどんどん投稿してみてくれい。

(注)最近ここをチャット代わりに使われている方がたくさんいます。
チャット代わりに使われますと、せっかく一生懸命小説等を書いた方の内容がすぐに流れて見れなくなってしまいます。
ここは小説やストーリー、詩、日記などを書くところですので、チャットはこちらにてお願いいたします。

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  第11章 1節:月下の再会 - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月12日 (月) 02時08分 [805]   
  「天峰、半分任せていいですか?」
アルトが二人を取り囲むようにして陣取るDICたちを見ながら言う。
今日は満月だった。大きな月に照らされ、視界は極めて良好だ。
「お前こそ、半分も任せていいのか?」
天峰が千鳥一文字を鞘から抜き放った。白銀の刃が妖しく輝く。
「楽勝ですね」
「ふん、死にそうになっても今度は助けないぞ」
「了解です」
「おいおいおい、まさかお前ら2人で俺たちに勝とうなんて思ってんじゃねぇだろうな?」
DICの一体がゲラゲラ笑い出す。
「はい、そのつもりですよ」
アルトが微笑で返す。天峰はただ一際大きなため息を出すだけだった。
しかしため息が出終わるや否や、天峰はアルトの視界から消えていた。
「グァアッ!」
DICの一体が突然倒れ、塵となって消えた。
「なんだ!?」
DICたちの中にどよめきが奔る。
倒れたDICの後ろに立っていたのは天峰だった。刀から滴り落ちる真っ黒な血を振り払う。
「…まず一匹」
アルトは天峰のあまりの高速移動に眼を見張った。常人を遙かに凌駕したスピードだった。
「野郎…!殺せ!ぶち殺せ!」
DICが天峰に群がる。天峰は刀を鞘に収めた。
「――『空牙・烈風刃』」
高速の抜刀。放たれた衝撃波は3体のDICを跡形もなく斬り飛ばした。
「なんか、とっても取り残された感が……」
アルトが1人ポツンと立って呟く。
「死ねぇ!」
DICの一体がアルトの背後から仕掛けてきた。アルトはそれを回避し、核に照準を合わせて撃った。
キィンという固い物が弾かれる音が響く。
「うげ、固っ!」
「ヒャハハァ!そんな攻撃効くか!」
容赦なく鋭い爪が振り落とされる。
「おい、こいつらは仮にもそこそこ高レベルのDICだ。なめてかかるな」
天峰が腕を振りかぶったDICを真っ二つに両断しながらアルトに言う。
「そうでした」
アルトは体勢を立て直して再び銃を構える。
ハードブレット、弾速Lv.3。
「『ハード・ショット』!」
超硬質の弾丸。今度は確実にDICの腹部を穿った。
「グゥッ!」
しかしDICが腹部を押さえながらも立ち上がる。
「タフですね〜」
バーストブレット、弾速Lv.3。
DICが攻撃しようと腕を振り上げた瞬間、アルトはハード・ショットを撃ち込んだ傷口に寸分違わず今度はブラスト・ショットを撃ち込む。
DICは内部から発生した爆発で木っ端微塵に吹き飛んだ。
アルトと天峰は次々にDICを撃破していく。DICたちはあるいは撃たれ、あるいは斬られながら消えていった。
やがて広場に残ったのは、2人の人間だけとなった。
「ふぅ、こんなもんですかね」
アルトは辺りを見回す。
「骨のない奴らだ」
天峰は刀を鞘に収めた。
一時の静寂。それを破ったのは乾いた拍手の音だった。
振り向くアルトと天峰の視線の先にいたのはスーツ姿で眼鏡をかている痩せた男。そして夜でもはっきりとわかる深紅の瞳が特徴的な若い男だった。
「あなたは、あのときの……!」
アルトは銃を構える。
「いや〜、少年たち。よくぞ生きてた」
若い男は拍手をやめると諸手を広げて喜んだ。
「おい、敵の生存を喜ぶな」
眼鏡の男がジロリとアルトたちを睨みながら言う。
「ふん、こんな子供が俺の魔法陣を突破するとはな」
「そうそうそれそれ。どうやったんだ?少年たち」
アルトは知らないし、天峰は黙ったまま2人を見ていた。獲物を狩るような鋭い眼で。
「まぁ、俺の予想じゃそっちの目つきの悪い方の少年の仕業だな」
天峰は刀を抜く。そして鞘を腰から外して放った。鞘が弧を描きながら落ちていく。
「…教えてやるよ」
カラン、と鞘が地面にぶつかったとき、天峰は若い男の背後にまわっていた。
鋭い斬撃。しかし天峰の刀は、男の掌で止まっていた。蒼い光を帯びた掌で。
「やるね〜、少年」
男は口笛を吹きながら楽しそうに言う。
天峰は思わぬ防御にやや驚いたようだったが、素早く距離をとった。
「なるほど、肉体超活性か」
眼鏡をかけた男が呟く。
「なかなかのスピードだったぜ今のは。それがあのビルを抜け出した理由か」
「ちっ」
天峰が再び刀を構える。
「その歳でそんな荒技使いこなすとは、ククク、面白くなってきたぜ」
男は無邪気な笑みで笑い出す。
「おいデュート、約束だからな。少年たちと戦るのは俺だぜ」
「ふん、勝手にしろ。俺は次の段階に動く」
デュートの足下に光る文様が現れた。そこからは光が溢れ出し、光とともにデュートの姿も消えた。
「あの眼鏡の男がデュート……」
「前も言ったっけ?堅物なんだこれが。愉しむって事を知らねぇ」
一人残った若い男は歩き出し、アルトたちの方に振り返る。
「さて少年たちよ、残ったのは俺たちだけだ」
月明かりに照らされたその顔には、不敵な笑みがこぼれていた。
「さぁ、始めようか」


