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ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジー小説投稿掲示板


ここは小説投稿掲示板だ。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーまたはその他(アニメ、ドラマ)などでも、楽しそうな小説やストーリー、
詩、日記などがあったらとにかく書き込もう。
他人が見ておもしろいと思った内容、自分が思いついた内容があったら、とにかくどんどん投稿してみてくれい。

(注)最近ここをチャット代わりに使われている方がたくさんいます。
チャット代わりに使われますと、せっかく一生懸命小説等を書いた方の内容がすぐに流れて見れなくなってしまいます。
ここは小説やストーリー、詩、日記などを書くところですので、チャットはこちらにてお願いいたします。

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  ハロウィン企画 - ベールゼブブ (男性) - 2008年10月01日 (水) 20時16分 [766]   
   私がこの家に来て何年になるだろうか。もう500年経ったのではと思うほどあまりに多くのことが起きた気がする。
 ことの発端はドイツ皇帝を占ってさしあげたときに
「特に何のトラブルもなくすごせるでしょう」
 と申し上げた矢先に皇帝の大事な皿が割れてしまい、監獄に押し込まれてしまい、皇帝が代わって恩赦が払われたと思ったら追放されたことによる。ああ納得いかない。別に皿が割れたことぐらい大したトラブルでもないだろうに、投獄ましてや追放か。どこまで気が短いんだうちの皇帝は。
 申し遅れたが私はウルスラ・フリードリヒ。元ドイツ帝国皇室専属占い師、今はシュトラウス侯爵家のもとで居候をしながら占い師の仕事に励んでいる。というのも、城を追い出されて途方に暮れている私の側を馬に乗って通りかかり、うちに住み込みで働きなさいと言われ、口車に乗せられて(?)のこのこと付いていってしまったのである。
 今思えばこれが全ての間違いだった。常識の通用しないこの家で常識を語るのは野暮というものだが、常識的に考えたらここで丁重にお断りするべきであったろう。
 とにかく侯爵家についた我々は馬から降り、私は侯爵に付いて屋敷に歩いていった。白壁が太陽の光を反射し、眩しい。窓はほとんどがステンドグラスなのだが、描かれているのが蝙蝠だったり蛇だったり雷だったり、果ては蝿だったりするのがどうも頂けない。
 なんていうか・・・清潔感を出したいのか出したくないのかよく分からない屋敷だと思った。とりあえず侯爵について入らなければならない。私はとりあえず屋敷に入っていったわけだが、どういうわけか侯爵のお姿が見えない。50メートルも離れていなかったはずだが。私が不審に思いながらエントランスを見渡していると、ふと二階の廊下に二つ結びの女の子がじっとこちらを見下ろしていた。白く華奢な体に纏った黒い服に、白いレース。きっと侯爵のお嬢さんだと思った私は軽く会釈をした。彼女は何も言うことなく、私から見て右の方に歩き出した。
 そのときである。彼女の足下が大きな音をたてて崩れ、哀れ少女は甲高い悲鳴とともに落ちていった。
 「大丈夫ですか!?」
 私は慌てて駆け寄った。だがあるのは瓦礫の山。その間から生えた透き通るような白い腕は、もう二度と動くことはないだろう。だが私は瓦礫をどけようとし、その手をふと見た。
 ・・・あれ? 本当に透き通ってる・・・?
 すると少女は瓦礫の山をすり抜けて立ち上がり、呟いた。
「あたし・・・飛べたんだっけ・・・」
 そういって少女はすうっと宙に浮かび、そのまま二階の通路を通っていった。
 私は頭が混乱した。何が何だか分からないでいると、侯爵が黒髪の美女を連れて戻ってきた。侯爵は瓦礫の山を見るや、
「大丈夫か、フリードリヒ殿!?」
 と走ってきた。
「あ、あの、侯爵閣下! 今女の子が落ちて通り抜けて透明で浮いて・・・!」
 こんな支離滅裂な言葉でも、侯爵には通じたようだった。
「またあいつか! 何度言っても分からんな!」
 と上を睨んだ。
 あいつ・・・?
 私が首を捻っていると、女性が声をかけてきた。
「ご機嫌あそばせ、フリードリヒ様。主人からお話は伺っておりますわ。お部屋にご案内いたします。どうぞ、こちらへ」
 私はご夫人の後を、未だ上を睨んでいる侯爵を後にして歩いていった。

 歩きながら私はふと、夫人に声をかけた。
「あの・・・さっき侯爵の仰ってたあいつって・・・?」
「申し遅れました。私、アルフレートの妻でクラウディアと申します」
「あ、はい。ご丁寧にありがとうございます。で、あいつって?」
「今日はお疲れのご様子。ゆっくりとお休み下さいオホホホホ」
 ・・・喋る気0か。
 ふと向こうから足音が聞こえたので見てみると、十歳ぐらいの少年が両手に何かを大事そうに持って走って来ていた。
「母様、母様! 見て見て! こんな大きい蝿捕まえたんだよ!!」
 その時、少年の顔から何かが落ちた音がした。ふと床を見ると・・・
 ・・・どう見ても目玉だった。
 すると夫人はいきなり少年の腕を掴み、右側の部屋に押し込んで落ちた物を後ろ手に隠しながら息を切らせ、
「なんでもありませんわ、フリードリヒ様」
 うそつけぇぇぇぇええええぇえぇぇ!!!
「あの・・・今目玉が・・・!」
「私は何も見てません聞いてません存じ上げません!! きっとお疲れなのですわ! フリードリヒ様のお部屋はこちらです。ごゆっくりどうぞ!」
 私は左側の部屋に押し込められた。バタンと扉が閉められ、私は暫く立ちつくしていた。そっと耳をそばだてると、夫人と少年の声が聞こえる。
「ハインっ!! お部屋にいなさいって言ったでしょ!!」
「でも母様〜・・・」
「ああもう! ここのところ腐ってるじゃない!! 来なさい! 油塗ってあげるから!」
 腐ってる? 何が? 性根が?
 ああ、さっき落としたのは飴玉かあ。ってことは腐ってるのは飴玉・・・
 すみません。どう考えても無理がありました。