  2節:蒼き悪魔 - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月12日 (月) 02時09分 [806]   
「愉しもうぜ、少年たち」
男の深紅の瞳が妖しく光る。
2対1。状況的には有利なはずなのに、アルトは不吉な胸騒ぎがした。
天峰もさっきの一撃でそれを感じたはずだ。慎重に戦わなければ。
あの手の蒼い光、威力、射程、能力、全て未知数だ。
ともあれ、まずは仕掛けてみるしかないか。
「な〜に黙り込んでんのよ。来ないならこっちから行くぜ?」
男の両手が蒼く光る。紅い眼とは対照的な綺麗な蒼だった。
この男は何者なんだろう?DICなのか?人間なのか?
アルトは銃を構えて心臓部に向けて発砲した。
男は回避する素振りすら見せない。弾丸はどんどん心臓目がけて飛んでいった。
男はようやく腕を動かし、左手を心臓の方へ持って行く。
当たった。そう思った。
しかし、男の不敵な笑みは崩れることなく、左の拳をアルトに向けてかざした。
手が開かれる。落ちてきたのはアルトが放った銃弾だった。速度を失った銃弾はスッと消えてなくなった。
「おいおい、いくら何でも手ぇ抜きすぎだぜ?本気で来いよ。じゃないと――…」
男はユラッと動き、次の瞬間には間合いを一気に侵略してアルトの手前1mのところにいた。
「…――■ぬぜ?」
「!!」
右手の突き。その攻撃を防いだのは天峰の千鳥一文字だった。
「ボサッとするな!!」
天峰はそう叫ぶとすぐさま男の右手を弾き、男は後ろに跳んで距離を取る。
すかさずアルトが銃を構えて撃つ。
弾速Lv.4、フラッシュ・ショット。
高速の弾丸、しかし今度は光る右手に弾き落とされた。
「いいぞ!なかなかの速度だ。だがまだ遅い」
天峰は地面に転がる鞘を拾い上げると再び刀を鞘に収めた。
「空牙・烈風刃」
衝撃波が男を飲み込む、はずだった。しかしそれは男の手によって真っ二つに別れ、男の両脇を通過した。
「ハハハ!面白くなってきた!もっと、もっとだ!全ての力を解放しろ!俺を愉しませてくれ!!」
男は右手をアルトに、左手を天峰に向けてかざした。蒼い光が強くなり、炎のように揺らめく。
「『ブルー・フレア』!!」
蒼い光が男の手を離れ飛び出した。
「くっ!」
攻撃態勢に入っていたアルトは、咄嗟に体をひねってかわそうとするが、男の攻撃はアルトの左腕にかすった。
ジュウッと肉の焦げる音が耳に入る。そして激痛が神経を貫いた。
「ぐぅぁあ!」
天峰は素早く横に跳んで回避した。標的を逃した蒼き焔は樹に食らいつき、幹をみるみる炭化させた。
「さぁ、もっと来い!!倒れてる暇なんかねぇぞ!」
男はアルトに標的を定めて距離を縮めた。
「どうした、ボケッとしてると■んじまうぜ!?」
「それはちょっと、御免ですね…!」
こいつに生半可な攻撃は通用しない。負担は大きいが仕方ない。
全力で倒す。
バーストブレット、弾速Lv.5。
「『フラッシュ・バースト』!」
至近距離から高速の弾丸。今度は確かな手応えがあった。仕留めるにまで至らなくても相当なダメージはあったはずだ。
アルトは自ら放った弾丸の爆風で吹き飛ぶ。
(男は…?)
アルトは起き上がり、巻き上がる土煙の中で眼を凝らした。
そして男はゆっくりアルトの前に現れた。
「ククク、いいぞ。この痛み、最高だ!!」
「馬鹿な……無傷?」
「だが…まだだ、少年。もっと出るはずだ。本気で来いよ」
男は服の埃を払いながら言う。
「俺が求めるのは■と隣り合わせの緊迫した戦いだ。それこそが最高の愉しみなのさ。だがまだ少年たちの方での命のやりとりにしかなってない」
再び手が光り始める。
「そんなに■にたきゃさっさと■」
天峰が土煙の中に紛れて男の背後を突いた。
「『襲牙・虎乱刃』」
高速の乱撃。目にも止まらぬ速さで次々と斬撃が繰り出される。
男は光る両手でそれを捌く。
「どうした!この程度か!?」
男が天峰の隙を突いて脇腹に蹴りを入れる。男の脚は蒼く光っていた。
天峰はアルトの方へ吹き飛び、受け身を取って着地する。
何事もないかのように立ち上がったが、突然口を押さえた。
「天峰!!」
吐血。内臓が損傷するほどの衝撃が届いたのだ。天峰は口を拭って、口内にたまった血を吐き捨てた。
「さぁ、もっと愉しもうぜ!」
「天峰、単独じゃ駄目です。2人で波状攻撃をかけましょう」
アルトがボソッと天峰に呟く。
「…ちっ」
「常にどちらかがあいつの背後を取りましょう。まず、僕が仕掛けます」
アルトは氣を高め、火傷が痛む左手に力を込めた。手が光り、もう一つの銃を錬成し始めた。
「いいね。愉しめそうだ。来い!」
ダブルトリガー、ノーマルブレット、弾速Lv.6、高速連射。
「『クイック・フラッシュ』!」
二丁の白銀の銃から次々と高速の弾丸が飛び出した。銃弾の嵐。
いくらあの男でも全て防ぐことなど出来はしまい。
約7秒間の猛乱射。弾丸が巻き起こす衝撃波で土煙が再びあがる。
しかし男は煙の中から飛び出してきた。体中から出血はしている。だが致命傷にはそれでも至らなかった。
男は飛び上がり空中からアルトに攻撃を仕掛けてきた。蒼く光る手がアルトを狙う。
「どうした、もう終わりか!!」
「ああ、お前がな」
男のさらに上で天峰が抜刀の構えをとっていた。完全に男の■角。しかも空中。逃れようがない。
「!!」
「『空牙・烈風衝』」
天峰が刀を抜きはなった。
凄まじい衝撃波が男を飲み込み、それに留まらず衝撃波は地面に到達して大地に巨大な亀裂を作り上げた。
しばらく地響きが止まなかった。
天峰の攻撃を間一髪で回避したアルトは、氣を消費しすぎて立っているのがやっとだった。
頭がフラフラする。眼もチカチカしてきた。でも倒した。
「…やった」
視界を埋め尽くす土煙に咽せながら呟く。
「いや、やるのはこれからさ」
「!?」
振り向くと男がアルトのすぐ前に立っていた。蒼く光る右手は真っ直ぐアルトに狙いを定めていた。
「チェックメートだ、少年」
アルトは銃を構えようとした。しかし腕に力が入らない。デスペナルティはガチャッと地面に落ちた。
「『ブルー・インパルス』」
最後に見たのは男の笑み。そして目も眩むような閃光。
アルトは蒼い稲妻の中に消えた。


  3節:救援 - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月12日 (月) 02時11分 [807]   
冷たい。体に力が入らない。出血も酷い。生命の流れ出る感覚。死の感覚。どんどん迫ってきてる。
――足音。近づいてくる。あいつは何者だ?あの強さ、不死身としか思えない。
(天峰は、どうなった?)
一緒に戦っていたはずだ。
首をかろうじて動かすと、地面に横たわって微動だにしない天峰が視界に入った。
「…天峰?……天峰!!」
血の味が広がった口を懸命に動かし、天峰を呼んだ。それでも動かない。
「無駄だよ。そいつはもう死んでる」
この現状を作り出した男、足音の正体はもうアルトのすぐ近くまで来ていた。
「…嘘だ。この程度で…天峰が、死ぬはず、ない」
「少年。人は死ぬもんだぜ?少年ももうすぐ死ぬ。俺が殺す」
男はさらにもう一歩アルトに近づき、その場にしゃがんだ。
闇にぼやけていた顔がはっきり見える。そこには笑みが浮かんでいた。この状況を楽しむような無垢な笑み。
「まぁ、なかなか頑張った方だよ、少年。そっちに倒れてる方もな。少しは楽しめたぜ」
「あなたは…いったい、何者…?」
呼吸が苦しい。意識も朦朧としてきた。
「わからないか?少年たちとは因縁浅からぬ仲なんだけどな」
「……DIC?」
「まぁ、少年たちはそう呼ぶな」
「いったい…どういう」
「驚きか?俺にDICの特徴がないのが。言っとくけど、擬態なんてしてないぜ。あんなもん下等な奴がすることさ。これが俺の素の姿」
姿が人間のDIC。
「真実を教えてやってもいいが、謎を残したまま死ぬってのも、またオツなもんだよな」
そう言うと、男はゆっくり右手を振り上げ、アルトの心臓に向けて構えた。
手が蒼い光を帯び始める。またあの攻撃だ。
「そういや、まだ聞いたなかったな。少年、名は?」
「……アルト」
「アルトか。いい名前だ」
「あなたの、名前は…?」
「俺?…まぁ、それくらい教えてやるよ。俺はティック=エルシェント。少年を殺す男、さ」
「ティック…エルシェント。あなたは、僕が…消去、します」
「…はは。いい夢を、少年」
右手が振り下ろされる。
「阻め、『水陣壁』!」
アルトとティックの間に水の壁が立ちはだかった。ティックは後ろに飛び退いてアルトと距離を取る。
「アルト!!」
駆けつけて来たのはマイヤだった。
「マイヤ……」
アルトは何とかして起き上がろうとする。
「動かないで。出血が酷いわ」
マイヤがアルトを地面に寝かしつけた。
「天峰が…」
「…わかってる」
「これはこれは、可愛いお嬢さん。キミも殲滅者?」
ティックが可笑しそうに笑う。マイヤはキッと睨み付けて立ち上がった。
「…だったら何?」
「だったら何かって?はは、楽しいことこの上ないね」
ティックの手が再び蒼く光る。
「マイヤ、駄目です。逃げてください。応援を……。一人じゃ、無理だ」
アルトが喘ぎながら牽制した。
「わかってる。でも今逃げたらあなたは殺されるわ」
マイヤが小声で言う。
「隙を突いてあなたたちを連れて逃げる」
「無理です…!逃げられっこない」
「大丈夫。私、かけっこじゃ負けたことないんだから」
マイヤは優しく微笑んだ。しかしその瞳には確固たる決意が見えた。
どの道、今のアルトはマイヤに従うしかない。
「…秘密会議は終わったか?」
ティックが聞く。
「ええ。待っててくれたの?親切なのね」
「もちろんさ。隙を突くってのは戦術の常套手段だが、不意打ちは駄目だ。俺の流儀に反する」
ティックは笑う。
「さ、始めようか?」

ライターに火が点く。その火は煙草の先端を燃やした。煙が夜の空へと立ち上る。
男はWPKOルーマニア支部の屋上に立っていた。下の広場で起こっている戦いを眺めながら、煙草を深く吸い、吐き出す。
やがて煙草も短くなり、屋上の手摺に押しつけた。
「あ〜あ〜……」
大きな溜息とともに呟く。
「なぜお前がここにいる、アデル」
後ろから女が声をかけた。
「よぉオリヴィエ。ずいぶん早いな。こっちに来るには1日かかるんじゃなかったのか?」
アデルは振り返る。
「地獄耳だな。相変わらず情報網は完璧か」
オリヴィエはアデルの横に並び、下を見下ろした。
「召喚を使ったのか」
「ああ。事が事なのでな」
「さすがは“マジック・マスター”だな」
「……7年間も消息不明で何をしてるかと思えば、未来ある若者の危機を傍観して一服とはな」
「出来の悪い馬鹿弟子がどのくらい成長したか見ようと思ってな」
「アルト=ナイトウォーカー、予言の子か」
「ああ。もう駄目駄目。油断はするし、詰めは甘いし。我が弟子ながらとんだ出来損ないだ」
「昔の誰かのようだな」
「はは、誰のことだ?」
「…助けなくていいのか?」
「それはあんたの任務だろ、オリヴィエ=ローゼン元帥」
「ジハード討伐もお前の任務の一つのはずだ、アデル=キースロード元帥」
「まだその時じゃない。物事には順序ってもんがあるだろ?」
「……好きにしろ。私はあの子達を助ける」
オリヴィエは踵を返して、屋上のドアへ向かう。
「手伝おうか?」
「まだその時ではないのだろう?」
「なに、ちょっと突っつくだけさ」


  やっと・・・ - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月12日 (月) 02時14分 [808]   

追いつきました。かつてのボクに^^;
やっと未開の部分に入ったわけですね〜。
長かったな〜。
これからどうしようかな〜。
これからどうなるのかな〜。
では

  わ〜お - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月12日 (月) 18時26分 [809]   
とうとう次から続きに入るわけですな^^
期待してます☆
ネタに詰まったときは新キャラ使うのが常套sy・・・・・・(規制)
ほらほら、ルークさんたちも応援してますよ♪特にマゼンダさんなんか「勝ったらぱふぱふしてあげる」ってスライム2匹用意して待ってるんですから☆

  ブレッドではなくバレット - クロネコ (男性) - 2009年01月13日 (火) 10時25分 [812]   
ファンタジーとガンアクションのコラボが最高でした!
銃が好きな俺にとっては読んでいても楽しかったです!
これはあなたのオリジナル作品ですか?
ドラクエでもFFでもMOTHERでもないみたいですね・・・。
あと、弾丸の事は英語で「ブレッド」ではなく「バレット」です。
続きに期待しています!


  巫女 - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月11日 (日) 14時59分 [800]   
   荘厳な神殿。
 鋭く尖った塔を持ち、日の光に照らされた色とりどりの硝子が美しく輝き、無機質な灰色の煉瓦の壁ながらも、神聖な雰囲気を醸し出していた。
 ベストール神殿。それはルルを小さく震わせた。
「大丈夫? ルル」
 兄からの問いかけにルルは答えた。
「うん。でもあたし、分かるの。ここに来なきゃいけないって」
「そうだね。マゼンダさんも言ってた。ルルにとってこの旅は意味のあるものだと。その意味がここで分かるんだ」
「・・・・・・入るぞ」
 ルークの呼びかけに、一同は入っていった。

 中は思いの外暗い。幸いなことに太陽の光がステンドグラスを通して差し込んでくる。その中に1人佇む女性。白いワンピースのような法衣に、白を基調としつつ美しい紫色の文様が描かれた帽子と、二つ結びの黒髪。
 少女は足音に気づき、ゆっくりと振り返った。
「ようこそ。ルル。神の祝福を最も強く受けた巫女」
「どうしてあたしの名前を・・・・・・?」
 少女はゆっくりと4人を教壇まで誘った。
「私はカリアス。過去を司る巫女。私はこれから貴女に過去で起こったことを全て話さねばなりませんね」
 カリアスは教壇に差し込むステンドグラスの青い光に手をかざした。無造作だったステンドグラスの模様が形を形成していく。山脈と、恐ろしい目を。
「幻術の魔王が復活しつつあるのは知っていますね? 彼の魔王が生まれたのは遙か昔、南の極地のマファラス山脈の地下深くでした。魔王は冷気と障気に育てられ、最中幻術を学んでいきました。神は世界の危険を察知し、魔王の封印のため鳳を遣わし、鳳は4人の巫女を遣わして魔王の封印に成功しました。しかし・・・・・・」
 ステンドグラスは4人の女性、その後ろの大きな鳥、そして苦悶の表情を浮かべる恐ろしい顔を象った。しかしその顔はだんだん卑劣な笑みに変わっていく。
「その封印は500年ごとに解けていくほど脆いものでした。それを知っていた鳳は巫女達の魂を自らのもとに封印し、いつ解けるとも分からない魔王の封印に備え、500年ごとに巫女達の魂の封印を解いていったのです」
 ステンドグラスの女性が4隅まで軽やかに移動し、後ろ姿を向けたまま大きくなっていった。
「姿は変われど、魂は同じ。時を司る巫女達は、同じ使命を課せられた姉妹なのです。長女は現在の時を司る巫女、名はイリーナ」
 左上の女性がゆっくりと振り向くや、ルークとアーサーは声を上げた。その顔はかつてグース城にメイドとして潜入していたときにミラルカ王女と消え去った神官風の女性と瓜二つだった。
「次女は過去を司る巫女、カリエール。今の私です」
 右上の女性が振り向く。なるほどカリアスにそっくりだった。
「三女ラルキマは未来を司る巫女」
 左下の女性が振り向く。また、ルークとアーサーが声を上げた。あまりにもグースのミラルカ王女に似ていた。
「そして四女ルルア。最も神の祝福を受け、そのために苦行を強いられた、悠久の巫女」
 右下で振り向いた女性は、かつてマゼンダの薬で大人に見えたルルそのものだった。全員が、息を呑む。
「私たち4人が魔王封印のための鍵。私たちがそろわなければ魔王の封印は叶いません」
「あたしが・・・・・・鍵・・・・・・?」
 カリアスはそっと頷いた。
「ルル。貴女は苦行により力を得る者。かつての姉イリーナの待つ邪魔の神殿まで、貴女の足で赴くのです。それが神の、彼の鳳に課せられた使命。そして必ず彼の魔王を封印しましょう」
 そのとき、あの巫女が光の中から現れた。頭を覆うフードと、紫の長髪を持つ、女性神官が。
「カリアス。迎えに来ました。ついてきてくれますね?」
「分かりました、アイリーン。それではまた会いましょう、ルル。私たちの待つ、邪魔の神殿で」
「待って下さい!!」
 ルルが前へ進み出た。
「教えて! どうしてあたしは何も知らないままここまで来たの!? あたしここに懐かしい感じがしたわ。でも何も覚えてない・・・・・・!」
 カリアスはそっと微笑んだ。
「何度も言いますが、私は過去を司る巫女。過去の記憶を司る者。アイリーンは現在を司る巫女。今の使命に生きる者。ミラルカは未来を司る巫女。未来を見ることのできる者。そしてルル」
 徐々に、カリアスとアイリーンと呼ばれた女性が消えていく。
「貴女は悠久の時を司る巫女。全てを探求し続ける者・・・・・・」
 声がしなくなった。

  ふえ - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月11日 (日) 15時07分 [801]   
なんか勝手にうちのPCが再起動かけやがって作業が一回オジャンになってしまいました。この前に書いたヤツの方が絶対良かった。ムカツいたんで設定変えてやりましたけど・・・・・・。
とうとう色々明らかになったところでレス返し

>クロネコ様

こちらこそ初めまして^^
私のお気に入りは3、4、5です。1と2とモンスターズ以外は大体あります。今度の6のリメイクと9が楽しみですな。

ツクール私もやりたいな〜とか思ってます。面白そうですね。あれ。とあるサイトで公開されてるのを見てかなり興味持ってます^^;

はい。これオリジナルです。実は第2段で投稿させて戴いてます。一応今回のやつも一部ログが流れてるようなので簡単にあらすじまとめときますね〜☆
いや、これやっとかないと私も内容の確認できないってのもあるんで。

あと、前書いてたヤツのリメイクも検討してます。色々おかしいところあったと思うってのと、書けなかった裏設定書いたりとか、裏ダンジョンに相当する番外編書いたりとか・・・・・・。

では☆

  簡単な?まとめ的なもの - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月11日 (日) 16時08分 [802]   
 ルーヌ・ロット・シャンフォットーはルドン王国に生まれた少女。だが、彼女は女に生まれてきた自分を恨み、男として生きることを決意し、「ルーク」と名乗って16歳にしてルドンの兵士長にまでのしあがる。ある日王はルークに、領内に住みついた吸血鬼の退治を頼まれ、家庭教師にして幻術研究家のマゼンダ・ケルピー、宮廷魔導士見習いで富豪家の令息アーサー・ミレクロイドス=ヴァース、その妹にして神官見習いのルル・アルリア=ヴァースと共に吸血鬼退治に出かける。吸血鬼はルルの生き血を狙っていたが、ルルの不思議な力により消滅してしまう。突如現れた吸血鬼に、魔導士と神官の力が兄妹で逆転して生まれてしまった事実を訝った4人は、ヴァース家の祖母から幻術の魔王・ゲルグマイアスの復活を知る。一行は魔王の討伐のため、旅に出た。

 ルドンの城下町、コロリス。マゼンダとルルがそれぞれの用事で抜けている間、ルークとアーサーは17歳の女市長、レナが黒フードの3人組に襲われているのを助ける。黒フード達はレナの市長の座を狙う富豪の息子・アドラスの差し金だった。しかし弟のロドスが人質に取られているため何もできなかった。事の顛末を聞いたルーク達はマゼンダとルルに使用人として潜入させ、自らとアーサーでレナの護衛を決める。マゼンダとルルがロドスを助け、アドラスの3人の使用人達を倒している間ルークとアーサーの痴話喧嘩が始まってしまう。なんとかロドスの証言を得てアドラス達を役人に突き出し、ルーク達の痴話喧嘩も終焉を迎える。レナから正体不明の石の板を貰ったが、マゼンダはどこかでそれを見たことがあった。聞けば南のガント王国にも似たような石の板があったと言う。