  因みに題名は「魔術日記」 - ベールゼブブ (男性) - 2008年10月01日 (水) 21時27分 [767]   
 あれこれ混乱していると、侯爵が入ってきた。
「やあフリードリヒ殿。色々大変だったそうだが、大丈夫かね?」
 私は侯爵にすがるように飛びついた。
「侯爵!! いや、すみません。何か色々と幻覚が・・・。私疲れてるんでしょうか?」
「気にすることはない。きっと皇帝に国を追い出されたショックで見えない物が見えてしまっているんだろう」
 それ、すでに末期じゃないすかね?
 するといきなり侯爵は私の体を反転させた。
「よく見れば女のように綺麗な肌だな」
 ・・・は?
 侯爵は首筋に当てた手を下に滑らせ・・・・
 って ええええええ!? 侯爵そういうシュミぃぃいいいぃぃ!?
「何も考えるな。ただ身を任せればいい・・・」
 いや・・・そんな甘い声で囁かれたら・・・その気になっちゃうじゃないですか・・・。
「お前も仲間にしてやろう」
 ・・・やめてくださいよ・・・そんな・・・・
「本当はもう少し若い子がいいのだが・・・仕方あるまい」
 あの、侯爵・・・私(当時)まだ25・・・・。
「さあ、目を閉じろ・・・」
 私は侯爵にもたれかかり、首を傾け、ふとそれが目に入った。
「どわああああああっ!!」
「おぶうっ!!」
 勢い余って私は侯爵に肘鉄を食らわせてしまった。
「何をする! フリードリヒ殿!!」
「それはこちらの科白でしょうが!! 侯爵、どうして鏡に映らないんですか!?」
 侯爵は静かにため息をつき、
「もうこれ以上はごまかせないな」
 と、大きく手を叩いた。すると、夫人と少年、更には浮遊した少女までもが部屋に入ってきた。
「実はだな、フリードリヒ殿。私たちは本当の家族ではないのだよ」
「はあ・・・。で?」
 一瞬時間が止まった。
「で?・・・とは?」
「いやいやいやいや」
 私は左手で顔を支えながら右手をバタバタ振った。
「いや、鏡に映らない理由に家族がどうとか関係無いでしょうよ! 何適当なこと言ってお茶を濁そうとしているんですか!!?」
「冗談だよ、冗談」
 侯爵は朗らかに笑いながら手を振った。
「だが、知ってしまったからにはこの家から出られないと思いたまえ」
 うっ・・・そう来たか・・・。
「じゃあいいです。このまま帰ります。短い間でしたがお世話になりました」
「どこに?」
 う
「忘れないでほしいね。国を追い出された君を拾ってあげたのだよ?帰る場所なんてないよねえ?」
 ぐっ・・・
「別にこちらは構わないんだよ?」
 このやろ・・・脅迫か・・・っ!
「それじゃよろしくお願いしますっ!!」
 私はただ心で泣きながらそう請うしかなかったのであった。

「改めて紹介しよう。私は吸血鬼(ヴァンピール)のアルフレート・シュトラウス。妻役の蛇女、クラウディアに、息子代わりのゾンビ、ハインリッヒ。そして娘役の幽霊(ガスト)カタリナだ」
 吸血鬼?蛇女?ゾンビ?幽霊?・・・吸血鬼!?
「あの〜・・・ちょっとよろしいでしょうか?」
「なんだね?」
「侯爵閣下、普通に太陽の下を闊歩なさってたじゃないですか。それに普通に教会に入って寄付なさってましたし・・・。吸血鬼ってそういったものが苦手なんじゃないですか?」
 侯爵ははっはと笑った。
「あんなのは知ったかぶりクリスチャンの妄想に過ぎん。元々敬虔なクリスチャンだったのだから十字架だって平気に決まっている」
 はあ・・・そういうもんですか・・・。
「それより、カタリナ」
 ふと、侯爵が幽霊の少女にやや怒声を浴びせる。
「また床を壊したのか! あれほどするなと言っておいただろう!!」
「ごめんなさい・・・。でも死ぬかと思ったわ」
 いや、すでに死んでるって。
「全く・・・、もう二度と・・・いや、もう二度は終わったな。これ以上家を壊すなよ」
「はい・・・。私・・・もう死にたい」
 だから! 隣のお兄ちゃん共々もう死んでるから!!
「もう死んでるでしょ? 馬鹿なこと言ってないで戻りなさい。ハインも!」
 ナイスクラウディア夫人!!
「ちぇ〜。もっと色々聞きたかったのに」
 夫人と子供達はそのまま部屋を出ていった。
「ところで」
 私は続いて出ていこうとする侯爵を呼び止めた。
「侯爵は私の血を吸おうとしてたんですよね?」
「そうだが、他に何をされると思ったのかね?」
 その嫌な笑み・・・。分かってて言っとらっせるな・・・。銀の弾丸を持ってこようか。
「まあ、私は両刀使いだから男でも構わないんだがね。期待に添えなくて申し訳ない」
 ・・・心臓杭で刺してもいいですか?
「ああそうだ」
 去り際に侯爵が仰った。
「君さえ良ければ愛人役なんてどうかね?」
「一生、死んでもお断りします」
 廊下中を大きな笑い声が響いた。
 エラいところに来てしまったっ!!

  ぼへ - ベールゼブブ (男性) - 2008年10月01日 (水) 21時28分 [768]   
もうこのネタは出版できんな^^;

えっと、ハロウィンが近いのでゴシックネタっぽいのを一つ。
や、もう・・・同時掲載がこんなネタでやや申し訳ない・・・。

では気を取り直してレス返し

>天使様
オヒサです〜^^/元気してた〜?

活動はなんとかがんばりたいところですがどうかな〜・・・。忙しいからな〜・・・。

なんかテンション下がってきたのでこの辺で^^;
では☆

  また新しいのが^^ - 翼無き天使 (男性) - 2008年10月11日 (土) 00時46分 [769]   
いやはや、ハロウィンですか。ハロウィンっていつだっけ^^;?
なんかもう終わってしまっている気が・・・。

化け物と幽霊の疑似家族、その目的が気になるところです。
しかし文字通り、とんでもないところに逝って(笑)しましましたね^^


  RAGNAROK - 翼無き天使 (男性) - 2008年10月01日 (水) 00時41分 [763]   
  人は、死後にその人生の行いについて神に裁かれる。最後の審判。
善いことを行った人生なら天国に行けるし、悪い行いをすれば地獄へ堕とされる。
しかし“出生の経緯”によっては、地獄行きが生まれながらに決まっている者もいる。
そんな者の一人が彼、ヴィンセント=トライガン。
彼は地獄行きがすでに決定しているらしい。しかし彼は天国に行きたかった。
「地獄?冗談じゃねぇ。なんでぶっ殺した奴がいるところに俺も逝かなきゃなんねぇんだ」
彼は吐き捨てるように言う。
「俺は天国に逝くぜ。神様とやらが俺に頭が上がんねぇくれぇ、悪魔どもをぶっ殺してな」
彼はデビルハンターとして世界を朱で染め上げる。紅く、紅く、悪魔の血で。


Report1:10月11日
夏の暑さも消え去り、少し肌寒くなってきた10月の夜。今夜は満月だった。
満月の夜は魔の力が高まる。今夜の獲物は少し手強いかもしれない。しかし彼に恐怖は微塵もなかった。むしろ愉快なことこの上ない。
口に笑みすら浮かべ、彼は悪夢を担いで目的地に向かった。
「今夜は本当にいい夜だな」
見上げればそこには丸い月。見る者を魅了するほど美しいが、自分一人では輝けない。まるで彼の悪夢のよう。
「そう思うだろ?なぁ、ナイトメア」