 ガントとグースはそれぞれ双子の兄弟が治めている王国で、それぞれに政治的策謀がなされていた。マゼンダはそれをバーの店主から聞き、それぞれの城に潜入して内情を探ることを決めた。マゼンダとルルはガントへ、ルークとアーサーはグースへと潜入する。
 ガントの国王・ガントミットはガントの王子・アンドスとグースの王女・ミラルカと結婚させ、王女ミランカをグースの王子・ヴィルラマスに嫁にやることでガントとグースの統合を謀ったが、グースの国王・グースミットが頷かない上、アンドスにはすでに庶民の恋人がいると聞かされ、更にはミランカにも意中の使用人がいた。しかしアンドスの恋人・ミーナは王国の財産を狙う悪女であり、ミランカの意中の相手にはすでに恋人のメイドがいた。マゼンダの働きでミーナの正体が露見。王子は打ちひしがれてヤケになり、グースとの政略結婚を承諾。マゼンダは魔王の封印の方法が書いてあるという石板の欠片を王から貰う。ミランカは意中の使用人・アルキスに出て行かれ、悲しんでいたのも束の間、家庭教師のクリヴィートンに目移りしていた。
 一方その頃、グースではミラルカ王女を使ったルドンの征服が画策されていた。ミラルカ王女がかつて巫女修行していた修道院を手に入れるためである。しかしミラルカはアンドス王子に恋をしており、ヴィルラマスはヴィルラマスで男女構わず使用人達を手込めにする始末。ミラルカは未来を予知する能力があり、アーサーもその力を目の前にした。そしてグースがルドンを統合できないことも予言していた。そしてある時、ミラルカ王女が突然現れた神官風の女性と虚空へ消えていってしまった。

 森で一行が野宿していると、叫び声が聞こえた。見ると巨大な獣が腕を貪っており、アルキスたちと思いこんだマゼンダが鞭で倒す。その後不思議な光に包まれ、サテュロス族の住む集落へと案内された。聞けばあの悪魔に操られている野獣たちがサテュロス一族を襲い、困っていたとサテュロス族の女長老、ホーナに聞かされ、弟のパントと共に悪魔の退治を頼まれる。悪魔をまたルルの力で倒したものの、洞窟にかけられた呪いで落ちてきた鍾乳にアーサーが貫かれ、死にかける。しかしパントの笛の力で治る。3日後に起き出したアーサーを見てルークは帰還を命令、のつもりが結局愛の告白で終わる。

 サテュロスの集落を去り、元の森に帰ってきた一同はセバルムス公国に来る。そこで出会ったルイーズは・・・・・・ってこの辺結構最近の話題なんでやっぱいいですね。はい。

なお、話に関する質問は随時受け付けてます。

  続きが楽しみです。 - クロネコ (男性) - 2009年01月11日 (日) 23時48分 [803]   
なるほど、大体のあらすじはわかりました。
女性が主人公のドラクエとは斬新ですね。
後、ストーリーがよく出来ています。
俺の作るゲームの参考にもしようかなと思います。
ルルの過去が気になります。
難しい設定がよくそんなに思いつくなー、とか思いました。

でも、主人公は女性である自分が嫌なタイプみたいですね。

俺のたぶん書く小説はドラクエでもFFでもなく、RPGツクールで作ろうと思っていた
けど、素材の関係で作れなかったオリジナルストーリーです。
世界観は現代とファンタジーが混ざったような世界で、その世界には人間、エルフ、
魔族、天使、龍人族、獣人族、バトロイド(人間型ロボット)が共存していて、
遥か昔に戦争をしましたが、現在では安定して、お互いを一応わかりあえています。
主人公は11歳の人間の少年で、名前は「ライ」、学校では成績はかなり優秀ですが、
その反面、優秀すぎて、他の生徒からいじめられているいじめられっ子で、ケンカは
弱く、気が弱くていくじなしな少年です。
ですが、彼はある事件をきっかけに、銃を装備して、妹の「エルア(武器は鉄パイプ)」
と仲間二人と共に旅に出て、奇妙で、壮大で、変な人達や悪い人達や良い人達と出会い、成長していきます。

仲間二人は人間ではなく魔族とエルフです。
武器は剣と槍です。

  おお〜。 - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月12日 (月) 01時41分 [804]   

だいぶ核心めいてきましたね。
ルルはかなりのキーパーソンのようで。
次回に期待です^^

>クロネコさん
初めまして^^
クロネコさんの話もいずれ読んでみたいです。
これからよろしくお願いします。


  聖名 - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月02日 (金) 19時39分 [796]   
  「そういえば」
 不意にペネロペが声をかけた。
「お前の身内に神官がいたりとかしないか?」
「何故妹のことを?」
 アーサーが目を皿のように丸くして尋ねた。
「いや、もしいるのならこれを渡して欲しいのだが」
 ペネロペは戸棚から石の板を取りだした。マゼンダの持っている石板の欠片と全く同じ色だった。
「これは・・・・・・! マゼンダさん・・・・・・」
「ええ・・・・・・。どうしてこれを?」
 ペネロペはクロードに椅子を持ってこさせ、座りながら言った。
「この森を抜けた先にベストール神殿という所がある。カリアス神官長とはちょっとした知り合いでな。詳しい話はそこで聞いてくれ」
 ペネロペはパイプを吹かし始めた。

 一行はペネロペの家を出た。
「さて、歩いて帰るのも面倒だな」
「それじゃ」
 アーサーは持っている杖で陣を描き、ぶつぶつと呪文を唱え始めた。
「ルーラ」
 そうアーサーが力強く言い放つと、全員の体が光に包まれ、足下が浮いたような感覚に見舞われた。

 一同はセバルムスの、ルビーとルルの待つ家へと向かった。
「ルル、御苦労だったな。特に変わったことはなかったか?」
「大丈夫。薬はあった?」
 ルークは荷物袋から薬を取りだした。
「・・・・・・何か・・・・・・臭う薬ね」
「まあね。それじゃお姉ちゃん、ちょっと部屋へ・・・・・・」
 ルイーズは姉と奥の部屋へ引っ込んでいった。その後、生々しい呻き声が何回も聞こえ、一同は不安に駆られた。
「あれ・・・・・・本当に大丈夫なのかしら・・・・・・?」
 マゼンダの顔が引きつり、
「でもルイーズさん、結構手慣れてるみたいですけど?」
 アーサーの顔も青ざめ、
「なんか・・・・・・聞いてはいけないものを聞いてしまってるような・・・・・・」
 流石のルークも青い顔で耳を塞ぎ、
「・・・・・・」
 ルルは乾いた笑顔を見せるのであった。

「色々あったけどありがとう」
 ルイーズは深々と頭を下げた。
「いえ、それよりお姉さんは大丈夫なんですか?」
「はい。今はちょっと薬の副作用で気分が悪いってまた寝込んでますけど、すぐに良くなるはずだから」
 薬を飲んで悪化したのでは、と誰しもが思っていたが、ルイーズは構わずに笑顔で4人を送り出した。

「ベストール神殿、か。どのみちあの森を抜けないことにはポートリアには辿り着けない。一度行ってみるか」
「ベス・・・・・・トール?」
 ルルが眉をひそめて鸚鵡返しした。
「知ってるの? ルル」
「ううん。でも、知らないはずなのに何故か懐かしい感じがするの。なんて言ったらいいか分からないけど・・・・・・」
「そうか・・・・・・。いずれにせよ行く必要はあるな」
 4人はペネロペの家までアーサーのルーラで行き、そこから歩き始めた。

  どんどん核心へ - ベールゼブブ (男性) - 2009年01月02日 (金) 21時08分 [797]   
近づいております。

ではここでレス返し
>天使様

あくまでここでの設定です。
一般のRPGの設定と異なる確率高しですのであしからず。
まあ、現実的な答えを言っちゃうと製作sy(殺気)

ル 「はい、失礼な作者は放っといて早速の質問だアーサー」
ア 「はい。竜の髭と牙だそうです」
ル 「予想済みの質問だったからここに資料を持ってきた」
ア 「わ〜、用意周到!!」
ル 「まず前も言ったが金額はピンキリで、同じスライムの目玉でも状態によって金額が上下する。あまりに粗悪だと引き取り料を請求されることもある」
ア 「なかなか難しそうですね」
ル 「そう。因みにスライムの目玉が今のところ最高額片方20ゴールドってのは、完全形でも極めて珍しいパターンの時だ」
ア 「というと?」
ル 「充血してる」
ア 「・・・・・・燕の巣ですか・・・・・・?」
ル 「要するに必死になってるときになりやすいのだが、ここで奇妙だと思わんか? スライムのどこに血が流れてる?」
ア 「あ。確かに」
ル 「あれはな、襲った人間や家畜の血なんだ」
ア 「そうなんですか!?」
ル 「つまり、あんな弱小モンスターに襲われて多少の傷を負うことはあっても、目が充血するほど血をとられることなぞ滅多にないだろ? だからそういう意味で珍しいんだ。だが、その気になればわざと自ら血を吸わせて殺すって方法もとれるわけだ。そういったことを考慮して片目20ゴールドな」
ア 「はあ。で、本題のドラゴンの髭と牙はいくらぐらいなんですか?」
ル 「まあ落ち着け。あと、例えばスライムは片目で最高額20、スライムベスは最高21」
ア 「あんまり差がないんですね」
ル 「ああ。区別が付きにくいから相場があまり変動しないんだ。で、バブルスライムが80にまで昇る」
ア 「え?片目で?」
ル 「バブルスライムの毒は薬にできるから、意外に高値で取り引きされるんだ。薬を扱う魔術師なんぞには格好の材料というわけだな」
ア 「かかると厄介ですけどね」
ル 「ホイミスライムとベホマスライムなんかも癒し効果がかなり期待されるからそれぞれ100と130。メタルスライムとはぐれメタルなんかはまず捕まらないから片目で1500と3000ゴールド。すごいだろ?」
ア 「へえ。流石ですね。むしろ捕まえたことに価値があるわけですね」
ル 「そう。最高級なのは当然メタルキングの目玉の15000だ。しかしメタル系全部に該当するが、薬としての価値というより宝石やオブジェとしてよく使われている」
ア 「そういえばお爺さま持ってたかもしれませんね」
ル 「・・・(これだから金持ちは・・・・・・)で、ここで本題のドラゴンだが、要するに相手の強さと状況、種類によって大きく分かれる。一口でドラゴンといってもベビーニュートクラスからグレイトドラゴンクラスまで数は多い」
ア 「ええ、まあ」
ル 「ドラゴン最弱のベビーニュート程度の牙なら最高でも一本200ぐらいか」
ア 「流石にスライムの目より価値がありますね」
ル 「だが薬効はスライムの目と同等なため、持ってくと魔術師に嫌われやすい。牙を持っていくのが正解。で、だ。対するグレイトドラゴンの牙は魔術用ナイフやら魔術人形やらと用途が広いため、大体一本5000ゴールド」
ア 「ってことは一頭につき牙が一本なんてことはあり得ないから・・・・・・すごいじゃないですか!!」
ル 「だろ? で、髭のほうなのだが・・・・・・」
ア 「どうかしたんですか?」
ル 「髭を持ってるドラゴンが数種類しかいない。えっと、スカイドラゴンとサラマンダー、スノードラゴンだったかな? それぞれ魔術薬の材料になったり保存に関わるから結構貴重なんだな。それぞれ一本1000、3000、2500ぐらいか」
ア 「思ったより安いんですね」
ル 「まあ、スカイドラゴンの髭からはそれほど大した薬が出来ないからってのと、ほかは寧ろ加熱と冷却に使われることが多いからってのと・・・・・・。」
ペネロペ(以下ペ) 「そんなことはない」
ル&ア 「うわっ!! びっくりした!!」
ペ 「最近ではスカイドラゴンとサラマンダーとスノードラゴンの髭から抽出した成分を混ぜ合わせてとある重要な薬の材料になることが分かっている。そのために最近ではそれぞれの値段は大きく跳ね上がっていて、スカイドラゴンの髭が大体8000、サラマンダーが12000、スノードラゴンが10000ゴールドが相場となっている」
ル 「はあ」
ペ 「そしてそれぞれの成分を混ぜて出来たのがこれ、『竜の涙』だ。私が名付けた。ここから伝説の秘薬、『ドラゴラムーン』だ。私が作った」
ア 「なんか・・・・・・オチが読めました」
ペ 「これを使えばドラゴンと同じ力を持てて、炎も冷気も吐き続けられる。一つ50000ゴールドでどうだ?」
ル 「・・・・・・結構だ。もう時間なので」

  初めまして - クロネコ (男性) - 2009年01月10日 (土) 18時43分 [798]   
どうも!初めまして!RPG大好きで、現在「RPGツクールXP」でゲームを製作中の初心者の
ツクラーです。
ドラクエは、1と2とDS版の4を持っています(1と2はなくして行方不明)
よろしくお願いします。

  連続投稿ごめんなさい - クロネコ (男性) - 2009年01月10日 (土) 18時52分 [799]   
二回も連続投稿してすみません。
これはどうやらオリジナルのドラクエのようですね。
続きが楽しみです。
投稿頑張ってください!
俺もいつか小説を書くかもしれません。


  Date et dabitur vobis - ベールゼブブ (男性) - 2008年12月21日 (日) 20時17分 [792]   
  「ブリアーの使者達、理解あるザフキエル! 慈悲深きザドキエル! カマエルの力と共に光の滴を! ティファレトの名の下にここに命ず! セフィロトの守護者、祓い給え、清め給え! 悩み呻く者に天の慈悲を!」
 魔女……ペネロペは大釜に術を投げかけながら、中の緑色をした液体を煮詰める。様々な薬草が入っては溶け、強烈な臭いが辺りを立ちこめていく。
「ウェニテ グロリオサ エト ゲネロサ ダテ エト ダビトゥル ウォービス! ルケ レメディウム!」
 呪文が終わるや、中の液体の色が毒々しい緑から透き通った青色に変わった。アーサーがごくりと唾を飲む音をルークは聞き逃さない。
「どうやら本物の、それもかなり力のある魔女のようですね。魔法薬の質と魔力が半端じゃない」
「そうなのか? アーサー」
「ええ。さっきから震えが止まらないんです。僕の魔力が気圧されて、下手をすればこの身体ごと吹き飛ばされそうなくらい・・・・・・」
 魔女はゆっくりと硝子の瓶に大釜の薬を注ぎ、クロードから受け取った蓋を丁寧に閉めた。
「持っていけ」
 ペネロペはルイーズに近寄るや、瓶に入った薬をそっけなく渡した。
「ありがとうございます」
「で、謝礼の相談なのだが」
 一同の時が止まった。そしてじっとペネロペに視線を集中させる。
「謝礼・・・・・・?」
「誰がタダでやると言った? 依頼しておいてタダで帰すような甘いことを考えていたら今の時世を生きていけると思うのか?」
「いや・・・・・・そうなんだけど・・・・・・」
 というわけで、とペネロペはどこからか算盤を取りだし、指で弾いていった。
「えっと・・・・・・材料費がこんなもんで、人件費がこれぐらい・・・・・・。初診料が大体こんなもんで、手間賃が・・・・・・こうか。それに消費税もつけて・・・・・・しめて三千ゴールドになります」
『高!!』
 全員が一斉に声をあげた。
「ああ、忘れてた。団体割引と危険手当、ついでに今日はレディースデーか。で、割引がつくと・・・・・・千九百ゴールドな」
「もう一声!」
 不意にマゼンダが声を上げる。
「千ポッキリで!!」
「・・・・・・千八百なら」
「千百!!」
「・・・・・・千七百五十」
「千百五十・・・・・・いえ、千二百でどう!?」
 そしてそのままマゼンダの値切りバトルが始まった。
「うむ・・・・・・それなら大負けに負けて千五百だ。これ以上は負けられぬ」
「ん〜・・・・・・そこをなんとか千四百台にならないかしら?」
「だったら千四百九十九」
「刻んだわね・・・・・・千四百五十でどう!?」
 傍観者達は呆れ返って世間話や読書などの暇つぶしを始めている。
「分かった。それで手を打とう」
 やっと終わったか、と他は視線を戻した。
「よかったわね、ルイーズ。半額以下にまで下げたわよ。じゃ、払っておいて」
「え? あ、あたしが払うんですか? てっきりマゼンダさんが払ってくれるものとばかり・・・・・・」
 ふと横切るマゼンダが笑顔でルイーズの肩を掴んだ。
「あんた厚かましいわね。頼んだのはあんたじゃなかったの? なんであたしがあんたのお金まで払わなきゃいけないのよ? あんたの為に値切ってやったってーのに何? その態度は? あたしがあんたから手間賃もらいたいぐらいよ。払ってくれるの?」
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
 決してマゼンダに口答えをしてはいけない。そう学んでいたのはルイーズだけではなかった。

  店屋とお○さん - ベールゼブブ (男性) - 2008年12月21日 (日) 20時23分 [793]   
我ながら意外な展開でした。
ではレス返し

天使様>

炎のルビカンテ〜 水苦手〜♪

はい。スライムです。ただ、ネタバレすると人間になった後の話もありますヨ。なんか全然ドラクエらしくない話になりそうですけど^^;まあ、私が書いてドラクエらしくなったことはあまりないわけですけど。最初に書いた4,5だけじゃないかねえ?