今は誰も使わなくなった廃工場。その中で男達の下品な笑い声が響く。
「今日も上玉が手に入ったなぁ」
男の一人がニタついた声で手足を縛られた女を見下ろす。女は恐怖に凍り付いた目をしている。
「まだ手を出すなよ。お楽しみは身代金をいただいてからだ」
「あぁ、わかってるさ。待ってろよ、金をいただいたらたっぷりかわいがってやるぜ」
――ガコーン
工場の扉が突如開いた。
「誰だ!?」
コツン、コツン
月明かりに照らされた闇夜から現れたのは、身の丈ほどもある長大な剣を背中に担いだ彼だった。
「なんだてめぇ」
男達は銃を引き抜いて向ける。彼は、銃を向けられるとその場で止まり、辺りを見まわした。
「なんなんだこいつ、警察か?でけぇ剣なんかぶら下げやがって」
彼は胸ポケットに手を入れてタバコを取り出す。指をパチンと鳴らすと、タバコの先端にボッと火が点いた。
「ご機嫌麗しゅう。悪魔のみなさん」
男達の眉がピクッと動く。
「『な、何言ってんだお前!俺たちは善良な一般市民だぜ?あははは』とか不思議な言い訳は勘弁願うぜ。やる気がなくなる」
彼はタバコを一息吸って吐き出す。
「調べはとっくについてるんだ。お前らは今世間を賑わせてる連続誘拐殺人犯。女ばかりを拉致って金もらって殺すっつうなかなかの小悪党集団だ。うまく人間っぽく殺し回ってたみたいだが、わかる奴にはわかるもんなんだよ」
「てめぇ、教会の連中か?」
「残念はずれ。あいにくキリスト教は信じてない。それに、神なんてろくな奴じゃねぇぜ」
もう一度タバコを吸い、溜息も込めて大きく吐く。
「俺はデビルハンターだ。お前らは悪魔、俺はデビルハンター。よって、これから愉しい愉しいショーの始まりってわけだ。Okay?」
「は、ははははは!そうか、デビルハンターか。それでそのデビルハンターはどんなおもしろいショーを俺たちに見せてくれるんだ?」
そう言うと誘拐犯たちは“本来の姿”に戻った。おぞましく化け物じみた悪魔の姿に。その光景に女は悲鳴を上げた。しかし口を塞がれていて、それは声にならなかった。
「げひひ、せいぜい楽しませてくれるんだろうな」
「お前もミンチ肉にしてやるぜ」
彼は短くなったタバコを指でピンと弾き飛ばす。
「楽しいかどうかは、お前らしだいさ」
右手で肩にかかる長剣を掴む。クルクルとタバコは回転しながら宙を舞い、地面に落ちた。
「Show Time!」

今日は人生で最もついてない日だと断言できる。彼女はそう思った。
学校の帰り道、突然後ろから羽交い締めにされ、変な匂いのする布を顔に押しつけられた。そしたらどんどん意識が遠のいていって、気が付いたらこの工場にいた。
誘拐されたんだ。彼女は気付いた。犯人の男達は全部で8人。みんないやらしい目つきで彼女を見ている。
きっとこの男達が今騒ぎになっている連続誘拐殺人犯なんだ。きっと自分も殺されてしまうんだろう。そんな結末が目に見えた。
そんな時だった。一人の男が工場にいきなり入ってきたのは。
大きな剣を背に持って、何の怖れもない顔で悠然と足を進めてきた。闇夜のように真っ黒な髪。血のように紅い瞳。
自らをデビルハンターと名乗る彼は言う。彼女を誘拐したのは“悪魔”であると。
彼の言葉に誘拐犯たちのニタニタ笑いが消えた。そしてその後の光景に、彼女は気が狂いそうになった。
誘拐犯たちが化け物に変わったのだ。何にも形容しがたい、この世のものとは思えない化け物。これが悪魔なのか。
一人の男と8体の悪魔が対峙する。悪魔たちが一斉に彼に襲いかかった。
死ぬ。彼は死ぬ。彼女はそう思って目を瞑った。
きっとあの鋭い爪で、牙で、ボロ雑巾のようにズタズタに引き裂かれて、血液を、肉を、臓物を撒き散らし、無惨な姿で地面に投げ捨てられるんだ。
ほら、悲鳴が聞こえる。液体の飛び散る音。何かがグシャッと地面に落ちる。きっと腕とか脚だ。
また悲鳴。何かが空を斬る音。血が飛び散る。肢体が落ちる。悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴――。
体が震える。もう何が怖いのかわからない。死ぬのが怖いのか。あの男が殺されるのが怖いのか。血が怖いのか。千切れた手足が怖いのか。無惨な肉塊が脳裏に焼き付くのが怖いのか。飛び散った脳髄が怖いのか。潰れた目玉が怖いのか。
クラクラする。目を閉じた暗い世界がもっと深い闇になる。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ」
頬をペシペシ叩かれる。
「ん…」
彼女は失いかけていた意識を踏み留めて目を開けた。
視界にあの男が入る。生きている。なぜ。だってあんなに悲鳴を上げていたのに。
男の向こうへと視線を送ると、そこには悪魔と呼ばれていたものの残骸が転がっていた。
ある肉塊は頭から股まで裂かれ、ある肉塊は左肩から右脇腹まで斬られ、ある肉塊は上半身と下半身が離れ、ある肉塊は五体を飛ばされ、ある肉塊は細切れにされ、ある肉塊は魚のように三枚におろされ、ある肉塊は頭から足まで等間隔でスライスされ、ある肉塊は腹部に大穴とあの長剣を心臓に突き立てられて、文字通り血の海の中に浮かんでいた。
「外傷はなさそうだが、ケガはないか?」
そう言いながら彼は口を塞いでいるガムテープを剥がし、手足を縛っているロープを解いた。
「あなた……いったい」
男は立ち上がり、ポケットから携帯電話を取り出した。
「…あぁ俺だ。目標殲滅完了。人質の女も無事だ。もう入ってきて大丈夫だぜ」
そんなことを口にするとすぐに複数人の足音が聞こえてきた。
新たに工場に入ってきたのは、彼女の両親と数人の警官だった。母親が血の気の失せた真っ青な顔で彼女の所に駆け寄る。
父親は目に飛び込んだ惨状に呆然としていた。
「あぁ!よかった!本当に無事でよかった!」
母親は涙を流しながら彼女に抱きつく。
彼は、親子感動の再会もどこ吹く風で、とっとと工場から去ろうとする。彼女は彼を呼び留めた。
「あの、助けてくれて、ありがとうございました」
深々と頭を下げる。
「礼を言われる筋合いはないぜ。俺は依頼をこなしただけだ。礼を言うなら、高い金払って俺を雇ったあんたの親に言うんだな」
そう言うと彼はまた歩き出す。
「お、おいあんた!」
今度は警官の一人が引き留める。状況を説明してくれといった顔をしている。
「見たとおり、アレは人外のものだ。死体も血も放っときゃ消える。後始末は任せたぜ」
警官の肩をポンと叩いて、彼は去っていく。警官は彼の背中越しに尋ねた。
「あんた、いったい何者なんだ」
彼が右手を地面に水平にあげる。すると悪魔に突き刺さっていた長剣が悪魔の肉塊から抜けて、彼の手にスッと収まるように飛んでいった。
工場にいる人はみんなマジックでも見ているかように唖然とその光景を見つめている。
「俺はヴィンセント=トライガン。デビルハンターだ」
主人に付き従う執事のように実しやかに飛んできたその剣を掴むと、それを背中にかけ、彼は工場を去った。

コツン、コツン、コツン――



  久しぶりだな〜 - 翼無き天使 (男性) - 2008年10月01日 (水) 00時57分 [764]   
何ヶ月ぶりだろ、投稿するの^^;
気紛れでなんとなくその場の勢いで書きました^^;
なんかデビルハンターを営む主人公が、天国に行くために悪魔をやっつける的な極めて曖昧な設定・・・
グダグダだ〜orz

  うをw - ベールゼブブ (男性) - 2008年10月01日 (水) 18時24分 [765]   
新作ですな。設定が興味深いです。私オカルティスト見習いで魔術師見習いなもんでww(タロットカード1セット持ってます。)
これから新主人公がどんな活躍を遂げるか期待してますよ〜(プレッシャー)

悪魔といえばもうすぐハロウィンですね。お店に行くと必ずジャック・オ・ランタンとか魔女の飾りが目を引きます。
ああ、一度は着てみたい黒マント・・・。

それでは☆


  太陽の妹・月の姉 - ベールゼブブ (男性) - 2008年08月17日 (日) 21時55分 [760]   
   ルークらは女性の話を聞くため、家まで行くことにした。
小さな家だ。だが木目調の壁や家具は温かみがある。
短髪でそこそこ美人の女・・・ルイーズはそっと茶を煎れ、客に差し出した。
「突然悪かったわね。お詫びと言ってはなんだけど、今日はここで泊まって」
「はあ・・・どうも」
 ルークはテーブルについたままゆっくりと頭を下げた。
「で、薬って? 何の?」
 アーサーはカップの茶をすすりながら尋ねた。
「実はね・・・」
 ルイーズが話しかけた途端、別の女性の声が聞こえた。
「あら、お客さん?」
 その場にいた全員が、声のする方を向いた。ルイーズと全くよく似た顔の、美しい長髪の女性は、タオルケットを肩にかけ、開いたドアの横にもたれかかりながらも、ゆっくりとお辞儀をした。
「いらっしゃい。何もないところですけど、ゆっくりしていってください」
「お姉ちゃん!!」
 不意にルイーズが立ち上がった。
「寝てなきゃダメじゃない! お姉ちゃん病気なんだから・・・!」
 そうもいかないわ、と女性はルイーズの制止をやんわりと振り切った。
「私はルイーズの双子の姉で、ルビーといいます」
 ああ、とルークたちも順番にあいさつと自己紹介をすませていった。
「でも、病気と仰っておいででしたけど、なんのご病気ですか?」
 アーサーに尋ねられ、ややルビーは頬をピンク色に染めた。ルークはその様子を見ながら、ややムッとした表情を見せ、マゼンダに小突かれた。
「お姉ちゃんは昔からあたしと違って体が弱かったから・・・。原因はよく分からないの。そのせいでどの医者に聞いても薬を貰えなくて。だけど」
 ルイーズは姉の体を支えつつ、持ってきた椅子に座らせた。
「森にいる魔女様なら薬を持っているかも知れないって噂を聞いたの。もしかしたら病気の原因も分かるかもしれない。だけど、姉をこんな状態で1人で置いていく訳にもいかないでしょ? だからお願いがあるの」
 ルイーズは言い放った。
「あたしと森の魔女様の所に行ってほしいの」
「ルイーズ・・・! ダメよ。見ず知らずの人にそんなことを頼むなんて! それに魔女様の森にはいつのまにか魔物が住みついて危険よ。貴女の身に何か起きたら・・・私・・・」
「そういうことならお任せ下さい」
 マゼンダがルークの襟首を、猫のように掴んで言った。
「この子を始め、これまでアタシたちが倒した魔物は数知れず。腕には結構自信あるんだから」
「先生・・・私は猫じゃありません・・・」
「そんな・・・私のために無茶なことは止めて下さい。私・・・妹に迷惑かけてるだけで十分心苦しいのに、見ず知らずの旅の方まで・・・!」
 ルビーは突然咳き込み始めた。ルイーズが慌ててその背中をさする。
「ほら、お姉ちゃん・・・部屋で横になってて。あたしお姉ちゃんの世話を迷惑だなんて思ってないから・・・、そんなこと言わないで」
「そうですよ」
 アーサーがそっとルビーに近づき、その手を取った。ルークがうっかり声を上げそうになり、マゼンダに口を塞がれた。
「きっと貴女のご病気は治ります。こんな優しい妹さんがついてるんですから、早く元気になって恩返しをしてさしあげなさい。妹さんのお手伝いは僕たちがなんとかします」
 ルビーは頬を赤く染めながら、暫くアーサーに見とれていた。アーサーの後ろでマゼンダに抑えられながら、ルークがじたばたと暴れていた。
「でもルイーズの言う通り、お姉さんを1人で残して置けないわ。誰か家に残らないと」
「それなら」
 ルルが手を挙げた。
「あたしに任せて。病気になったお兄ちゃんの看病を何回も任されたんだから」
 アーサーが照れくさそうに頬を掻いた。
「そうなんですか?」
「はあ・・・まあ・・・。僕も少し前までは病弱でよく倒れてましたから・・・」
 この前倒れたときずっとそばにいたのは私だぞ!!
 ルークはそう言いたかったが、マゼンダにずっと抑えられており、モゴモゴとしか言えなかった。

  おっひっさ〜 - ベールゼブブ (男性) - 2008年08月17日 (日) 21時59分 [761]   
なんつーか・・・もう・・・
久々だよぉ〜!!
前に書いた内容あんま覚えてなかったので、まだログ残ってて助かった〜!!