では☆

  今年最後のネタ - ベールゼブブ (男性) - 2008年12月31日 (水) 17時23分 [794]   
ルーク(以下ル) 「突然だが作者の気まぐれで質問コーナーなるものが実施されるらしい」
アーサー(以下ア) 「司会は僕とルーヌでお送りします」
ル 「(こいつ・・・・・・)え〜、このコーナーでは随時世界観やら人物に関する質問を受け付けています。場合によってはかなりリアルな話にまでなったりすることがありますので、意外に世界観のぶちこわしになる場合があります。そういったのが苦手な方はご注意ください」
ア 「ルーヌ、カンペ見すぎ」
ル 「(それがぶちこわしなんだよ)え〜、今回は初回ということでアーサーの疑問を・・・・・・に答えてみたいと思います」
ア 「はい、肝心の司会者が噛んだのは無視して進めましょう。えっとですね・・・・・・」
ル 「(・・・・・・怒)」
ア 「旅の最中の経済状況はどうなってるんですか? なんか元のゲームのごとく敵を倒してお金が入った記憶がないんですけど」
ル 「いきなり現実的な質問だな。何だ、魔物が金を持っていたとでも思っていたのか?」
ア 「持ってないんですか?」
ル 「持ってるわけないだろう。考えてもみろ。人間の使う金を魔物が持っててどうする?」
ア 「確かに・・・・・・それじゃどうして一般的なRPGでは魔物を倒してお金が入っているんでしょうか?」
ル 「・・・・・・現実的な答えと、まだ夢を持ち得る答えとあるが、どちらを先に聞きたい?」
ア 「・・・・・・夢のある答えだけでお願いします」
ル 「それは永遠の謎だ」
ア 「・・・・・・でも人間が落としていったお金を拾い集めて、ってことはないんですか?」
ル 「0ではない。光り物が好きなモンスターもいるから、人間が落としたゴールドを拾い集める習性を持っているやつもいる。だがな、人間が落とす金などせいぜい1、2ゴールドでたかが知れてるだろ?」
ア 「ああ、確かにそうですね」
ル 「一番効率のいい方法教えてやろうか?」
ア 「何です?」
ル 「倒した魔物の体の一部を魔術師や呪術師に売る」
ア 「・・・・・・えげつないですね」
ル 「結構バカにならんぞ? 例えばスライムの目玉なんかはほぼ全ての魔法薬に使えるとかで、質によっては片目で20ゴールドにはなるんだぞ」
ア 「・・・・・・生々しいけど、スライム1匹で40ゴールドと考えると、10匹倒せば400ゴールドか・・・・・・」
ル 「100匹倒せば4000ゴールドだ。スライム程度なら楽なもんだろ? だがあまりにグロいのと生々しいのとで、本元でも採用されていないであろう設定だ」
ア 「それじゃ、そうやって稼いだお金を旅費にしてたんですか?」
ル 「いや、幸運なことに私たちにはそこまでする必要はない。ルドン銀行の私の口座と先生の口座に国から給料と給付金が振り込まれてるから」
ア 「そうなんですか!?」
ル 「ああ。従って、例えば町に着いて宿屋に泊まるだろ? そこで領収書と請求書を国に送れば経費が落ちるんだ」
ア 「僕の装備品とかも国の税金なんですか!?」
ル 「そう。当たり前だろ。国家公務員になるんだから」
ア 「え? あ、そうか。君は兵士長だし、マゼンダさんも幻術研究所の研究員で教師だし・・・・・・」
ル 「何言ってるんだ? お前もそうだろ」
ア 「え? あ、そうなんですか?」
ル 「お前頭いいくせに何も知らないんだな。親父さんか婆さんから何も聞いてないのか? お前いくら見習いでも宮廷魔導士と神官といえば、立派な国家公務員だぞ。例えば日本にも鵜飼いってあるだろ? あれは国の伝統だから無いと国が困るわけだ。鵜飼いをやっている人はみんな国家公務員扱いで世襲制だぞ? それと一緒だ」
ア 「へぇ。それじゃ僕の口座にも一応国から給付金かなんか来てるわけですか?」
ル 「ああ。それと、マゼンダ先生がついてきてるのは何故だと思う? ただ戦力になるってだけの理由じゃないぞ?」
ア 「マゼンダさんに脅迫されたってことですか・・・・・・?」
ル 「第一の理由はそれだが、実は私の通帳の管理の為も兼ねている。まあ、私はやらないが、場合によっては私が虚偽の申請をすれば国の経費が下りてしまうから、それを防ぐためということだ。逆に先生の通帳は私が持ってるから、水増しはお互い不可能」
ア 「なるほど」
ル 「因みにお前達兄妹の装備品は国に申請して自動的にお前と婆さんの口座から引き落とされてるから、借金は返済してることになってるはずだ」
ア 「・・・・・・足りなかったらどうしよう」
ル 「ヴァース家に限って足りないってことはないだろう。因みにルルはまだ10歳だろ? 口座なんて持てないからルルの分までちょっと多めに入ってるはずだ。ついでに言うとルルは強制的に保険に入ってて、その分の保険料は扶養者、つまりお前の婆さんの給料から天引きされてる」
ア 「ああ、僕たちは元々雇用保険入ってますもんね。でもそういえばさっきの鵜飼いの人たち、子供が別の仕事に憧れを持ったらどうするんですか?」
ル 「そんなことまで責任は持てんが、そこは洗脳だな」
ア 「ははっ(乾いた笑い)」
ル 「っていうかお前、他に就きたい仕事あったのか?」
ア 「・・・・・・無いですけど。むしろ自分で仕事探さなくていいからラッキーって思ってました」
ル 「(これだからエリートは・・・・・・)こんな感じで進めていきます。何かありましたらどうぞ」
ア 「さようなら〜」

  どうも^^ - 翼無き天使 (男性) - 2009年01月02日 (金) 14時10分 [795]   
いやーRPGの経済事情は大変参考になりました(笑)
スライムの目玉が20Gか・・・
ドラゴンの牙とか髭はいくらくらいですか!!


  第10章 1節:第二撃 - 翼無き天使 (男性) - 2008年12月02日 (火) 19時03分 [787]   
   活気溢れるルーマニアの市街地。人や車の喧騒が後を絶たない。陽がもうすぐ落ちて夜になる。
ただでさえ鬱陶しいと思っていたこの騒音は、今はさらに酷くなっていた。サイレンの音も聞こえる。
人々があちこちで騒ぎ立てている。興奮する若い女、パニックになる老人、呆然と立ち尽くす男。
理由はわかっている。その原因をつくったのは紛れもない自分自身なのだから。
 デュートは街中で一際高くそびえ立つビルの屋上で違うビルを、「ビルだった物」を見下ろしていた。
ビルだったその建物は、紅蓮の焔に焼き尽くされ、崩れ落ち、ただの廃墟となった。
どうせ取り壊す予定だった廃ビルだ。建設業者も大助かりだろう。
あの二人も今頃は、焼か圧か、はたまた窒息か。いずれにせよ生きてはいまい。
「探したぜデュート。まったく、行き先くらい言えっての」
背後から声がする。顔に付いた煤をハンカチで拭き取りながらティックが近づいてきた。
「…生きてたか」
デュートはチラッと横目にティックを見ると、再び黒煙を巻き上げる廃墟に視線を戻した。
「あぁ、おかげ様で2000$のジャケットが焦げた。弁償しろよ」
両手を軽く挙げて「やってらんねぇ」といった仕草をした。
「殲滅者は?」
「んだんじゃねぇの?爆発の直前まで俺の目の前にいたし」
やる気のない声で答えた。
「つーか火柱使うなんて聞いてねぇぞ。あんな大技じゃなくても、他にいくらでもやりようがあんだろ」
ジャケットをパタパタ叩きながら憤慨した様子で言う。
「あれはあれで意味がある。グダグダ文句を垂れるな。それに役を求めたのはお前だ」
「役ったってただの足止めだろ?面白くも何ともねぇんだけど」
「そんなことよりティック、次の準備を手伝え」
デュートは屋上のエレベーターに向かって歩き出した。
「…次って?」
ティックが後ろから気怠そうに尋ねる。
「…頭の悪い奴め。殲滅者が2人んだんだ。当然次の殲滅者が来るだろう」
ため息混じりに答えた。
「これだけのことをしたんだ。次は元帥が来るんじゃねぇの?」
「奴らはまだ我々の存在には気づいてない」
「へ〜、そうなの」
「単なる雑魚の組織と思いこんでるんだ。おめでたい奴らめ。だが……元帥の一人くらいは来るかもしれんな」
「お前が言ってたもう一つの計画の方は?」
「それはこっちで片付ける」
「ふ〜ん。オーケー、ただし条件がある」
急に元気を取り戻して明るく振る舞うティック。
「…なんだ」
デュートが怪訝そうな顔でティックを見る。
「次に殲滅者とやり合うときには、魔法陣なんてせこい方法じゃなくて、俺に直でやらせること」
やはり、といった顔でデュートは再びため息をする
「…いいだろう。お前が私の指示通りに動けばな。ただし、元帥とは無闇にやりあうなよ」
ティックがニヤッと笑う。
「もっちろん。愛してるよデュート」
「」