で、前に言ってたセミプロ活動ですが、現在進行形です。何でって、書いた内容とかに全然満足できなくて、何度も書き直ししてるんですよ。まだどこにも投稿してないので、焦る必要はそんなにないんですけど。

それでは☆

  おおーーーーー!!!! - 翼無き天使 (男性) - 2008年10月01日 (水) 00時25分 [762]   
久々にここを訪れてみれば・・・・・・
更新されているではないかーーー!!!
どーも、お久しぶりです^^
だいぶ昔だったんで私も過去ログを読み返しつつ楽しませてもらいました^^
次回にも期待です^^

セミプロ活動も頑張ってくださいね^^
影ながら応援してます。
では


  勇者「おい賢者…テメェいい加減にしろよ…」part01 - 愛のVIP戦士 (男性) - 2008年06月08日 (日) 21時15分 [759]   
  賢者「えっ…あ、あの…あたし?」
勇者「あのさぁ、…マジなんでお前レベルあがんないの?」
賢者「そ、そんなコト言われても…」
勇者「もうさ、お前立派な賢者なワケじゃん?いつまでも遊び人気分でいられちゃ困るんだけど」
賢者「で、でも、あたしちゃんとした職業やるの初めてだし、まだちょっと要領とか…」
勇者「言い訳すんじゃねぇよ!!!!!!」

勇者「…」
賢者「…何で…ひっく…そんなの…ずるいよ…いまさら…」

僧侶「ま、まぁ勇者も落ち着いて、賢者ちゃんも泣かないで…」
賢者「僧侶ちゃん…ひっく…」

僧侶「その…賢者ちゃん…よく聞いてね…。…あたしも、レベル上がらない時期とかあって大変だった時あったんだけど、…その…」
賢者「うん…」
僧侶「…自分の中でね?意識変えないと、変わんないと思うよ?もう少し周りのみんなの役に立ちたいとか…わかる?」
賢者「…うん…」


武道家「わかってないよアンタは」
僧侶「武道家ちゃん!!!!」
武道家「わかったフリしてるだけだよソイツは。何もわかっちゃいないよ」
僧侶「武道家ちゃん、賢者ちゃんは頑張ってるよ、そんな言い方しちゃダメだよ」
武道家「わかるんだよ。甘えてるだけなんだ。もっと厳しくしてやれば嫌でも覚えるようになる」
僧侶「ちゃんと言葉で説明すれば理解できるよ、そんなコトしちゃダメだよ」
武道家「口で言ってもわからないさ。来い賢者!!性根叩き直してやる!!」
賢者「!!」


僧侶「ちょっと!!」
武道家「何さ?ああん?アンタあたしのコト止められるとでも思ってんの?」
僧侶「…武道家ちゃん…言っていいことと悪いことがあるでしょ…?」
武道家「…なにぃ…?」

勇者「…まぁとりあえず二人とも落ち着け」
武道家「…」
僧侶「…」

勇者「別にお前らが争うコトじゃない。…それに、僧侶だって賢者が今のままじゃよくないって思ってるんだろ?」
僧侶「…それはそうだけど、でも急にレベル上がるとかは無理だから、じっくり時間をかけて…」

勇者「…なぁ、賢者…」


賢者「…」
勇者「みんなお前がレベル上がらないことについては同じ意見なんだよ。上がってもらわないと困るんだよ。わかるか?」
賢者「…だけど…」
勇者「…」
賢者「…」
勇者「…だけど…何?」
賢者「…」
勇者「言いたいコトがあるなら、言ってくれよ」
賢者「…」
勇者「…黙ってたってわからないよ。なぁ…」



賢者「…あたしは…」
勇者「…」
賢者「…あたしは…別に賢者になんてなりたくなかった…」

勇者「…」
僧侶「…」
武道家「…」

賢者「…ずっと…遊び人のままでよかったんだもん…みんなに守ってもらいながら…踊って…」
ダンッ!!!!!!
賢者「!!」
勇者「…僧侶…」

僧侶「…ごめん。ちょっと一人にさせて…」

賢者「…あの…」

勇者「…」
武道家「…なぁ賢者…アンタ何様なの?」
賢者「え…?」

武道家「…僧侶はさ、前々から…賢者になりたがってたんだよ…」
賢者「あ…あ…」

武道家「勇者とモメてるの見なかった?ああそっか、アンタ踊ってたもんね。知らないよね。教えてあげるよ」
勇者「…」


武道家「悟りの書があるからさ、一人賢者になれるじゃん?でも勇者がベホマ覚えるまで待ってくれって。回復が中途半端にならないようにって」
勇者「…」
武道家「僧侶がベホマ覚えるまでには、賢者もある程度一人前になるから待ってくれってね」
勇者「…」
武道家「わかる?わからないよね?本音はあたしも勇者も半分どうでもいいんだよアンタのコトなんて。でも僧侶がかわいそうじゃん?早く賢者になりたいのに、おあずけ喰らってさ」
勇者「おいおい…」
武道家「何よ?この際はっきり言ってあげた方が本人の為よ」

賢者「…うぅ…」



武道家「何?泣けば済むと思ってんの?泣いてる間にやることあるでしょ?勉強しなさいよ!!!!僧侶に謝りなさいよ!!!!何が遊び人のままでよ!!!!ふざけるな!!!!」
賢者「ふぅえ…うっく…っく…」
武道家「早く僧侶のところに行ってきなさい!!!!」
賢者「…う、うぅ…」
タッタッタ…


武道家「…ふんっ」
勇者「…悪いな、悪者やらせちまって」
武道家「別に。思ったこと言っただけよ。…多少こたえてくれれば怒った甲斐があるんだけど、どんなもんかしらね」
勇者「…ありがとな」
武道家「…何度も言わせないで、勇者に礼を言われるコトじゃないわ」

賢者「…(あ…)」

僧侶「…」
賢者「…(うっく…謝らなくちゃ…うっく…涙が止まらない…)」

僧侶「…」
賢者「…(どうしよう…しゃっくりも止まらない…うっく…)」

賢者「ん…あの!…うっく」
僧侶「う…賢者ちゃん?」
賢者「あ…(僧侶ちゃんが泣いてる…)」
僧侶「…どうしたの…あたし…、…一人にしてって…」
賢者「あの…ごめんなさい!!あたし、僧侶ちゃんの気持ち全然…」
僧侶「…」
賢者「…ごめんなさい…お願いだから許して…お願いだから…」
僧侶「…賢者ちゃん」
賢者「!!はぃ…」
僧侶「…勇者から聞いたの?あはは…そっか…」
賢者「…本当にごめんなさい…」
僧侶「ううん、謝らなくていいよ!…それに、逃げたのはあたしの方だし」
賢者「ふぇ…?」


僧侶「…ごめんね。あたし、自分の中でどうしても押さえきれなくなって…」
賢者「そ、そんなことないよ!!…あたしが悪いんだもん…」
僧侶「ううん、違うの。…賢者になりたいなんて、あたしのワガママだってわかってるの。…だから、あたしがこらえなきゃいけなかったんだよ…」
賢者「ち、違うよ!!あたしが勉強しないから…」
僧侶「…ごめんね…つらかったでしょ…武道家ちゃんにキツく言われたでしょ…ごめんね…あたしが守ってあげなきゃいけなかったのに…」
賢者「僧侶ちゃん…ふえ…ふええぇぇぇぇん!!!!」


勇者「…あ」

賢者「…グスッ…」
僧侶「…ほら、しっかり!」

賢者「…あの…」
勇者「ん?」

賢者「その…今まで勉強とか…あまり…できなくて…ごめんなさい…うっく…」
勇者「できなくて、じゃなくて、やらなくて、だよな?」
賢者「はい…」
勇者「それで?これからはどう変えていくんだ?」
賢者「その…僧侶ちゃんに色々教えてもらいながら、順番に覚えていきたいと思ってます…」
勇者「…」
僧侶「あたしが賢者ちゃんに教えていきます」
勇者「…はぁ…」
僧侶「…」
賢者「…」

勇者「…まぁ、僧侶ならちゃんと教えられると思うし、大丈夫だと思う。…要領つかむまで、お願いしていいか?」
僧侶「はい!!」
勇者「賢者」
賢者「!!はぃ…」

勇者「僧侶にしっかり教えてもらうこと!!いいな!!」
賢者「はい!!」


武道家「…(全くあまあまだな…)」


翌日

僧侶「さて!!今日からしっかり勉強してもらうから、覚悟してね!!」
賢者「はい!!先生!!」
僧侶「先生って…な、なんか恥ずかしいけど、よーし!!頑張って、まずはホイミから覚えるよ!!」
賢者「はい!!」

勇者「……」
武道家「…!!…!!!!」

僧侶「なんだろ…勇者たち…モメてるのかな?」
僧侶「あ…こっち来た」


勇者「…今からアリアハンに行くぞ…」

アリアハンにて


僧侶「ちょっと勇者!!!!!!ちゃんと説明しなさいよ!!!!!!!!」
勇者「だから…」
武道家「勇者…お前最低だぞ…この間の件はともかくとしても、今回は許せん!!」

賢者「…あ、はは…」

僧侶「賢者ちゃんを外すってどういうことよ!!!!!!!

勇者「…」
僧侶「ハアハァ…ふ、ふざけないでよ!!!!!!何でよ!!!!!!!!ふざけるな!!!!!!!!」
賢者「そ、僧侶ちゃん…もういいよ…あたしは平気だから…ね?」
武道家「僧侶、落ち着け。あたしも同じ気持ちだから。とにかく勇者、説明しろ」
勇者「その…、ルイーダに新しい奴が入って、そのな、遊び人なんだが、既に賢者になれるレベルなんだよ」
僧侶「だから何なの!!!!!!その人入れて賢者ちゃん外すっていうの?!!!!!!」
勇者「…」
僧侶「ハアハァ…、…あ、呆れたわ。あなた、とんでもない外道ね。じゃあ昨日怒ったのは何だったのよ!!!!!!」
武道家「…勇者、まだ今なら間に合う。だからもう一度考え直せ。」
勇者「…」

賢者「あ、あの!!」

賢者「あたしは、いいです」
僧侶「賢者ちゃん…」
武道家「…賢者、アンタの気持ちはありがたいけど、アンタだけの問題でもないのよ?あたし達が許せないの」
勇者「…」

賢者「あの、それはそうなんだけど、その…あたし、外されるって聞いて、その…ちょっと、ホッとしたの」
僧侶「…」
武道家「…」

賢者「聞いた瞬間は頭真っ白になっちゃったけど、落ち着いて考えてみると、うん、しょうがないなって思うの」
勇者「…」

賢者「だから、気にしないで、ね?あたしは平気。みんなが魔王倒せるように、毎日祈ってるから。ね?」

僧侶「賢者ちゃん…」



勇者「本当にすまん…」
賢者「あ、謝らなくていいですよ、だってしょうがないし。あたしは大丈夫だから」
勇者「…すまん…」

新賢者「おやおやこれは、なにやらおとりこみ中のようですね」
武道家「!」
僧侶「ま、まぁ、男性でしたの?」
勇者「あ、あぁ、紹介するよ、もうダーマで転職も済ませてるけど…」
新賢者「改めまして、新賢者です。賢者になってまだ日が浅いので、ご指導ご鞭撻の方、何とぞよろしくお願いします」
武道家「…(ふんっ、チャラ男が)」
僧侶「え、えぇ。こちらこそ…」


賢者「…」

新賢者「では参りましょう勇者様。」
勇者「あ、ああ…」


賢者「…(…バイバイ…)」

ルイーダの受付「…賢者さん?」
賢者「…」
受付「賢者さーん」
賢者「…!は、はい!!」
受付「そんなところでボーっとされても困るわよ」
賢者「あ、は、ハハ…」
受付「まぁ最初は空虚感あるけど、そのうち慣れるわよ」
賢者「はい…」
受付「…控室なら、奥にあるけど、ずっと引きこもっててもしょうがないし、散歩にでも出かけたら?」
賢者「はぁ…」
受付「城壁の外は危険だから出ないでね」
賢者「…はい

賢者「…(ヒマだなぁ…これからどうしよう…)」

武器屋「ここは武器と防具の店だ。どんな用だい?」
賢者「え?あ、ち、違います。なんでもないです」
武器屋「ほかにも用はあるかね?」
賢者「はぅ…何もないです」
武器屋「ほかにも用はあるかね?」
賢者「無いですぅ(うぅ…いつもは勇者が断るからうまくいかない)」
武器屋「ほかにも…」
神官「何も用はないですよ」
賢者「あ…」


  第7章 1節:開発部門の日常 - 翼無き天使 (男性) - 2008年02月19日 (火) 17時19分 [756]   
 