  2節:襲撃 - 翼無き天使 (男性) - 2008年12月02日 (火) 19時04分 [788]   

 頭がボーッとする。
いったい何が起こったんだろう。
天峰と一緒にビルに入り、地下でDICの組織の情報を掴み……。
それから、そうだ、男が来た。不敵な笑み。思わず寒気を感じた。
組織と関係がありそうだから捕まえようとしたんだけど、床に奇妙な光る模様が出来て、それから……。
アルトはガバッと起き上がった。
「ここは……」
WPKOルーマニア支部・医療施設の一室だった。清潔な空間、簡易ベッド、白い毛布。
窓からはすでに夜になっていることが伺い知れた。
「気がつきましたか?」
半開きの扉から入って来たのは支部長のジャン=アマドールだった。
「支部長……」
「まだ混乱しているようですね」
「僕はどうして…、天峰はどこです?」
「彼も無事です。別室で休んでいます。だいぶ無理をなされたようですね」
「あのビルは?僕らが向かった廃ビルはどうなったんですか?」
今まで微笑を崩さなかったジャンの顔が曇る。
「あのビルは、原因不明の大爆発で崩壊しました。ビルの地下から根こそぎ、吹き飛ぶと言うよりは焼失と言った方が近いですが、跡形も残っていません」
魔法陣――。
「僕、そのビルの中にいたんです」
「存じています」
「じゃあどうして…」
「…生きているのか?」
ジャンが引き継ぐ。アルトは頷いた。
「天峰氏が救ったようですよ」
「…でも天峰もあの中にいたんですよ?」
記憶にある限り、天峰はずっとアルトの視界に入っていた。
「詳細はわかりかねますが、とにかく両人ともご無事で何よりでした」
どうも、といってアルトは黙り込んだ。記憶の端を辿ってみる。
「それにしても」
ジャンは続ける。
「殲滅者の方の治癒能力には目を見張るばかりです。あの大爆発の中にいたのですから当然ですが、2人とも火傷が少々酷かったのです」
アルトは自分の腕を見る。確かに火傷の後が残ってるが、だいぶ回復していた。この分だと1週間ほどで傷跡も消えるだろう。
「薬と化学治療を併用するとさらに治りが早いようですね。常識では考えられない早さで回復しています」
「はい、僕も驚いてます」
「え?」
ジャンは少し驚いたような顔をした。
「あぁ、アルトさんはまだ殲滅者になりたてなのでしたね。失念していました」
「はい。傷の治りが早いのは知ってましたけど、何がどうなってとかいう詳しいことはよくわからないんです」
「そうですか。私が殲滅者の方に言うのもおこがましいことですが、この治癒能力の過信は禁物ですよ」
ジャンは警告するような口調で言う。
「これは細胞の回復というより、細胞の再生と言えます」
「…というと?」
「つまり、傷ついた細胞を修復するのではなく、廃棄して新たな細胞を急速な細胞分裂によって再構築しているのです」
「なるほど」
「しかし、人間の一生の細胞分裂回数は個人差はあれ決まっています。それを早めるあなた方の回復は、実質寿命を縮めているのと同じ事なのです」
「つまり、怪我をした分だけ残り寿命が少なくなるってことですね」
「はい。それに、お気づきでしょうが、その治癒活動は体が安静な状態でないと始まりません。つまり戦闘中には治癒できないのです。戦いの最中に立て続けに傷を負えば、当然死に至ります」
「気をつけます」
「天峰氏の様子を見てきましょう」
それでは、といってジャンは部屋を出ようとする。
「あの、あれからどのくらい経ったんですか?」
「あれから1日と経っていません」
「1日も…?」
「はい。爆発が起きたのは正午を少し回った頃です。今ちょうど深夜になるところですから」
あれから1日も経ってないのか。
「…本部と連絡を取りたいんですけど」
いろいろ厄介なことになってるようだ。DICの組織、デュート、罠、そしてあの男。
結局ここにいるDICはまだ殲滅できていない。
組織の狙いはわかった。アルトたち殲滅者だ。そして組織をデュートと、おそらくあの男が操作している。
それにしても、デュートとあの男の正体はまだわからないが、DICの側からWPKOに攻撃を仕掛けてくるなんて。
アルトはそのようなことはアデルからも聞いたことがなかったが、考えてみればごく自然な話だ。
DICを邪魔する存在はアルトたち殲滅者を除いて他にいないのだから。殲滅者さえいなければもう世界はDICのものだ。
知能が発達したDICも当然そこに気付くだろう。そしてこの事件のDICは知ってしまったのだ。「組織の強さ」というものを。
アルトはゾッとした。
世界中のDICがお互いの存在を認識し合い、殲滅者という共通の敵を倒すために結託して、組織にまとまってしまったら、この世界はどうなるのだろう。
DICの軍団。
そして、もうその事態は起き始めているのではないかという不安を、アルトは心の底で感じていた。
「この部屋に電話は置いてないので、失礼ですが管理室まで来ていただけますか?」
「わかりました」
アルトはベッドから降りて立つ。
「その必要はない」
天峰が部屋に入ってきた。
「本部長には俺がもう報告した」
「体の方はもう大丈夫なんですか?」
ジャンが尋ねる。
「問題ない。世話になったな」
「とんでもない。これでも医者の端くれですので」
「…外してもらえるか?」
「わかりました。また何か用事がありましたらお呼び下さい」
「ああ」
「失礼します」
ジャンが扉を閉めて出て行った。
足音が聞こえなくなったところで天峰が素っ気なく話し出す。
「本部長から任務中止命令が出た」
予期しない言葉に一瞬絶句するアルト。
「任務中止!?いったいどういうことですか!?」
「この任務は上層部に委託される」
「上層部ってまさか…」
「総本部元帥だ」
元帥が動く。
「……そこまで事が大きいんですか?」
「ああ、どうやら総本部の極秘案件に噛んでるらしい」
「極秘案件って、なんですか?」
「俺が知るわけないだろ」
「…ですよね」
「だが、ビルにいた奴らが関わっている可能性は高いな」
アルトが思い出したように言う。
「そういえば本部長が言ってました。今回の事件は妙だって。それと罠の可能性があるとも」
「さっき聞いた。現に罠だったしな。DICの組織は殲滅者を誘き寄せる餌だ。総本部の極秘案件に絡んでるのはほぼ間違いなくデュート、そしてあの男だ」
不敵な笑み、深紅の瞳のあの若い男。
「何者なんですかね」
「わからん。ただのDICである可能性もあるし、そうでない可能性もある。だいたい、あの爆発で奴の生死も不明だ」
「どうやって脱出したんですか?」
「どうもこうもない。普通に逃げた。爆発の衝撃で気絶したお前を担いでな」
普通に?あそこは地下の4階だ。間に合うわけがないがないのだが、今はそれどころではないと浮かんだ疑問を打ち消した。
「助けてくれて、ありがとうございました」
「…死亡報告書の作成手続きが面倒だからな」
「ははは」
天峰はしばし考え込んだように黙る。
「……あの魔法陣とかいう攻撃、ただのDICにしては強大すぎる」
「そうですね」
「それに本部長の反応も気になる」
「というと?」
「本部長が任務中止を言い出したのは、俺が魔法陣という攻撃を受けたと報告した直後だ」
「……これからどうするんです?」
「必要なことは全て報告した。本部に引き上げる」
「任務を途中で投げ出すんですか?」
「そういう命令だ。それに元帥が引き継ぐんだ。何も問題はない」
「それは、そうですけど……」
アルトは項垂れた。
「準備しろ。明朝立つ」
はい、と返事しようとした時だった。
「!!」
アルトは急に頭を上げて窓の方を見る。
「……?」
天峰が怪訝そうな顔でアルトを見た。そして扉が突然すごい勢いで開く。
入ってきたのはジャンだった。表情は強ばり、顔面蒼白になっている。
「DICの襲撃です!」
「場所は?」
天峰が極めて冷静に聞く。
「ここですよ」
アルトが代わって答えた。
「ダークマターを感じます」
「DICが直接ここに…?」
「天峰」
アルトは天峰に呼びかける。
「帰る準備、しますか?」
「…いや、戦闘準備だ」