 彼はアーヴィン=サンダース。25歳の独身。恋人なし。
 これでも開発部門の部門長。目にクマがあるのは今日が徹夜5日目だからである。充分な睡眠を取り、ヒゲを剃ればもう少し男前になるのだが、ライアンが幸か不幸か発明してしまったディテクターの、実験データの収集やらその改良やら量産やらコスト削減の試行錯誤やらでどんどん太陽が移動し、すでに地球を4周もしてしまった。
「さすがに、俺死ぬかも……」
アーヴィンが呻き声をあげながらソファに倒れ込む。
「アーヴィン部長〜、この仕事いつ終わるんですか〜?」
部下も同じく倒れ込む。開発部門の人間はみんなげっそりしていた。
「頑張れ、いつか終わるさ……」
「俺、このまま眠れるならもう目覚めなくていいです……」
もう一人の部下が辞世の句を残して墜ちた。
「寝るなよ〜。まだ仕事は山積みなんだぞ?」
「まぁ少しくらい寝かせてやれよ。お前だってもう70時間は起きっぱなしだろ。仮眠取っていいぞ」
「なに言ってんですか。部長なんてもう90時間はぶっ通しでしょ。俺たちだけ寝れませんよ」
ソファに顔を埋めたまま言う。
「それに今寝ちゃったら3日は起きない気がするんで」
「ははは、だな」
みんな苦笑する。
「それにしても本部長、またすごいもん作ってくれましたね」
「そう言うな。これで殲滅部門の奴らがずっと楽になる。それに、これが俺らの仕事だ」
開発部門には科学、物理学、材料学に始まり、哲学、心理学に至るまで、およそ学問と呼べるあらゆる分野のスペシャリストが集まっている。
様々な発明品で殲滅部門の任務をサポートする重要な、そして名実ともにWPKO一忙しい機関だ。過労・睡眠不足で倒れる人間も少なくない。
「殲滅部門といえば、新人が来たらしいっすね」
「…そうだった。そのことで本部長に呼ばれてたんだっけ」
アーヴィンがムクッと起き上がって温くなったコーヒーに手を伸ばす。
「あぁ、新人のデータ採取ですか?」
「そ」
「そういえば、マイヤちゃんも任務から帰ってきたらしいですね」
「マジで!?」
グテッと倒れていた男が突然起き上がる。
「後で見に行こ」
「何でだよ」
別の男が呆れ顔で言う。
「疲れた心に癒しを与えるんだよ。この間帰ってきたと思ったらすぐ任務行っちゃったもんな〜」
「この前メシに誘って断られたくせに」
「うっせ!」
「あのさ、そのマイヤちゃんと例の新入りがさっき一緒に部屋探してたよ」
『何〜〜っ!?』
意識の混濁していた男どもが一斉に飛び起きた。
「なんで入ったばっかの新入りがいきなりマイヤちゃんと館内デートしてんだよっ!?」
「さぁ。でもここに引っ張ってきたのはマイヤちゃんだって噂だよ」
「おのれ新入り…!いったいどんな男だ?」
「なんでも髪が真っ白らしい」
「じじい!?」
「マイヤちゃんて年上派だったの!?」
「いや、いくら何でもじいさん好きってこたぁねぇだろ」
「でも新入りじいさんがやってくるなり一緒に部屋を探すこの親密さ。こりゃわからんぞ」
「俺、ちょっとショック」
「はは、同い年だもんなお前。御愁傷様」
「うるせー!3回もデート断られたお前に言われたかねーよ!」
憶測の応酬が飛び交う。
「おいおいお前ら、マイヤのことで盛り上がる元気があるならこの書類の山片付けてくれよ」
アーヴィンが呆れ顔で言う。
「部長!部長はマイヤちゃんがそこらへんの馬の骨に持ってかれてもいいんですか!?」
「俺は知らん。それはマイヤの決めることだ。さぁ、仕事しろ仕事!」
アーヴィンがパンパン手を叩いてみんなを仕事に戻した。
「じゃ、俺ちょっと本部長のとこ行ってくるから、ここ頼んだぞ」
「はい、わかりました」
みんな仕事に手をつけるものの、話はマイヤのことで持ち切りだった。
アーヴィンは部屋を出る前に一同に向けて言った。
「おいみんな、現実的に考えろ。お前らじゃマイヤは落とせん」
バタンとドアが閉まる。
「……だよなぁ」
さっきまで盛り上がっていた男達はみな項垂れるのだった。


  第7章 2節:初任務 - 翼無き天使 (男性) - 2008年02月19日 (火) 17時51分 [757]   

「失礼します」
「は〜い、どうぞ〜」
ヨーロッパ地域本部に着いてから4日。アルトは司令室に呼ばれた。以前言われた、エターナル・フォースのデータ採取だろう。
「ここはもう慣れた?」
ライアンは常にコーヒーを飲んでる。この前廊下で見たときも、手にはコーヒーがあった。
「はい、たまに迷いますけど」
とにかく広くて高くて、未だに全体を把握してない。
「大きいからね〜。地下も15階まであるんだよ〜」
そんなにたくさんの部屋、何に使うのだろうか。
「そこに地下鉄もあってね、ミラノの駅に直結してるのよ」
「へ〜、駅が地下に…」
任務に出向く際はそれに乗って行く。警備員が言ってたのはそういうことだったのか。
「それで、用件はこの間言ってたデータ採取ですか?」
「あ〜それなし。データ採取はまた次の機会にね」
「じゃあ、いったい何です?」
「任務に行ってもらいたいんだ」
任務。正式にはこれが初任務になる。
「どこですか?」
「ルーマニア。奇しくも我が故郷だ。詳しい話はもう1人が来てからね」
「…もう1人?」
「そ。チームを組んで行ってもらうのよ」
「でも、この前は研修は必要ないって……」
「チームを組むのは、キミが新入りだからじゃなくて、相手がなかなか手強そうだからだよ」
それだけ被害者が出てるってことか。しかしそれなら今まで気づかなかったのはなぜだろうか。
「組むのは誰ですか?」
この4日間で何人かのターミネーターに会った。みんなアルトよりは10歳は年上の大人だった。
アルトやマイヤのように10代のターミネーターはあまり多くないらしい。
「ん〜そろそろ来ると思うんだけどね〜」
ライアンは悠長にコーヒーをすする
「マイヤはどうしてます?」
自分の部屋を決めたり、館内を案内してもらったりした日以来、顔を見てない。
「マイヤくんは今オーストリアで休暇中。家族に会いにね〜」
「そうですか」
念願の休暇というわけか。働き詰めだったみたいだし、家族とゆっくり過ごして欲しいものだ。
 突然扉が開いた。ノックはなかった。
入ってきたのは若い男だ。たぶんアルトとそう歳は変わらないだろう。
細身だが引き締まった体、漆黒の髪を後ろで結わえて、それは腰の辺りまで伸びている。マイヤといい勝負だ。
切れ長の目に鋭い眼光、そしてアルトが今まで見てきた誰より不機嫌そうな顔だ。
「任務か?」
司令室に入るなりぶっきらぼうにさっそく本題に入った。
「やぁ天峰くん。待ってたよ。今日はいつにも増して不機嫌だね」
「…あんたと漫才する気はない。さっさと任務内容を言え」
この男がアルトのパートナー。なんだかDICを消去する前にこの天峰に殺されそうだ。
「説明の前に紹介しとくよ。彼は天峰総一郎くん。キミと同じターミネーター」
天峰はアルトをチラッと見た。睨んだと言った方が的確かもしれない。
なぜそんなに不機嫌なのか、アルトは不思議に思った。
「で、こっちはアルト=ナイトウォーカーくん。ついこの間入った新人さん。任務はキミたち2人で行ってもらうからよろしく」
「新入りの研修なんかに付き合ってられるか。誰か別の奴に回せよ」
「アルトくんは研修免除だよ。アデル元帥の弟子でね。もう実戦にも慣れてる」
「元帥の…?」
ギラッとした眼光が再びアルトを射抜く。
初対面の相手をここまで睨み付けることができる人間も、そうはいないだろう。
「よ、よろしくお願いします」
天峰からの返答はなく、ライアンの方に顔が戻った。
「…だったらなぜチームを組む必要がある。俺一人で充分だ」
「まぁまぁ、今回の任務は一人じゃちょっとキツイと思うんだよね〜。数が数だし」
数?複数のDICがいるということか。
「おまけに友達の少ない天峰くんは、アルトくんとの親睦も深まる。一石二鳥ってやつだね」
「…くだらん。さっさと説明に移れ」
「場所はルーマニア。調査部門の調べによると、どうやらDICによる組織めいた集団が存在するらしいんだよね」
ライアンは山と積もった書類の中から引っ張り出した、報告書の束を見ながら話し始めた。
「組織…ですか?」
「そう。集団活動を行うのはかなり知能が発達してるDICだね。組織はルーマニアに限ったものなのか、それとももっと広範囲に根付いたものなのか、そこら辺はまだ何とも」
「…組織の壊滅が任務か?」
「キミたちの任務は、組織の規模、目的を調査し、かつルーマニア内のDICを殲滅すること」
「被害の数はどの程度なんですか?」
「犯行がDICによるものだと疑われるのは、約200件。この2年間でね」
「200…!?」
「ただ今までみたいに特定の区域じゃなく、ルーマニア全体が活動範囲になってる。だから調査部門も気づくのに時間がかかったってわけ。相手方の規模にもよるけど、殲滅だけじゃなく調査も伴う危険な任務だから、2人ともガッチリ協力してね〜」
協力、してくれるのだろうか。アルトの方は問題ないが、天峰は見た感じ協調性皆無だ。
「他に何か質問は?」
「…DICが組織を形成するのは今回が初の事例なのか?」
「………いや、他にいくつか事例があるよ」
気になる「間」だ。DICが組織を作る、というのは少なくともアルトは聞いたことがない。天峰も同様のようだ。
「…そうか」
「以上かな?じゃ、任務完遂に向けて、ボクからプレゼントをあげちゃおうかな〜」
そう言ってライアンが何かをポケットから取り出す。
「じゃ〜ん!DIC探索機器、通称『ディテクター』だよ〜」
「…またあんたのくだらん発明品か?」
「ひどいな天峰くん。ボクの発明にくだらないものなんてあった?」
「どうだかな。思い出すことすらくだらん」
「むむむ、でもこれは役に立つこと間違いなし!エターナル・フォースを駆使してDICのダークマターを感知する機械だよ」
「そんなことできるんですか?」
アルトのシックスセンスと同じ効果だ。
「もちろんさ。すでにマイヤくんに試作品を使ってもらって、それはもう絶好調。これもまだ改良途中なんだけど、充分使えるよ」
「へ〜、便利ですね。エターナル・フォースを消費するんですか?」
「まぁほんのちょっとね。でも戦闘に差し支えはないよ。ということで、二人とも仲良く頑張ってね〜」
天峰はまだ不満そうな感が満々だったが、任務と思って割り切ったのか、クルッとライアンに背を向けて扉へ向かった。
「…行くぞ銀髪。俺の足引っ張んなよ」
「アルトです。敵は多数なんですから二人で“協力”して頑張りましょうね」
“協力”の部分をしっかり強調して、にっこり笑いながらアルトは言った。
「…てめぇ、何様のつもりだ」
天峰の眼光がアルトを射抜く。
「天峰の仲間ですよ。よろしくお願いします」
「……ちっ」
「やれやれ、今からこの調子じゃ先が思いやられるね〜。あ、そうだ。長期任務になりそうだから、定期連絡を欠かさないでね〜」
天峰は司令室を出てズカズカと進んでいった。
「…いつもあんな気難しい性格なんですか?」
「まぁね。彼の機嫌が良いのは閏年より頻度が少ないね。でも殲滅者としての実力は折紙付きだよ。彼は世界最後の侍さ」
「さむらい…?」
敵も味方も厄介そうな発任務に、アルトは小さな溜息をついた。