  3節:戦闘開始 - 翼無き天使 (男性) - 2008年12月02日 (火) 19時07分 [789]   
 ルーマニア駅。
「あ〜、やっと着いた」
マイヤは伸びをして夜の冷たい外気を肺に取り込む。列車が汽笛を鳴らして去って行った。
「もう真夜中じゃない」
人気のない駅を見渡して呟く。
ここから支部のあるブカレストまでは車で飛ばしても1時間以上かかる。歩くなんて論外だ。
マイヤは迎えの車をよこしてもらうために駅の公衆電話で支部に電話した。
呼び出し音が10回。人が出ない。
「おかしいな〜。居眠りでもしてるのかしら」
電話を切ろうかと思ったときだった。電話が繋がった。
「…もしもし?」
WPKOルーマニア支部です。普通の受付ならこう言うはずだった。しかし電話に出た声は全く違うセリフを叫んだ。
「助けてくれ!!DICが……!!」
何かが潰れる音。そして沈黙。
「もしもし!?ちょっと!どうしたのよ!?ねぇ!!」
返事はない。マイヤは受話器を戻した。
躊躇している時間はなかった。導き出された結論は一つ。
ルーマニア支部がDICの襲撃を受けている。
「あぁもう!いったいどうなってんの!?」
マイヤは駅を飛び出した。
「アルトと総くんは何やってんのよ…!」
走って行ったのではとても間に合わない。どこかで移動手段を確保しなくては。
辺りを見渡すが、あいにくタクシーはどこにもいなかった。
「どうしよう…。こんな時間じゃバスもないし…」
思案に暮れていたマイヤに1台の車がクラクションを鳴らして近づいてきた。
「ねぇねぇ、こんな夜中に何してんの?」
夜でも映える真っ赤なオープンタイプのスポーツカー。若い男が乗っていた。ニヤニヤ笑いながらマイヤに話しかける。
こんな時にこんなチンピラに付き合っている暇はない。たとえ暇でも付き合ってる暇はない。
無視して去ろうと思ったが、思い直して男の方へ向き直った。
「この車、貸してくれない?」
「わお、よく見たら超美人じゃん!どこ行くの?送ってあげるよ」
「これから私が行くところはとっても危険なの。だから車を貸してくれるだけでいいわ」
「おいおい、馬鹿言うなよお姉ちゃん。いいから乗れって。危険なら一人で行かない方がいいだろ?」
マイヤは大きくため息をついた。
「危険だから、あんたみたいな足手まといがいると困るの。さっさと車を降りなさい」
男の眉間がピクッと動く。
「あぁ?てめぇ何様のつもりだ」
さっきとは態度が一変した。男は車から降りたものの、今度はマイヤに突っかかってきた。
ドアをバタンと閉めてマイヤに詰め寄る。
「俺が足手まといだと?このアマ。偉そうに命令なんかしやがって」
「あんたみたいな弱い男について来られると、逆に迷惑なのよ」
「てめぇ!調子に乗んなよ!?」
今度は懐からナイフをちらつかせ始めた。
「わかった、もういいわ」
マイヤはWPKOの手帳を取り出して男の鼻先に突き付けた。
「WPKO殲滅部門の非常事態特権を行使し、世界秩序のため、あなたの車を徴集します。なおあなたがこれに抵抗した場合、私はあなたを任務遂行妨害と見なし最大3ヶ月間、拘束または監禁する権利を得ますので、くれぐれも抵抗することのないように」
男は何が何だかわかんないという顔だ。
「WPKO?何わけわかんねぇこと言ってやがる。いいか?今度俺になめた口ききやがったら――……」
男の目の前をキラッと光る一筋の閃光が流れたかと思ったら、持っていたナイフの上半分がスッパリと斬れ落ちた。カランと乾いた音が響く。
男は目を丸くしてポロリと地面に落ちたナイフの欠片を見つめた。
マイヤはにっこり笑う。右の人差し指の先には鋭利な水のカッターが出来上がっている。
その指をそのまま口先に持っていき、沈黙を命令した。
「……――いったいどうなるのかしら?」
男はその場で凍り付いて動かなかった。
「キーを出して」
マイヤの言葉に男は我に返ったようになって動き出し、ポケットからキーを出してマイヤに渡した。
「ありがと。朝になればバスが来るんでしょ?それに乗って帰ってちょうだい。それと、この件は誰にも口外しないこと。いいわね?」
男は黙ってひたすら頷く。
マイヤは車に乗り込みエンジンを掛けた。発進しようとしたが、不意に男の方を向いて言った。
「言い忘れてたけど、私、弱い男って嫌いなの」
マイヤが髪をなびかせながら遠く去ってから、男はその場に座り込み、ただただ呆然とするばかりだった。

「襲撃を受けているのは支部のどこだ?」
駆け足で階段を降りながら天峰がジャンに尋ねる。エレーベーターは追い詰められる危険が高い。
「奴らは正面入り口から突入してきて、この棟の1階、2階はすでに壊滅状態です」
「数はどのくらいですか?」
「連絡によると20体はいるようです」
「20!?」
組織は多くて30体だと見込んでいた。そのほとんどがここに?
「支部長、あんたは安全な場所に避難しろ」
「しかし…!」
「あんたは戦闘に関しては無力だ。何も出来はしない」
「…わかりました。私は施設内の人間を連れて避難を開始します」
「でも下にはDICが…」
「7階の渡り廊下から別棟に移動できます。そこはまだDICに襲われていませんし、そこなら地下シェルターがあります」
「では出来るだけ多くの人を避難させてください」
「はい。あなた方もどうかご無事で」
医療施設は支部の10階。現在地は7階。ジャンと別れてアルトと天峰だけになった。
「それで、どうしますか?」
「決まってる。敵は消す。それだけだ」
『エターナル・フォース、発動』
アルトの右手には“デスペナルティ”、天峰の左手には“千鳥一文字”が現れた。
「征くぞ」
「はい」

「本部長!たった今ルーマニア支部から連絡が入って、DICの襲撃を受けているそうです」
アーヴィンが司令室に駆け込んでくる。
「アルトくんと天峰くんはまだそこにいるの?」
「みたいです」
「元帥は?」
「消息不明のアデル=キースロード元帥を除けば、一番近いのはミテラッド=カスパー元帥かオリヴィエ=ローゼン元帥ですけど、どちらも早くて1日かかります。」
このままでは明日にはルーマニア支部は無人の廃墟となる。
「向こうとの通信状況は?」
「ついさっき通信室がやられたみたいで、現在は全く連絡が取れていません」
ライアンは黙り込む。
「…本部長、どうしますか?」
「アルトくんたちはまだ支部にいるんだね?」
「そうです」
「…なら、彼らに任せよう」
「しかし本部長…!」
アーヴィンはさらに一歩詰め寄る。
「この事件には『ジハード』が関わっていることが明らかになったんです!あの2人が留まるのは危険です!」
ライアンは答えない。
「しかも『魔法陣』!10年前の『あの事件』と同じだ!本部長はずっと薄々気づいてたんじゃないですか?この事件には『ジハード』が関わってるって」
「……どっちにしろ、今は連絡が取れない。それに、この状況じゃあの二人に逃げろと言っても逃げはしないさ。そういう子たちだ」
「…そうですね。両元帥に至急ブカレストに向かってもらうように要請してきます」
「ああ。よろしく頼むよ」
アーヴィンは司令室を出て行った。
ライアンは静まり返った部屋の中で、拳を握りしめた。
「どうか、無事でいてくれ……」

「…これ、どう思います?」
アルトが天峰に尋ねる。
「最初から狙いは俺たちだったらしいな。好都合だ」
5階のメインフロア。そこにいるのはアルト、天峰、そして擬態を解き放ったDICの群れだった。
「2対20でやるにしては少し狭いな。ここを出るぞ。外に広い敷地があった」
天峰が周囲を見渡しながら言う。
「でも下に行く階段もエレベーターも奴らの向こうですよ?」
「ここは5階だな?」
天峰が確認するように言う。
「そうですけど」
「窓から飛べ」
至極当然のように言い放った。
「…下手したら脚が折れますよ?」
「折れても戦え。お前、銃なんだから問題ないだろ」
「大ありですよ!」
そこへDICが口を挟む。
「おいてめぇら!なにゴチャゴチャしゃべってんだよ!俺たちゃてめぇらをとっとと始末して、上にいる人間どもを食い尽くしてぇんだよ!」
天峰が大きなため息をつく。
「雑魚風情が、俺に気安く話しかけるな。反吐が出る。消してやるから、さっさと来い」
「野郎ども!ぶち殺せ!!」
アルトと天峰はガラスを突き破って飛び降りた。
決して語られることない歴史の中に記される「ブカレスト事件」。
その最終舞台が今、始まった。


  10章だよーーー - 翼無き天使 (男性) - 2008年12月02日 (火) 19時28分 [790]   
え〜最近めっきり寒くなって、冬服を買いに行きたくなる季節になりました(笑
持ってねーんかい!と聞かれれば、持ってない!と打てば響くように答えられます。
買いに行けっつー話ですよね。
明日買いに行きますとも!

さてさて、前置きが長くなりましたが第10章です。
では、また次回(短か!)

  ぬはぁ - ベールゼブブ (男性) - 2008年12月07日 (日) 12時01分 [791]   
出た名シーン^^;
なんとなくマイヤさんのファンだったりします。
なんつーか・・・同じ事してみたい・・・的な。
弟子にしてください!!

冬服ぐらい大丈夫です!基本屋内が暑いぐらいなので私春服でも耐えられます!!以上!!







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