  第7章 3節:たぶん - 翼無き天使 (男性) - 2008年02月19日 (火) 17時55分 [758]   

 予定していた時刻に、予定していた場所に行ったが、ライアンと新人は影も形もなかった。
しばらく待ったが一向に来ない。いったいどうなっているのかと、司令室に行ってみると、ライアンは悠々とコーヒーを飲んでいた。
「本部長……」
「おや、アーヴィンくん。何か用?」
「何か用?じゃないですよ。新人のデータ採取の方はどうなってるです?」
「データ採取?…あぁ、それ中止になったの。彼には任務にね〜。言ってなかったっけ?」
「初耳です…」
(勘弁してくれよ。っていうか中止にした時点で俺に連絡しようとか思うだろ?普通)
などと上司に言えるわけもなく、アーヴィンはその件は忘れることにした。
「…任務って、どこですか?」
「ルーマニア」
ルーマニア。DICの組織によって200余人が犠牲になっているところだ。
「…そんな危険任務に入り立てのじいさんを送り込んだんですか?」
「…じいさん?やだなアーヴィンくん。アルトくんはまだ15だよ」
「…えぇ!?だってみんな白髪のじいさんだって…」
「はぁ〜、歳の判別もできないとはね〜。みんな働き過ぎ。早死にするよ?」
「誰のせいだと思ってるんですか……」
「さ〜、見当もつかないよ」
「…それより、大丈夫なんですか?新人をそんなとこにやって。DICの組織なんて、相当やばい任務だと思うんですけど」
「ん〜、大丈夫だと思うんだけどね〜。アルトくんの実力はかなりのものだそうだし、天峰くんも一緒だから」
「あの『白刃の天峰』が?…よくチームなんか組みましたね」
「ケンカしながら行ったよ。って言っても天峰くんが一方的に不機嫌なだけだけど。あの二人、けっこういいコンビになると思うんだよね〜。彼らに足りないのは信頼と友情さ!」
右手の親指を立ててアーヴィンに向けた。
(何?そのテンション。っていうか無理だろ。天峰だよ?)
「…その組織は、『ジハード』とは関係が…?」
「…どうかな〜。行動がちょっと雑だからね〜、関連はないと思うけど、もし何らかの形で繋がりがあるとすれば、危険かもね〜」
「かもね〜って……。総本部はこの件には何も言ってきてないんすか?」
「うん。『ジハード』が絡んでくれば、もう元帥クラスの任務だけど、今のとこ何もなし」
「じゃあ、そんなに心配することもないですかね」
「たぶんね〜」
「……たぶんっすか?」
「そ。たぶん」
(おいおい、大丈夫か…?)
アーヴィンは不安を隠せずにいた。

「なぁ、今ルーマニアが賑やかなの知ってる?」
「知ってるよぉ。デュートが裏で糸引いてるんだってぇ」
「へ〜。なんで?」
「知らな〜い」
「あいつ、暇人だな」
「ティックもでしょぉ〜?」
「はは、おっしゃる通りで」
「……どこ行くのぉ?」
「暇人なんでね。ちょろっとちょっかい出してくる」
「怒られるよぉ?デュートに」
「デュートじゃねぇよ。俺らを消そうとしてる奴らにさ」
「ふ〜ん。おみやげ買ってきてねぇ〜」
「了解、お姫様。……久々に、楽しめそうじゃん?」







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